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イブダスの町

 村から東にある町ジンブルガンでパースタっていう領主に会いに行ったの。

 レヴィアンのお父さんが知り合いだっていうから簡単に話しが出来たんだよ。

 実力を見せろって云うから私はブラムスって人と戦うことになったんだ。

 もちろん勝って色々な頼みを聞いてくれたの。

 これで村も助かるってガディラも大喜びしていたよ。

 それでさっき戦ったブラムスも仲間になってくれるって云うから一緒に村に戻って行ったんだ。

 ガディラは村に待機してもらい、私達四人は数日をかけてイブスタの町に向かったんだ。

 この町は入り口から厳重な警備がされている感じで強行突破は難しいみたい。

 流石に強行突破は大変だからコッソリ忍び込むんだって。

 夜を待って高い塀をピョーンと飛び越え町の中に入って行くの。


 見つからずに侵入は出来たけれど、ここは想像以上に酷いところだよ。

 道の所々で倒れている人は酔っぱらって寝ているんじゃなくってほとんど何も食べていない感じ。

 ゲッソリした顔でほとんど動けなくなっているんだ。


 逆にそんな人々を踏みつけながら歩むのはプリスター教の衣服を着た偽物達。

 見せつける様に美味しい物を食べてリンゴの芯を放り投げているの。


(これは。……酷いね)


「私、許せないよー!」


「見ていられませんな。早くこの状態を改善させなければ国が亡びるのも時間の問題ですぞ」


 私とブラムスが剣を抜こうと手を伸ばす。

 こんなの見ていられないもん。


「おい、早まるなよ。ここで騒ぎを起こしたら何にもならねぇ。怒りは領主の館に行くまで取っておけ。奴さえ倒しちまえばこの腐った現状も変わるってもんだぜ」


「レヴィアン様、確かにその通りでございますな。この怒り、決戦の時まで取っておくことにいたします」


 私やブラムスもグッと我慢して向かうんだ。

 探すまでもなく、町の中央に見えている場所がコンブリット・ファスト・ラグナスの住む豪邸。

 自分達が正義だとばかりにピカピカの光を放っていて、楽しそうにパーティーをしているの。


 御馳走を食べたりしているのならまだ救いはあったんだけど、死にかけの人達を集めて刻んで弱い者いじめをしているんだ。

 泣き叫ぶ人々の体には無数の傷。

 男も女も子供だって、もう動かない人達も沢山いるんだ。

 もう許せない、我慢の限界だよ!


(酷過ぎる、もう見ていられない)


「レヴィアン、私もう行くから!」


 私はペンダントを剣に変えた。


「ぐぅ、これはもう抑えきれるものではありません。行きますぞ。我等が敵に天罰を!」


 ブラムスだって同じだよ。


「待て、先制攻撃は俺からに決まっているだろうが!」


『行くよ(ぞ)!』


 レヴィアンも怒りのままに杖の先を屋敷へと向ける。

 私とブラムスは駆けだして屋敷の中央に。

 ドカンと魔法が爆発して戦いが始まったの。


『て、敵襲だあああああ!』


「うあああああ!?」


 相手は突然の事に動揺している感じ。

 この機会はスペシャルチャンス。

 敵と味方を選別して、一気に全員叩き伏せたんだ。

 屋敷から出て来る増援。

 今回は普通の兵士達に混じって多くの人型モンスターがやってくるよ。

 唯一国パラドライオの影響が見えるの。


「にゃあああああああん!」


 もしかしたら改造された人達かもしれないけれど、でも今は気にしてはいられない。

 元に戻せない以上は敵は敵、全部やっつけちゃうしかないんだよ!

 斬って叩いて振り回し、しゃがんで跳ねてもう一回。

 どれだけ湧いて出ても負けないよ。

 シュバっとバシッと周りの敵を倒し続けたの。


 もう何匹?

 千は超えたぐらい?

 戦闘の音がなくなって敵の姿がなくなったよ。

 えっと、一緒に戦っていた二人は……。


「何を見てんだ! 俺が負けているとでも思ったのか!?」


「中々の激闘でしたな。モモ様にはかなり助けられましたぞ。ここまでする領主ならば遠慮はいりますまい。徹底的に叩き潰してやりましょうぞ!」


 レヴィアンはちょっと強がりっぽいけれど、ブラムスはまだまだ行けそうだよね。

 私達は屋敷の中に突入したよ。

 もう人が居なくなったみたいに静か。


 至る所に人の亡骸が横たわっているの。

 虐げられてきた人々のものなのかも。

 こんなことを終わらせる為に私達は領主を捜し続けたんだ。

 生き物の気配は……。


「見つけた。こっちだよ!」


「うるせぇ、命令すんな!」


「しかし手掛かりになるやもしれません。行ってみましょう」


(早く終わらせなきゃ!)


 皆で向かった屋敷の三階。

 開け放った扉の先に領主コンブリット・ファスト・ラグナス、だと思われる姿があったよ。

 大きな椅子のひじ掛けに手を置いて頬杖を突く男が一人。

 ぴたっぴたに固めた髪、真赤に光る瞳、口元には長い牙なんて生やしちゃって、絶対これ人間じゃない。


「テメェ、コンブリット・ファスト・ラグナスをどうした! まさか食っちまったなんていわねぇよなぁ!」


 詰め寄るレヴィアン。

 相手の返事は……。


「おやおや、いきなりやって来たと思えば異なことを。そのコンブリット・ファスト・ラグナスこそが私であるのに。もしかして緊張しているのかね。ならば落ち着いて茶でも飲まないか?」


 自分こそが主であるともっとふんぞり返っているよ。


「テメェがモンスターであろうとなかろうと、コンブリットであるなら退治してやるだけだぜ! 戯言をぬかしながら死ねや! ダークネス・デッドエンドオオオオオ!」


 今まで見たなかでは最大の魔法。

 黒い炎がコンブリットに飛んで行く。

 ドゴーンって大爆発。


「心地よい熱量。中々やるではないか」


 壁や椅子は大破したけど、コンブリットは椅子に座った姿勢を保ち、何事もなかったようにしているよ。


「チィ、やっぱり化物じゃねぇか!」


「例えどのようなモンスターであろうと、叩き潰してやりますとも!」

 

 駆け込むブラムス。

 振るうのは巨大なハンマー。

 ブオって風を切ってコンブリットの頭上に落ちて行くけれど、指先一つでピタッと止まっちゃう。

 押しても押しても動かない。


「この程度か。遊びにもならぬようだ」


「まだ終わってないからねー!」


 もちろん私も黙って見てない。

 ビュンと跳ねて頭の上。

 キャットスレイヴをグニグニ変化させるよ。


「ほぅ、やってみ……うおおおおおおおお!?」


 タライみたいな巨大なハンマーをブラムスの武器の上に叩きつけたの。

 流石に指はグニャッとして余裕ぶっていたコンブリットは潰れちゃった。


「ふぅ、勝ったよー!」


(流石モモだね!)


 私は御主人と手を合わせて喜ぶの。


「し、心臓に悪いですから出来れば事前に伝えてほしかったですぞ」


「ヤベェな、ここにモンスター中のモンスターが居やがったか。人類の為に倒しておくべきか?」


 ブラムスはともかく、レヴィアンは私に杖を向けて戦闘体勢まで取っている。


「えー、私、悪いことしないよー?」


(つまみ食いとかはするけどね)


「もう、御主人の意地悪。ギューってしちゃうよ」


 私は気にせず御主人を頬でスリスリしちゃう。


「とにかくだ、もう化物に支配されてやる必要はねぇぜ。町の奴等に報せてやるとしようぜ」


(でもそう簡単には元に戻らないんだよねぇ……大量の食糧は直ぐには生えてはこないし。けっこうな日数我慢しなきゃだよ)


「そっかー、困ったねぇ」


 これで解決って思っていたけど、そう簡単にはいかなさそう。

 小さくなっていたコンブリットの気配がドンドン強くなっていくの。


「……そんなことをせずとも、ここで倒されておけば困ることもないだろう」


 ほら、声が聞こえて来たし。


「たあああああ!」


 私はもう一度大きなハンマーにしたキャットスレイヴを振り下ろしたよ。

 バキって床が割れてコンブリットと一緒に一階にまで落ちて行くの。


「これでいいかな?」


(そうだといいけど、難しい気がするよ)


 御主人のいう通り、また気配が強くなっていっている。

 潰しても元通りなんてバネみたいだね。


「おい、死んでねぇよな?」


「モモ様、お怪我はありませんか!?」


「大丈夫!」


 上の階から二人に声をかけられたから元気に手を振って返してあげたよ。


「奴はヴァンパイアかもしれねぇ。とんでもねぇ回復能力でダメージを受けても全部なかったことにしちまうぞ!」


「ええ、弱点は心臓に杭を打ち込む事。もしくは日光を浴びれば灰になるとか。今は夜なので太陽には期待できません。とにかく我々が駆け付けるまで踏ん張っていてください!」


 と、レヴィアンとブラムスは飛びおりるには高すぎるから階段に向かうみたい。

 じゃあその間にこの変なのを倒しちゃおうかな!

家猫のモモ

異世界に転生して人間となる。


御主人ごしゅじん(ヒロ)

人間だったけど異世界に転生して白い猫になる。


カミル・ストラデジィ(学校のお友達)

プラナ・イスリード(学校の先生)

レヴィアン・イング(真炎ハイグスト国、軍師ガルダの息子)

アギ(レヴィアンの付き人)

ヤー(レヴィアンの付き人)


エリオ・ジ・エイグストン(モモの従者)

レマ・トマトン(旅の同行者、料理人)

ナヴィア・ドライブズ(旅の同行者、馬車の運転手)

リシェーリア・パラノイア(プリスターの司祭今は味方?)


ゼノン・ハイム・ディラーム(ラヴィーナの従者)


王子シャーン

王女ルシフェリア

王女ラヴィーナ(格闘が得意)

王女イブレーテ(長女)

王子パーズ(恋焦がれる男の子)


シャーンのお母さんテルナ

ウィーディアの女王。


グリフ・リスマイヤー

シャーンやテルナの付き人。


フルール・フレーレ

ラヴィーナの師匠で格闘家。


青鎧のブルース・グライブス

教育係アリア・ファイリーズ

モモの教育係。


赤髪の槍使い、リーズ・ストライプ(エルフ)

桃髪の魔術師、カリン・ストライプ(エルフ)

冒険者、エルフの姉妹。


ベノム(ブレードバード隊、隊長)


ルーカ(孤児)

プラム・オデッセイ(里帰り中)

ジャック・スロー (天狼ジャックスロー隊長、白い狼男)


クロノ・アークス (シャーンとルシフェリアのお友達)

シャルネリア・シャルル・シャリアット(同上)


剣と魔法の世界 ミドレイス

翼の生えた子供 ウリエリア

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