ハイグストからの刺客
大樹に戻った私と御主人、
周りを捜索してレヴィアン以外の三人を見つけたの。
とりあえず避難させて先に進むとレヴィアンがムカデのモンスターと戦っていたんだ。
加勢して倒してあげても認めてはくれないみたい。
アギとヤーに話を聞けっていうから学校に帰ってから話を聞いてみることにしたんだ。
「じゃあ教えてやる。俺達の国がどうなっているのかをな!」
「耳をかっぽじってよーく聞いとくんだな!」
アギとヤーが大きな手振りをしながら話しをし始めたよ。
レヴィアンとこの二人はハイグストからの留学生ということになっているけれど、実際は違うんだって。
故郷のハイグストは、プリスター教団により王は傀儡にされちゃって酷いことになっているみたい。
でもプリスターで悪さをしていたグラガリィは倒してあるから、実際は唯一国パラドライオの王様が黒幕なんだよね。
それで混乱が起こる前兆を予見した国の軍師ガルダ、レヴィアンのお父さんが、留学生という建前で三人をウィーディアに送り出したらしいの。
レヴィアンはこの国に来てから今後どうやってハイグストを救うのかずっと考えているんだって。
だからのんきに暮らしている私が勇者なんて呼ばれているのが許せないみたい。
ちなみにクーデリカはウィーディア出身でこの国で知り合ったっぽいよ。
そんな話を色々聞いて、私は考えながら教室に戻って行くの。
(ハイグストを救うにはハイグストに行かなくちゃいけない訳だけど、流石にモモでも行くことは無理だよね。場所も分からないしかなり遠いはずだもん)
「うーん、レヴィアンが案内してくれれば行けるんじゃない?」
(簡単に案内してくれるとは思えないけどね。それに行くのなら皆に話しておかないと)
「そっかー、また遠くに行くんだもんね。いきなり居なくなったら心配させちゃうよね」
流石に今日は無理だから授業の合間にカミルちゃんに話してみたよ。
隣の席のお友達だもんね!
「モモさん、ハイグストに向かうんですか!? 一人で、危ないのでは!?」
「大丈夫、私強いもん! 全部倒して直ぐ帰ってくるよー!」
「そうですか、寂しくなりますけれど、私応援しています! それで何時出発するのですか?」
「うーん、明日?」
「早いのですね。それでは今日の放課後、ちゃんとお別れが言いたいです。ちゃんと声をかけてくださいね」
「うん、約束するよー!」
そして授業が進んで放課後。
私は屋上に来ていたんだ。
カミルちゃんは夕焼けを見ながら黄昏ている。
「モモちゃんとお別れしなきゃいけないなんて淋しいな。ねぇ、もうちょっとだけこの学校に居てくれないかな。寝、お願い。もうちょっとだけでいいから」
「お願いは聞いてあげたいけれど、もう先に約束しちゃったんだ。だから私行かなきゃいけないの。ごめんね」
「そう、なんだ。なら仕方ないよね。モモちゃん、ここでお別れだね」
「すぐ帰ってくるから待っていてね!」
「ううん、そうじゃないの。モモちゃんは、ここでお終いってこと!」
カミルちゃんは懐から小瓶を取り出し、中に入った黒い種みたいな物を数十個、床にぱらっと落としたの。
一つ一つが瞬間的にヴンって広がり建物を壊しながら大きな黒い球体に。
その中からグググっと飛びだすのは無数のムカデのモンスター。
どれもこれもジャキんと咬まれたら体が二つになっちゃいそうなぐらいに大きいよ。
これは森で倒した奴と同じかも。
(もしかして、カミルちゃんが犯人……?)
「えー、敵だったの!?」
そんなの考えたくないけれど、目の前の景色が状況を確定させているよ。
ムカデのボールは空中で命令を待っている感じ。
「ええ、残念だわ。あのまま友達でいられたならとても幸せだったのに。あなたがハイグストに関わろうとしてしまうからこんなことに。さあ、お別れの時間よ! お友達のよしみで、苦しませずに殺してあげるわ!」
カミルちゃんの顔から優しさが消えて歪んだ笑顔が見えて来る。
これが本来の姿?
とても悲しいけれど、今は気にしている時間はなさそう。
「いけえええ!」
命令に従い空中に広がるムカデのボール達。
前、後ろ、左右も上も、私の隙を狙って襲って来るよ。
ピョーンと避けると次の奴が、それを避けると次の奴が攻撃をしてくるの。
このまま避け続けるのはちょっと難しい。
だったら全部やっつけちゃえばいいんだよ。
「たああああ!」
私は胸元にある鈴のペンダントを握り込む。
千切る様に振り払うとキャットスレイヴは剣になる。
モンスターの数より刃が増えて全部を一気に切り裂くの。
もう再生できないぐらいにバラバラだよ。
「な、に……そんなバカな!? これは我が国の兵器のはず!? こんな簡単に倒せるはずは!?」
カミルちゃんは私の強さに驚愕しているよ。
(森での戦いは見て居なかったし、モモの強さを見誤ったんだろうね。また悪さをしないように早く捕まえちゃおう)
「うん」
ジリっと近寄るとジリっと下がって行く。
もう表情に余裕は感じないの。
「待ってモモちゃん、私達お友達でしょ。私ちょっと気の迷いを起こしただけなの。今回だけ、今回だけで良いから許してくれないかな!?」
今更命乞いするんだ?
「えー、どうしようかなー?」
「そうだ、明日のお弁当、モモちゃんの為にいっぱい作って来るから、それで許して!?」
数日間の付き合いだけど、私の好みは知っているよね。
(カミルちゃんが明日学校に来るか何か分からないんだから、聞いちゃダメだからね)
うーん、ご飯は欲しいけど、ここで逃がしたら皆に怒られちゃうもん。
だから……。
「ダメー!」
手でバッテンを作って前に走り出した。
「嫌ああああああ!?」
一瞬で逃げ出そうとするカミルちゃんを捕まえてカッチカチに縛り上げたよ。
プラナ先生に報せに行くと、王城に連絡を入れてカミルちゃんは連れて行かれちゃった。
後で聞いた話によるとね、名前も年齢も全部嘘で、レヴィアンがこの国に渡ると知って先にやって来た刺客だったんだって。
目的はハイグストの軍師であるガルダの服従させるためにレヴィアンの誘拐、もしくは暗殺を狙っていたみたい。
お友達だと思っていたのに、すごく残念だよ。
それで学校は本格的にお休みになっちゃった。
何処かに罠を仕掛けていないか調査をするんだって。
うーん、レヴィアンの頼みも聞かないといけないし、丁度良いかな?
(で、結局ハイグストに行かなきゃいけないんだけれど、どうやって行くかだよね)
「分からない事はアリアに聞いてみよー!」
(結局そうなるのね。まあいいけど)
それで私と御主人はアリアの居る研究所に向かったんだ。
「ハイグストに行きたいですか。それは……残念ながら無理だと思いますよ。陸路では遠すぎて移動が困難ですし、お金も時間がかかり過ぎてしまいます。空でも飛んでいければいいのですが」
「空かー」
(あ、待って。ティアマトンなら国境とか全部無視して飛んでいけるんじゃない? かなり速いし、時間もそんなにかからないかも)
「あー、その手があったね」
ティアマトンっていうのはブリザードドラゴンの名前で、胸元にある鈴を使えば呼び出したりできるんだ。
一週間に一回だけ使ってもいいよーってことになっているの。
最近は使ってないから何時でも使えちゃうよ。
「方法があるというのなら、わたくしから陛下に報告しておきますよ。出発は何時になさいますか?」
「まだ決めてないよ。レヴィアンにお話ししてからかなぁ?」
「そうですか、それならば日程を決められたらもう一度話しに来てくださいね」
「はーい!」
私は研究所から出て行ったけど、
(……入学の時から準備万端みたいだったけれど、もしかして最初から仕組まれていたりして?)
御主人が何だか考えているみたい?
まあいっか。
まずはレヴィアンに会いに行こうかな。
私は学校に行ってプラナ先生に住んでいるところを聞きに行ったんだよ。
家猫のモモ
異世界に転生して人間となる。
御主人(ヒロ)
人間だったけど異世界に転生して白い猫になる。
カミル・ストラデジィ(学校のお友達)
プラナ・イスリード(学校の先生)
レヴィアン・イング(真炎ハイグスト国、軍師ガルダの息子)
アギ(レヴィアンの付き人)
ヤー(レヴィアンの付き人)
エリオ・ジ・エイグストン(モモの従者)
レマ・トマトン(旅の同行者、料理人)
ナヴィア・ドライブズ(旅の同行者、馬車の運転手)
リシェーリア・パラノイア(プリスターの司祭今は味方?)
ゼノン・ハイム・ディラーム(ラヴィーナの従者)
王子シャーン
王女ルシフェリア
王女ラヴィーナ(格闘が得意)
王女イブレーテ(長女)
王子パーズ(恋焦がれる男の子)
シャーンのお母さんテルナ
ウィーディアの女王。
爺
シャーンやテルナの付き人。
フルール・フレーレ
ラヴィーナの師匠で格闘家。
青鎧のブルース・グライブス
教育係アリア・ファイリーズ
モモの教育係。
赤髪の槍使い、リーズ・ストライプ(エルフ)
桃髪の魔術師、カリン・ストライプ(エルフ)
冒険者、エルフの姉妹。
ベノム(ブレードバード隊、隊長)
ルーカ(孤児)
プラム・オデッセイ(里帰り中)
ジャック・スロー (天狼ジャックスロー隊長、白い狼男)
クロノ・アークス (シャーンとルシフェリアのお友達)
シャルネリア・シャルル・シャリアット(同上)
剣と魔法の世界 ミドレイス
翼の生えた子供 ウリエリア




