ストレイキャット
廃墟の町ウィンデリア、そこで私は破壊の獣という奴と戦うことに。
ぶん投げられる瓦礫はまるで弾丸のような威力。
一発でも当たったら体が無くなってしまうぐらいな感じ。
逃げ続けるけれど、もしかして攻撃した方が良いかもとキャットスレイヴの刃を分岐させて無尽蔵に攻撃を続けた。
その内御主人が呼びにきて私はクロノとシャルネリアのいる場所へ。
かなり離れていたけれど、それでも瓦礫の弾丸は私達を狙っている。
ものすごーく急いで逃げていき、ようやく町に到着した。
二人には感謝されたけど、アリアにはやっぱり怒られてしまう。
ご飯抜きだって云われて私達はベッドの上で悶絶した。
もうダメだということでルシフェリアの塔に向かうけど、ご飯の代わりにまた廃墟の町へ連れていけと云われてしまう。
我慢できなくなった私はそれを受け入れ、ルシフェリアを何時かその場所に連れて行くことになった。
私の部屋の中。
アリアが教本を開いて何時も通りのお勉強を始めようとしている。
「モモさん、今日のお勉強はストレイキャットのことについてですけど、ここはモモさんに教える必要はないですよね? ご自分の種族なのですし」
でも今日は教えてくれないみたい?
ストレイキャットって何だろう?
「えー、私知らないよー」
私は正直にアリアに伝えた。
「いや何でご自分の種族のことを知らないのですか。それともまさか、わたくしを試しているのではないですよね?」
「全然試してないよ。普通に知らないだけだもーん!」
(天使様が授けてくれた知識にもないもんね。でも誰かが云っていたような気がする。誰だったっけ? うーん、思い出せない)
「アリア、教えてー!」
「はぁ、分かりました。もし間違っている場合は訂正してくださって結構ですから。じゃあ始めますね。ストレイキャットとは、迷い猫とも呼ばれる獣人です――」
アリアはそのストレイキャットといわれる獣人の話しを始めた。
頭に耳、お尻に尻尾、毛の色は人によって色々あるみたいだけど、私と同じ姿の人達をそう呼ぶらしい。
遠い遠い遥か南に国があり、名前をキャットパラダイスっていうんだそうだ。
この国よりはすごく小さいけれど、皆気ままで楽しく暮らしているみたい。
結構気ままな人種で、世界を旅している者も多いのだとか。
出会うと幸運が訪れるなんて話もあるって。
だから捕まえようなんて思う人もいたみたいだけど、逆に不幸になって全財産を失ってしまうことが多発したんだそうだ。
下手に手を出さない方が良いということで、法律まで作られて保護されていると云っている。
今では人とも友好な関係みたい。
つまり、私はそんな種族の人なのか。
全然知らなかったよー。
「こんな感じですね。モモさん、何か間違っているでしょうか?」
「うーん、私、わかんなーい! たぶんきっとアリアが云った通りだよー」
「そういえばモモさんの話しは聞いたことがありませんわね。もしかして事情でもあるのですか?」
「事情ってなに?」
私は首を傾げた。
「……聞いたわたくしがバカでした。もういいです、話しを続け――」
アリアがお勉強を再開しようとした時。
部屋の扉がノックされた。
「モモ殿は居られませんか?」
この声は知り合いのブルースだ。
また何か頼み事かも?
「なにー?」
「おお、居られましたかモモ殿。ならば至急向かうと致しましょう。陛下がお呼びになられておられますからな」
ああ、お母さんが呼んでいるのか。
だったら行かないとね。
「陛下のお声がかかったなら行かねばなりませんね。モモさん、お勉強はまた今度ということにいたしましょう。わたくしは自分の部屋に戻っていますわ。何かあればまた声をかけてくださいませ」
「うん!」
ということで私と御主人は、お母さんの居るお部屋に向かった。
入ってみると今は書類仕事をしている最中みたい。
「私来たよー!」
「ええ、元気そうで何よりですね。早速ですが、実はモモさん、貴女と同じストレイキャットの方なのですが、噂を聞いてお会いになりたいと訪ねられた方が居られるのです。どうでしょう、一度会ってみませんか?」
(へー、ちょっと興味があるね。モモ、会ってみたら?)
「うん、そーだね。いいよー!」
「良かった、なら国のお客人として対応してくださいね。くれぐれも失礼のないように。わかりましたか?」
「はーい!」
私は元気に返事をした。
「ではブルース、モモさんを案内してあげてください。ちゃんとフォローもお願いします」
「ハッ、心得ましてございます」
そしてまた別の場所に行かなくちゃいけないみたい。
部屋を出てブルースの後ろについて行く。
「モモ殿、分かっておられると思いますが、相手はこの国を訪ねられたお客人です。例え同じ種族同士だとはいえ、おかしなことをなさらぬように」
「さっき聞いたよー」
「まあダメ押しというやつですな。モモ殿の戦闘の実力は知っておっても礼儀は全然ダメダメですからな、ハハハ!」
(まあ国の王様にあんな口を聞いてるんだから仕方ないよね。お勉強不足だよね)
「えー!」
うーん、もうちょっと頑張らないと?
じゃあその人にあったら元気に挨拶してみよう!
「さて、応接室につきましたぞ。もう一度言いますが、くれぐれも失礼のないようにですな」
「うん!」
「そこは、うん、ではなくてですな。はい、っと歯切れよく返事をするべきではないですかな?」
「はい!」
「よろしい、では入りますぞ」
そしてブルースが扉をノックする。
「モモ殿をお連れしました。入室しても?」
「ええ、いいですニャン」
返事をしたのは女の声だ。
同じ種族みたいだからちょっと楽しみ。
入ってみると、立派な長椅子に座る一人の女性の姿。
やっぱり頭には猫の耳、尻尾もフリフリしている。
髪の毛は虎柄だ。
私を見ると立ち上がり、
「貴女がモモ様ですかニャン!? 素晴らしい活躍をした人かニャン!?」
キラキラした目で見つめてきている。
(へぇ、語尾にニャンってつけるんだね)
「こんにちはニャン、モモだよー!」
(こんにちは、僕、ヒロだよ)
私は同じように語尾をつけ、ピョンと飛んで手を挙げた。
「モモ殿……」
ブルースは何故か項垂れているようだ。
また何かやっちゃった?
「失礼、私はブルース・グライブス。どうぞよろしく」
でも気を取り直して挨拶したみたい。
「皆さん挨拶ありがとうニャン。ニャンはココだニャン。今日はモモ様にお願いがあって来たんだニャン。ストレイキャットの名を上げてくれたモモ様には是非一緒に国に来てほしいニャン。歓迎するニャン!」
(そっか、モモにお礼をしたいんだね。行ってみてもいいんじゃない?)
「でも私、お部屋でゴロゴロしてたいよー」
(そんなこと云っていると、またアリアに怒られちゃうからね)
「えー、それはやだなー」
「ニャッ!? もしかしてモモ様はニャンちゃんとお話しできるのかニャン!?」
「うん、出来るよー」
「それは素晴らしいニャン。うちの王様も同じ能力を持ってるんだニャン。絶対話が合うと思うから是非あって欲しいのニャン! 美味しいご飯も御馳走するんだニャン!」
「わーい、行くー!」
美味しい物が食べられるなら行ってもいいなー!
「ありがとうニャン!」
(モモは結局ご飯なんだね)
「じゃあ早速準備するニャン!」
ココは私の手を引っ張った。
このまま連れていかれるのかな?
「ココ殿お待ちください。モモ殿はこの国の騎士として任命されております。なので勝手に連れていかれるのは少し困ります。まずはこちら側の準備を終えた後に送り出しますので、ココ殿は国にお帰りになってその事をお伝えください」
「んー、わかったニャン! じゃ、ココは帰るから、モモ様、またニャン!」
ココは手を振ると直ぐに部屋を飛びだした。
「……ハァッ!? ココ殿、勝手に帰られては困ります。せめてお見送りを!」
ついでにブルースも追い掛けて行く。
(やっぱりモモと似ている感じだね。自由なところとか)
「えー、そんなに似てないよー」
(絶対似てるって。それよりモモも追い掛けた方がいいんじゃない?)
「そっかー、じゃあ行くねー!」
私も御主人を抱っこして追いかけて行く。
丁度お城の正門前で追いついたみたい。
かなりハァハァいっているブルースと平然としているココが立っていた。
「それではココ殿、町の出口までお見送りしたいところですが、いきなりは……ちょっと無理でして。この辺りで失礼させていただきます」
「全然いいのニャン、モモ様もお見送り感謝だニャン!」
「うん、またねー!」
(ココさん、またね)
そこでココにお別れの挨拶をしたのだった。
これからまた新しい冒険が始まりそうな予感がする。
約束通り美味しいご飯を食べさせてくれるかな?
家猫のモモ
御主人(ヒロ)
王子シャーン
シャーンのお母さんテルナ
爺
青鎧のブルース・グライブス
教育係アリア・ファイリーズ
赤髪の槍使い、リーズ・ストライプ(エルフ)
桃髪の魔術師、カリン・ストライプ(エルフ)
ルーカ(孤児)
プラム・オデッセイ(ブルースに頼まれて特訓中)
ジャック・スロー (天狼ジャックスロー隊長、白い狼男)
クロノ・アークス (シャーンとルシフェリアのお友達)
シャルネリア・シャルル・シャリアット(同上)
剣と魔法の世界 ミドレイス
翼の生えた子供 ウリエリア




