難問は見える形でやってくる
アリアから鍵を受け取った私は王立図書館に向かったの。
受付のお姉さんは何万冊とある本の中からページの中に鍵穴がある物を探せという。
ペラペラページをめくり続けても全然見つからないし、受付のお姉さんにヒントを貰いに行ったんだ。
問題を解くと、百二十八段目の階段横にあることが分っかったの。
じっくり本を見て行くと、文字列に鍵穴があったんだ。
鍵を触れさせて勉学の塔に瞬間移動しちゃったよ。
一階に居た牛さんに出された問題を解くと二階に行けるようになったんだけど、これ以上はつきあっていられないよ。
私は塔の外から登って脱出することを決めたんだ。
「よーし、到着したよー!」
屋上には出入口もなかったんだ。
それでも五階に入ってみるしかないけれど、窓枠はぬるぬるで簡単に滑っちゃう。
流石にこんな所から落ちたくないよ。
でも頑張らなきゃ勉学の塔から脱出は出来ないよね。
狙いはあの窓穴。
あそこからするっと入り込むしか方法がない。
窓穴は六つあるけれど、距離も同じで難易度は一緒ぐらいだね。
なら一番近くの穴を選んでやるしかない、行っちゃおう!
「御主人、やるよ!」
(うーん、あんまり覚悟が出来ないんだけれど。まあ、モモの好きにしてみたら?)
「じゃあ行くね、たー!」
屋上からピョ―ンと飛びおりて窓枠に一直線。
あのぬるぬるを利用して、ツルっと入っちゃえばいいんだよ。
狙い通りにスタっと足をひっかけて……。
「わわわわわわわわ!?」
ツルーンって滑っちゃう。
でも足はちゃんと中に入ったんだ。
この勢いできっといける!
「ぷぎゃ!?」
背中をぶつけて頭の勢いで落ちちゃいそう。
だけど私は諦めないよ。
足のつま先をガチっと窓枠の隅に引っかけたんだ。
ここは滑らないから大丈夫!
勢いを耐えきったらあとは中に入るだけなの。
「あいた!?」
最終試練は後頭部の衝撃だったよ。
ちょっと涙が出ちゃったけれど、私は耐えきって体を部屋の中に引き入れたんだ。
何とか致命傷で済んだみたい。
やっと五階に到着したよ。
(ちゃんと二階から上がれば痛い想いをしなくてすんだのに)
「もうやっちゃったんだもん、しょうがないよ」
一階と同じで飾りっけのない部屋で、中心にはキラキラと光る蜃気楼みたいなものがある。
護っているのは五階の守護者さん?
眼鏡をかけた人間っぽいお猿さんだよ。
ちゃんとローブみたいな服も着ているんだ。
「ふうむ、まさか外から進入してくるとは想定外よ。今後は対策をせねばならぬな。しかしやってはいけないという規則はない。いいだろう、五階のテスト、見事受けきってみせよ!」
やっぱり人の言葉を喋るみたい。
「うーん、なにをするの?」
「人に必要なのは知識だけではない。この階で行うのは体力テストである。しかし貴様の様な規格外には普通のものでは物足りまい。ふむ、ならばこうしよう、その力を以て儂を倒して見せよ! この五階の守護者サルトビーをな!」
半身になって武術の構え?
武器は持っていないけど、結構強そうな雰囲気だよ。
「どうした、来ないのか? では此方から行ってやる!」
サルトビーが床を蹴って向かってくるの。
パンチ、パンチ、キック、キックを繰り出しピョ―ンと後ろに飛び戻る。
速い攻撃だけど、私には効かないよ。
全部サッと避けちゃったんだ。
「ほう、中々やるようだ。次はどうかな!」
そして次に来る攻撃は、パンチ、パンチ、キック、キック、全く同じパターンなの。
誘われている、それとももしかして、それしか出来ないのかな?
「これで最後だああああ!」
「えー、終わらないよー!」
私はサルトビーの攻撃に合わせてシュッとパンチを繰り出した。
もちろんバチンと当てて吹き飛ばしたよ。
「うぬぬ、儂の攻撃をしのぎ切るとは、中々やるな。では奥の手を出してやろう!」
キック、キック、キック、パンチ。
さっきとは違う攻撃。
もちろん避けたけれど、次に来るのも今のパターン。
同じ攻撃を続けるのはこの人(猿)の癖なのかな?
続けて来た攻撃にカウンターを入れたらグフっていって倒れちゃった。
「見事だ。儂を倒したお前は勉学の塔をクリアした証をやろう。部屋の中央にある光に触れよ。それでお前が学業に携わる証となる。さあ行くのだ」
うーん、意外と簡単だったけど、これでいいのかなぁ?
云われた通りに部屋の中央にある蜃気楼に触れてみると、ササッと景色が揺らいで王立図書館に戻っていたよ。
「御主人、これでいいのかなぁ?」
(たぶんね、受付のお姉さんに聞いてみよう)
ということで聞いてみると、どうやらこれで大丈夫みたい。
終わったからアリアに報告しに行ったんだ。
「アリア、終わったよー!」
「それは素晴らしいですわ。勉学の塔を終えたことでウィーディア国立学校への入学準備が整いました。モモさん、頑張って通ってみましょう」
「学校に行くのー?」
「ええ、一人でお勉強するよりも大勢のお友達と勉強した方がはかどるでしょう。それに、ちょうど学年が上がる時期です。途中で入って分からなくなることもないですからね」
「アリアはどうするの?」
「実は研究所の方が軌道に乗って来まして。最近は少しいそがしいのですよ。ですからモモさんが学校に通ってくだされば手が空くのですよね。あ、もちろん御主人さんもご一緒で構いませんから」
アリアと一緒に居られないのはちょっと寂しいけれど、忙しいのなら仕方ないよね。
「そっかー。じゃあいいよー!」
(学校かぁ、久しぶりだなぁ。勉学の塔でもズルしちゃってるし、モモは大丈夫?)
「うん大丈夫! 私、頑張るよー!」
「では制服をご用意しましょう」
頷くとアリアが学校の用意をしてくれたんだよ。
青色を基準にした制服は私の体型にピッタリなの。
入学の為に作っといてくれたのかな?
「アリア、ありがとー!」
「いえいえ、それより明日の入学式の為に手続きを読んでおいてくださいね。はい、どうぞ」
渡されたのは入学手続きの案内書だよ。
いいけど、明日って早過ぎない?
私は御主人と一緒に案内書を読み進めて何時の間に眠っちゃった。
そして入学式の日。
地図を見ながら学校へ向かい、入学式に出たんだよ。
周りの学生は年齢もバラバラ、ちっちゃな子も大きな大人も一緒に体育館に集まって優しそうな校長先生の挨拶を聞いたんだ。
とっても長くってウトウトしちゃったけれど、ちゃんと耐えきるとそれぞれのクラスに移動したの。
(ここみたいだね)
「うん、間違いないよ。特級クラスって書いてあるもん」
もう全員が中に入って居るみたい。
机の数と同じぐらいの人数が居るよ。
だいたい二十人ぐらいで、高校生ぐらいの子が多い感じ。
私が自分の名前が書かれた席に座ると、
「あの、私、カミル・ストラデジィっていいます。今日からよろしくお願いしますね」
「うん、よろしくねー! 私モモ、こっちは御主人だよー!」
(よろしくね)
「はい、よろしくお願いします」
隣の席には青い髪のカミルちゃん。
中学生ぐらいの女の子。
「あの、その子は使い魔なのですか?」
「違うよ、ご主人だよー!」
「そうなのですか? よく分かりませんがよろしくお願いします」
(よろしくねー!)
御主人にも挨拶をしてくれるいい子だよ。
「はいはい、静かにしてね。私はプラナ・イスリード。私はこのクラスを受け持つことになった先生よ。指定の席について自己紹介を始めましょう」
そして登場したプラナ先生により教室が静かになって、自己紹介が始まったんだ。
端の席から順番に、窓際奥の私は最後だよ。
皆の名前を聞きながら、周って来た出番。
「私モモだよー!」
って、元気に挨拶しちゃったんだ。
プラナ先生が補足して勇者だって伝えてくれると、皆がザワってしちゃったの。
勇者っていっても、私の顔を知らない人だって沢山居るもんね。
注目されてちょっと照れちゃった。
「それでは皆さんの能力確認のために今からテストをさせていただきます」
でね、今日も授業があるみたい。
初日は軽いテストをして能力をみるみたいだよ。
私はどんな敵よりも恐ろしい物に立ち向かい、返り討ちにされちゃった。
うーん、これからやっていけるかなぁ?
家猫のモモ
異世界に転生して人間となる。
御主人(ヒロ)
人間だったけど異世界に転生して白い猫になる。
エリオ・ジ・エイグストン(モモの従者)
レマ・トマトン(旅の同行者、料理人)
ナヴィア・ドライブズ(旅の同行者、馬車の運転手)
リシェーリア・パラノイア(プリスターの司祭今は味方?)
ゼノン・ハイム・ディラーム(ラヴィーナの従者)
王子シャーン
王女ルシフェリア
王女ラヴィーナ(格闘が得意)
王女イブレーテ(長女)
王子パーズ(恋焦がれる男の子)
シャーンのお母さんテルナ
ウィーディアの女王。
爺
シャーンやテルナの付き人。
フルール・フレーレ
ラヴィーナの師匠で格闘家。
青鎧のブルース・グライブス
教育係アリア・ファイリーズ
モモの教育係。
赤髪の槍使い、リーズ・ストライプ(エルフ)
桃髪の魔術師、カリン・ストライプ(エルフ)
冒険者、エルフの姉妹。
ベノム(ブレードバード隊、隊長)
ルーカ(孤児)
プラム・オデッセイ(里帰り中)
ジャック・スロー (天狼ジャックスロー隊長、白い狼男)
クロノ・アークス (シャーンとルシフェリアのお友達)
シャルネリア・シャルル・シャリアット(同上)
剣と魔法の世界 ミドレイス
翼の生えた子供 ウリエリア




