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ドラゴン降臨

 崖の底からブリザードドラゴンの背に乗って脱出し、その一吠えで吹雪を止ませたみたい。

 私と御主人はブリザードドラゴンとお別れして途中で獲物を狩ってから馬車に戻ったよ。

 美味しいお肉はちょっとだけお預けになったけど、雪の降る山脈からは無事に脱出できたんだ。

 そしてウィーディア側の麓の町で色々補給をすることになるの。

 買い物をしていると、店のおばさんにドラゴンが出るから物価が高くなっていると云われちゃった。

 私は買い物を終えて町合わせの場所に戻って来たエリオに事情を伝えたよ。


「この町にドラゴンが出る、ですか? 中々厄介なことになっているようですね……」


 結構深刻に悩んでいるみたい。


「うん、そう聞いたよー」


「ならば早く町を出なければなりませんね。パーズ様の身に危険が及んでは大変ですので」


「ドラゴンは倒していかないのー?」


「ええ、まずは殿下の安全が最優先です。倒すにしてもパーズ様を城に送り届けてからとなるでしょう。早速ディアス様に報告しなければ。モモ様は帰り支度を進めておいてください」


 エリオはディアスの下に走って行くの。

 町の人が困っているのにちょっと可哀想。


(まあ王子様が居るんじゃ仕方ないよ。ドラゴンも何時来るのかも分からないし、その間、何日も待っている訳にもいかないじゃない)


「そっかー」


 一ヶ月とか待たされたら困っちゃうもんね。


(さあ僕達も出発の準備をしとこうか。エリオが買って来た物を馬車に入れとこうよ)


「はーい!」


 いそいそ作業をしていると、エリオが戻って来たみたいだよ。

 ちょっと落ち込んでいる感じ。

 何かあったのかな?

 話を聞いてみると、


「はぁ、僕達だけ残ってドラゴンを追い払えとのことです。無茶ぶりにも程がありますよ。だって物語に出てくるドラゴンですよ、ドラゴン。モモ様はともかく、僕達なんて簡単に死んじゃいますよ! モモ様の力が頼りです。お願いしますよ!」


 捲し上げる様に叫んでいるよ。

 おっきなモンスターでも気後れしないのに、ドラゴンに何か思い出でもあるのかな?

 ちょっと考えていると、


「お姉ちゃん、また後でねええええ!」


 もう隣にあったディアス達の馬車は出発するみたいでパーズが窓のところから悲しそうに手を振っているの。

 でも大丈夫。

 倒して追い駆ければ良いんだもん。


「ぐじぐじしていても仕方ありませんね。ドラゴンが来るまで見晴らしの良い場所で野営の準備でもしていましょうか」


「うーん、でも、一週間しても来なかったらどうするのー?」


(ずっとこの町暮らしになっちゃうよね)


「それは……その時は、まあ城に連絡を入れてから町を離れることにしますよ。報告しておけば大丈夫でしょう」


 ドラゴンが飛んで来たとしても直ぐに見つけられるように私達は土がある少し高くて開けた場所で野営をするんだって。

 馬車を移動させて直ぐに準備を始めるの。

 焚き火はオッケー、レマも食事を作り始めたよ。

 ナヴィアは何時も通りやる気がない感じ。


 私とエリオは背中合わせでドラゴンを見張っているんだ。

 御主人は膝の上、なでなですると気持ちよさそうにしているよ。


「よし、飯が出来たぞさあ食いやがれ!」


 レマの声でご飯に振り向くと、


「モモ様、ドラゴンが現れました! さあ行きましょう!」


 エリオの方からも声がかかっちゃった。


「……後にしちゃダメ?」


「ダメに決まっているでしょう。こうしている間にも悪さをしているんですよ! 行きますよ、早く!」


「えー!」


 私はエリオに引っ張られてドラゴンが出た方向に向かったよ。

 暴れていた場所は家畜が飼われている農場なの。

 大きく広い柵の中で動物達が走り回っていてブリザードドラゴンから逃げ回っているんだ。

 でも結局は捕まっちゃってバリボリ食べられちゃっているよ。


 やっぱりこの間出会ったドラゴンかな?

 せっかく逃がしてあげたのに、こんな所で出会っちゃうなんて残念だよ。

 今度こそお肉にしてあげるからね!


「モモ様、流石にドラゴン相手では僕の力では無理です。応援していますので頑張ってください」


「うん、こうしている間にご飯が冷めちゃうもん。急いで倒して来るよ!」


(モモ、僕もエリオと待っているよ。あんなのに負けるとは思わないけど、気を付けてね)


「はーい!」


 私は返事をするとピョンと柵を飛び越えた。

 キャットスレイヴをサッと構えて走ってく。

 相手が気が付く一瞬手前。


「にゃあああああん!」


 ブリザードドラゴンの背後からズバッと斬りかかったんだ。

 頭にゴツンと強烈な一撃をあたえると。


『ガアアアア!?』


 突然の痛みに悲鳴を上げて崩れ落ちるの。

 やっぱり頑丈。

 一回だけだと無理っぽい。

 だから止めとばかりにもう一回。


 強烈な一撃で叩き伏せるとブリザードドラゴンは白目をむいちゃった。

 起きて暴れられる前に、ざっくざくにしてお肉にしちゃうよ。

 チャキッとキャットスレイヴを振り上げて……。


(ま、待てええええええ!)


 脳に響くこの声は前に聞いた物と同じだよ。

 起きたのかなって思ったけれど、下のブリザードドラゴンは気を失ったまんまなの。

 じゃあ聞こえてくるのは何処から?


 空を見上げてみると遠くの方からもう一体のブリザードドラゴンが飛んで来る。

 もしかしてあれがこの間会った方?

 私の目の前にバサッと降り立って、ちょっとだけ上半身をのけ反らせているよ。


(そ、そいつはまだ幼い子供なのだ、許してやってくれないか!? もう二度と人里には下りさせない。この我が約束しよう。頼む、この通り!)


 体を地面に着けて首を垂らしている。

 これがドラゴンの謝り方?

 またお肉が食べられなくなっちゃうけれど、問題が解決するならいいかなー?

 レマのご飯も食べなきゃいけないもんね。


「いいけど、今度見つけたら食べちゃうからね!」


(分かっておる。貴様のような強者を相手にしていたら幾ら命があっても足りないからな。こやつにもそれをしっかり伝えておく)


 ブリザードドラゴンがブリザードドラゴンを抱えると、


(礼を持ってくる。少しここで待っておれ)


 助けてあげたお礼に何かくれるみたい。


「お肉をくれるの?」


(……肉はやることが出来ん。もっと良い物だ)


「ふーん、愉しみにしているよー」


(そうか、ではまた会おう、人の強者よ)


 ブリザードドラゴンは仲間を抱えて飛んで行っちゃった。

 そして私のお腹がグーと鳴ったの。

 あ、まだご飯食べていないんだった!?

 安全と見て御主人とエリオが駆けてくるよ。


「流石モモ様、あのようなドラゴンも一瞬で倒してしまうとは。これで普段の行いが良ければ……」


 何か失礼なことを考えている?


(あ、行っちゃった。ここで待っていたらご飯を食べに行けないね)


「えー、そんなー!」


 約束したから、私はお腹を鳴らしながら三十分ぐらい待ち続けたよ。

 戻って来た頃にはもうゲッソリ。

 ブリザードドラゴンがお肉の塊に見えちゃった。

 ああ、よだれが垂れちゃいそう。


(そ、そんな獲物を見るような目をするな。ほら、持って来てやったぞ)


 脅えた目をしたブリザードドラゴンの手から小さな鈴のような物を受け取ったよ。

 うーん、金属っぽいから食べられそうもない。


「これは何?」


(アクセサリー? モモに似合いそうな物だね。とりあえずお礼を言っといたら)


「うん、ありがとう!」


 本当はお肉が食べたかったけれど、一応お礼を言ってみた。


(聞いて驚くがいい。それはこの我を使役することが出来るアイテムなのだ。圧倒的な強敵も、大地を震わす巨敵であろうと相手になってやる。必要な時はグッと握り込んで念じるがいい。しかし頻繁に呼び出されると困るのでな。精々一週間に一回程度に抑えてくれるとありがたい)


「ふーん?」


 手の中で転がすとなんだか楽しくなってくる。

 はっ、こんな事をしている場合じゃない。

 早く帰ってご飯を食べなくっちゃ!


「私ちょっと急ぐの。今度使ってみるよー! じゃあまたねー!」


(ばいばーい!)


(う、うむ。出来る限り約束は守るのだぞ。ちなみに我の名はティアマトン忘れるでないぞ)


「はーい!」


 戸惑うブリザードドラゴンを背にして、私は柵の向こうに避難していたエリオをガシッと掴みキャンプ地に戻って行くの。

 すごく急いだけれど、


「遅すぎる、もう片付けちまったよ!」


「えー!」


 帰った頃にはご飯が片付けられていて何にもなくなっちゃっていたよ。

 すごくガッカリ。

 もう一度作ってもらわなきゃって思っていたら、


「まあ安心しなよ。そこに取り置きしてある物があるからさ。今はそれで我慢するんだね」


 私の分を残しておいてくれたみたい。


「ありがとうレマ!」


 私はお礼を言ってパクパク食べ尽くしたんだ。

家猫のモモ

異世界に転生して人間となる。


御主人ごしゅじん(ヒロ)

人間だったけど異世界に転生して白い猫になる。


エリオ・ジ・エイグストン(モモの従者)

レマ・トマトン(旅の同行者、料理人)

ナヴィア・ドライブズ(旅の同行者、馬車の運転手)

リシェーリア・パラノイア(プリスターの司祭今は味方?)


ゼノン・ハイム・ディラーム(ラヴィーナの従者)


王子シャーン

王女ルシフェリア

王女ラヴィーナ(格闘が得意)

王女イブレーテ(長女)

王子パーズ(恋焦がれる男の子)


シャーンのお母さんテルナ

ウィーディアの女王。


グリフ・リスマイヤー

シャーンやテルナの付き人。


フルール・フレーレ

ラヴィーナの師匠で格闘家。


青鎧のブルース・グライブス

教育係アリア・ファイリーズ

モモの教育係。


赤髪の槍使い、リーズ・ストライプ(エルフ)

桃髪の魔術師、カリン・ストライプ(エルフ)

冒険者、エルフの姉妹。


ベノム(ブレードバード隊、隊長)


ルーカ(孤児)

プラム・オデッセイ(里帰り中)

ジャック・スロー (天狼ジャックスロー隊長、白い狼男)


クロノ・アークス (シャーンとルシフェリアのお友達)

シャルネリア・シャルル・シャリアット(同上)


剣と魔法の世界 ミドレイス

翼の生えた子供 ウリエリア

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