雪の山脈を越えて
グラガリィを閉じ込めたまま帰り支度をするの。
リシェーリアは教会を建て直す為にもここでお別れするんだって。
皆にバイバイしてディアス達と合流して湖や森で色々採ってから町に戻ったんだ。
それから王様から食事会に誘われて皆で美味しくご飯を食べたんだよ。
パーズとミリアが涙ながらにお別れして数日。
私達はまだ山の中を移動していたよ。
順調に進んでいると言いたいけれど、残念なことに天気は大荒れ。
周りは吹雪いて真っ白なの。
禁断の森で起こった霧みたいに風で吹き飛ばす訳には行かないし、強引なことをしたら雪崩まで起きちゃいそう。
道も分からないから大きな雪のかまくらを作って中で待機中だよ。
急いで作ったから手が冷たくなっちゃった。
「モモ様、これでは当面の間は進めそうにないですね。寒さは問題ないのですが、食料は少し足りなくなりそうな感じですよ。少しばかり我慢してもらうことになるかもしれません」
「えー!」
「仕方ないではありませんか、もう少し節約した方が良いと伝えておいたのに、バクバク食べてしまうモモ様が悪いのです」
(これは反論出来ないよね)
確かにもぐもぐ食べてたけれど、食料は充分に詰め込んで余裕があるって思ったんだもん。
「パーズの方は余ってないのかなぁ?」
「殿下から分け与えてもらおうなどと言語道断。やはり我慢してください! 大丈夫、一日や二日食べなくたって死にやしませんので!」
「死んじゃうよー!」
一日でも辛いのに、二日なんて耐えられない。
「平気です。水なら沢山ありますからね。それでも食べたいというのならご自分で獲りに行かれたらどうでしょう」
「むー、じゃあ獲りに行くよー! 御主人、行こう!」
(いいけど、帰って来られる? 迷ったら大変だよ?)
「何とかなるよ、たぶん」
(うーん、じゃあ行ってみようか。防寒着は忘れないでよね)
「はーい!」
私と御主人は防寒着に着替えると、温かい馬車の中から吹雪く外に飛び出した。
真っ白で何にも見えないけれど、きっと何かがあるはずだよ。
だってそうじゃないとお腹が空いちゃうんだもん。
お肉はどっちにあるのかな。
あっちかな?
それともこっち?
考えたって分からないし、行きたい方向に行ってみよう!
タタタって走ると数秒もしない内に自分の居場所が分からなくなっちゃった。
だけど雪のかまくらの中に居る皆の気配は感じているよ。
だからもうちょっと先に進んでみちゃうんだ。
例え雪山だとしても生き物は住んでいるはずだしね。
きっとどこかに……。
「あ、見つけた!」
動いている動物の気配。
結構な大物かも。
(え、どこ?)
「んー、あっちの方!」
ちょっと遠いけど、これを逃す手はないよ。
ドンドン進み気配を追って行くと、突然足元の雪が崩れちゃった。
突然のことで回避は難しい。
相当深い穴の中に呑み込まれちゃいそうなの。
(うわわわわ!?)
でも大丈夫。
壁に手をかけてちょっと体勢を直しちゃえばこんな所簡単に。
掴んだ壁は氷のようにツルっと滑るの。
「にゃわわわ!?」
(ええええええ!?)
もう爪を伸ばしても届かない。
こういう時はキャットスレイヴをクッションにしたり突き刺したりして地面に着地したんだよ。
「ふぅ、助かったー!」
(うーん、ちょっとビックリした)
上を見てみると、百メートルぐらいは落ちて来たみたい。
ちゃんと着地しなきゃ危なかったね。
(じゃあ早く上に戻ろうか)
「待って御主人、得物が近い感じがするよ。この近くに何か居るみたい! さっきのかも!」
大穴の下に続く道の先を指さした。
(え、そうなんだ。僕達と同じように落ちちゃったのかな?)
「かも?」
何が居るのかわ分かんないけど、結構な大物の予感。
逃げられる前に急いで走ると気配が近づいてくるよ。
踏みしめた雪の音を聞きながら、到着したのは大きく開けた氷の広場。
切り立つ壁が真っ青に凍ってガラスか宝石みたいにキラキラ光っている。
そして中央には体を丸めた大きな獲物が居るんだよ。
「あー、見つけた!」
(ええええええ、あれドラゴンじゃない!?)
青、というよりは全体的に水色の体。
何と無く皮膚も氷っぽいのが特徴的。
だけどそれ以外はほぼ同じ。
大きなトカゲみたいな見た目で後頭部には二本の角。
背中に一対の翼と太い尻尾も伸びているよ。
これってたぶんブリザードドラゴンっていうやつかな?
とても大きくて……食べ応えがありそうな感じ。
じゅるるって、ちょっとよだれが垂れちゃった。
(え、食べるのこれ?)
「御主人、好き嫌いはダメだよ!」
(いや、そういう問題じゃないと思うんだけど)
喋っているとブリザードドラゴンが頭を上げた。
私達に気が付いたみたい。
(我が眠りを妨げるとは覚悟は良いのだろうな。永遠の彫像にとなり無限の時を過ごすがいい!)
頭に流れ込んで来る声はブリザードドラゴンのもの?
かなり怒っている感じだね。
威嚇するように口から氷のブレスが上にブワっと吐き出された。
チラチラ輝くダイヤモンドのような氷の結晶が落ちて来るの。
(流石に、会話が出来るドラゴンさんを食べる訳にはいかないんじゃない?)
「でも、ご飯がないと死んじゃうよ? ほら、丸々太って美味しそう! 頑張れば食べられるよ!」
(貴様あああ、我を食うつりか! もう許さあああん!)
ブリザードドラゴンは両の翼をバサッと広げて威嚇しているの。
「許す気なんてなかったくせにー!」
でもそんなの怖くない。
私はベーって舌を出してやったんだ。
キャットスレイヴをガッチリ構えると、ブリザードドラゴンに向かったんだよ。
(貴様など直ぐに粉々に砕いてやるわ!)
冷え冷えのブレスがこちらに向くの。
触ってもいないコートの端がガッチガチに凍り付いちゃう。
真面に食らったら大変そう。
当たらないようにササっと躱して近づくよ。
「お肉ちょうだーい!」
ブリザードドラゴンも必死に首を動かして追って来る。
かなり広範囲、触って無くても肌が凍り付きそうなのを我慢して、
(ぬお、速い!? しかし、なまくらな武器などで我に傷をつけることは出来ぬはあああああ!?)
一瞬の隙をついてバシッと一発。
結構力を込めたけど、背中の部分がピシッと割れただけだったよ。
(お、おのれ、これ程の力を持つ者とは油断したぞ。だが我はこの程度では死なん! 死なんのだ!)
でもそのひび割れも氷がくっつくように直ぐに元通り。
軽い攻撃をしてもダメージを与えられそうもないの。
それじゃあもっとバシバシやっちゃおう。
「にゃあああああああ!」
ガンガンゴンゴンやってると、
(ぬあああああ、食われるううう!? た、助けてくれええええ!)
ブリザードドラゴンが降参したみたい。
バサバサ翼を動かして飛び立とうとしているよ。
でも、逃がさない!
キャットスレイヴで天井を網のように覆うとブリザードドラゴンがグニって当たって跳ね落ちて来る。
自分が作ったかたい地面にぶつかってすごく痛そうにしているよ。
(はわわわわわわ、調子に乗ってごめんなさい。謝るから食べるのだけは許してください。この通り!)
ブリザードドラゴンは頭を地面に擦るように命乞いを続けているよ。
やっぱり言葉が分かるとちょっと可哀想になっちゃうよね。
(モモ、やっぱり可哀想だよ。許してあげられない?)
「うーん、御主人が云うのならそうしてもいいけど……。何にも食べられないと困っちゃうよー? 吹雪で全然進めないもん、食べられないとお腹が空いちゃうよ」
(なら……尻尾だけにしとこうか。全部持って行っても食べられないもん。ドラゴンさんも死ぬよりはマシでしょう)
「ああ、なるほど、じゃあそうしよう!」
(ままままま、待った! 吹雪で進めないというのならこの我が何とかしよう! それで是非許して欲しいのだが!)
「逃げないよねぇ?」
(逃げませんとも! この尻尾にかけて!)
ご飯を探していたら何か進めるようになっちゃった?
お腹が空いちゃうけれど、もうちょっとだけ我慢しようかなぁ。
家猫のモモ
異世界に転生して人間となる。
御主人(ヒロ)
人間だったけど異世界に転生して白い猫になる。
エリオ・ジ・エイグストン(モモの従者)
レマ・トマトン(旅の同行者、料理人)
ナヴィア・ドライブズ(旅の同行者、馬車の運転手)
リシェーリア・パラノイア(プリスターの司祭今は味方?)
ゼノン・ハイム・ディラーム(ラヴィーナの従者)
王子シャーン
王女ルシフェリア
王女ラヴィーナ(格闘が得意)
王女イブレーテ(長女)
王子パーズ(恋焦がれる男の子)
シャーンのお母さんテルナ
ウィーディアの女王。
爺
シャーンやテルナの付き人。
フルール・フレーレ
ラヴィーナの師匠で格闘家。
青鎧のブルース・グライブス
教育係アリア・ファイリーズ
モモの教育係。
赤髪の槍使い、リーズ・ストライプ(エルフ)
桃髪の魔術師、カリン・ストライプ(エルフ)
冒険者、エルフの姉妹。
ベノム(ブレードバード隊、隊長)
ルーカ(孤児)
プラム・オデッセイ(里帰り中)
ジャック・スロー (天狼ジャックスロー隊長、白い狼男)
クロノ・アークス (シャーンとルシフェリアのお友達)
シャルネリア・シャルル・シャリアット(同上)
剣と魔法の世界 ミドレイス
翼の生えた子供 ウリエリア




