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町に帰ろう

 自らのピンチに姿を変えたグラガリィ。

 私達から一気に距離を取って逃げて逃げて逃げまくる。

 追い掛けてはみたものの、地理的にもスピード的にも追いつけそうもない。

 私は湖でやった釣りの事を思い出してエリオに作戦を伝えたよ。

 そして作戦通りグラガリィを捕まえたんだ。

 教会の一室でエリオと尋問していると、このグラガリィより更に上の奴が居るみたい。

 唯一国と名乗るパラドライオという国の王様なんだって。

 グラガリィを部屋に閉じ込めたまま、私達は帰りの支度をしているよ。

 お片付けのお手伝いとかもしたいけれど、一緒に調査していたディアス達も心配しているかもしれないもんね。

 早く報せに戻らなきゃ。

 それで皆で作業をしていると、


「あの、モモ様、私はここで失礼をさせていただこうかと。私は元々プリスターの人間ですし、この状況を見て見ぬふりはできませんもの。あ、もちろん帰り支度は心を込めてさせていただきます!」


 ウィーディアからついて来たリシェーリアはこの教会を再建するためにお別れするみたい。

 ちょっと寂しくなるよね。


「そっか、分かったよ。それじゃあ最後まで頑張ろう!」


「ええ、頑張りますとも!」


 皆で頑張ると支度は直ぐに完了したよ。

 昨日の夜に夜食を作ってもらった分を片付けただけだもん。

 それと、プリスターの皆からは、お菓子とか色々なお土産なんかを貰ったんだ。

 早速一つパクっと食べたらもう一つ食べたくなっちゃったよ。

 でも食べてたら進まないだろうってレマに怒られちゃって、片付けを全部終わらせてから皆で食べたんだ。

 満足したところで最後にグラガリィを詰め込んで、


「モモ様、皆様、どうぞお元気で。これまで楽しゅうございました」


「プリスターの大司祭として皆様の無事を心よりお祈り申し上げます」


 プリスターの皆ともお別れの時が来たみたい。

 リシェーリアは母親のパラノイアやプリスターの皆と共に頭を下げてくれたよ。


「うん、リシェーリアも元気でね」


(ここまでありがとうね!)


 私と御主人も感謝を伝えたの。


「リシェーリア殿、ここまでの長旅に同行してくださり感謝します。貴女の情報のお蔭でプリスターに蔓延った巨悪を退治することが出来ました。ありがとうございます」


「んじゃ、そういうことでー」


「アタイもまあまあ楽しかったよ。リシェーリア、元気でやんな」


 他の皆もそれぞれに別れの挨拶をすませ、


「はい、ではまた」


 私達はリシェーリアにブンブン手を振ってお別れしたよ。


「それでは出発いたしましょう。ナヴィア、道は覚えているな?」


「あー、どうだったかなー? 忘れちまったかもー?」


 ナヴィアが道を覚えてないみたい。

 そういえば何処から来たんだっけ?

 ここから見える洞窟はいっぱいあるし私も分からないよ。


「おい、また迷うのは勘弁だぞ!」


「んー、まあ何とかなるんじゃないの? ……たぶん」


「ならばまず道を聞いてだな」


「あー、それじゃあ行くよー」


 面倒くさがったナヴィアが勝手に馬車を出発させちゃった。

 向かった穴は正しい物か、どうなんだろう?

 入ってみると何となく見覚えのあるような感じ。

 ちゃんと出れたことを確認した時、やっとこれが正解なんだって分かったよ。


 目の前に広がるサーバルガ湖。

 見渡してみたけどディアス達は居ないみたい。

 町に戻っているのか、それとも?

 行き違いになったらめんどうだよね。

 私は御主人を連れて捜してみたの。


 タタって移動して行くと、遠くでキャンプしていたのを見つけたよ。

 すごく心配していたみたいで怒られちゃったけど、今までの事情を話して納得してもらったんだ。


「少し見ない内に黒幕まで撃破してくるとは、流石は陛下に見込まれた勇者です。とても驚愕いたしました。パーズ様も首を長くしてお待ちのはずです。合流時間を待ってから町に帰りましょう」


「はーい!」


 待ち時間には、お魚を釣ったサーバルガ湖でもう一度お魚を確保して時間を過ごすの。

 皆と合流してからはからは、禁断の森に突入したんだ。

 グリザリィを倒した小屋近くで山菜とお肉をたっぷり取って、ご飯が尽きることなくパーズが待っているアィズへイムに戻って来たよ。


 捕まえていたグラガリィを王様に引き渡すとエリオが話しをつけてくれるみたい。

 ディアスもそれで良いと言っているよ。


「ふむ、ドゥーズディアの法に従わせると? ふぅむ、しかしですな。このような恐ろしいモンスターに人の法が守れますかな?」


「守る、絶対に守る、だから命だけは助けてくれ!」


「陛下、本人はこう言っていますが、下手な温情はかけない方が宜しいかと。何時何をしてくるのか分かりませんので」


「待ってくれ、それでは約束が違うではないか! 証言したら減刑してくれるのではなかったのか!?」


「もちろん約束は守る。我がウィーディアはお前の罪を減刑すると約束しよう。我が国は、だが。当然だが、この国は我々の国ではない。我々がこの国の法律に関知出来るはずもないのだ。もしもお前が我が国に移送される場合には全力で対処しよう」


「そ、そんな。そんなあああああ!?」


 町に絶望したグラガリィの声が響く。

 そして王様から沙汰が下ったの。

 死刑だけは許してもらえたみたいだけど、死ぬまで延々と牢屋の中で暮らさせるらしいよ。


 もう二度と出られないから悪さは出来ないね。

 私達はモンスターになっちゃったグラガリィの移送を手伝ってあげたんだ。

 もし何かやってきたら危ないもんね。

 牢屋の中でもガッチガチに拘束されるまで見届けて残りは……。


「さてと、当面の目的は果たしましたね。あとはパーズ様を連れ帰るだけです」


「それでパーズは何処に居るの?」


「今はミリア様とデートの最中らしいですよ。また帰るのを嫌がられなければいいのですが……」


(そうなったら困っちゃうね)


「うーん、とにかく行ってみようー!」


 私達はパーズが居るというウィードの小川に向かったよ。

 ドゥーズディアに来た時にも同じ場所に居たんだけれど、お気に入りの場所なのかな?

 ピョンピョン移動して行くと、


「ミリアちゃん……」


「パーズ様……」


 二人は手を握り合って今まで通りな感じだよ。


「僕、そろそろ帰らなきゃいけないみたい。ミリアちゃん、今度来る時には立派な男になっているはずだから、それまで待っていて!」


「とても残念ですわ。会えない時間は辛いですもの。でもお待ちしております。何時までも、何時までも!」


 でも今回はちゃんとお別れを言えたみたい。

 これで帰ることが出来そうだよ。

 まあ、帰るのは明日なんだけどね。


 旅の準備もあるし、王様からは今度こそはって食事会に誘われちゃってるもん。

 断ったら可哀想!

 私はその時が来るのを愉しみに待ちながら馬車に荷物を詰め込んだの。


 ……そして色々準備している間に砦から及びがかかったよ!

 こっちは大体終わったし、エリオは頷いて良いって云ってるんだ。

 その瞬間、馬車に居る皆をガッチリ確保して急いで砦に向かったの。


「わー、いっぱいあるよー!」


 砦前の野外会場にはおっきなテーブルが幾つも並べられていて上には多くの料理が出来上がっているよ。


 カリカリのフライにされたお野菜と、風味がよくてコクのあるドレッシングがかけられた野菜サラダ。

 噛むとじゅわっとだし汁が溢れ出す煮込まれて柔らかくなった野菜が山盛りに入ったスープに、シャキシャキ野菜が炒められた料理。

 スイーツみたいな甘い野菜のステーキとかもあるみたい。


 ……どれも美味しいんだけれど、見当たらない物があるの。


「ねぇねぇ、お肉は? お魚さんは?」


 不思議に思った私は王様に聞いてみたよ。


「あー、実はですな。先日やった食事会の時に全て出し尽くしていまして。今はこれしか出来ないのですよ。とはいえ、どれも美味しい料理ですので是非味わってください」


「そっかー、ないのかー」


 ちょっと残念だけれど、無いのなら仕方ない。

 テーブルの料理も全部美味しいし、それならそれで大丈夫。

 次は何を食べようかなってテーブルを見回すと、


「……それはつまり、アタイの出番ということだね! おいエリオ、湖で釣った魚も森で獲った肉も全部出しな! アタイの腕を見せつけてやるよ!」


 レマが両手に調理器具を持って現れたんだよ。

 足りなかった物を作ってくれるみたい!


「エリオ、急いで持って来てー!」


「いや、しかし帰りの食糧が……」


 帰りのことを心配しているエリオ。


「大丈夫、また取りに行けばいいよー!」


 でも今はそんなことより美味しいご飯の方が大切なの!


「はぁ、分かりましたよ。帰りに泣いてもしりませんからね」


 そしてレマの手によりお肉とお魚の料理が並べられたの。

 パクっと食べると良い感じ。

 皆と一緒にお食事をして私は大満足で食事会を終えたんだ。

家猫のモモ

異世界に転生して人間となる。


御主人ごしゅじん(ヒロ)

人間だったけど異世界に転生して白い猫になる。


エリオ・ジ・エイグストン(モモの従者)

レマ・トマトン(旅の同行者、料理人)

ナヴィア・ドライブズ(旅の同行者、馬車の運転手)

リシェーリア・パラノイア(プリスターの司祭今は味方?)


ゼノン・ハイム・ディラーム(ラヴィーナの従者)


王子シャーン

王女ルシフェリア

王女ラヴィーナ(格闘が得意)

王女イブレーテ(長女)

王子パーズ(恋焦がれる男の子)


シャーンのお母さんテルナ

ウィーディアの女王。


グリフ・リスマイヤー

シャーンやテルナの付き人。


フルール・フレーレ

ラヴィーナの師匠で格闘家。


青鎧のブルース・グライブス

教育係アリア・ファイリーズ

モモの教育係。


赤髪の槍使い、リーズ・ストライプ(エルフ)

桃髪の魔術師、カリン・ストライプ(エルフ)

冒険者、エルフの姉妹。


ベノム(ブレードバード隊、隊長)


ルーカ(孤児)

プラム・オデッセイ(里帰り中)

ジャック・スロー (天狼ジャックスロー隊長、白い狼男)


クロノ・アークス (シャーンとルシフェリアのお友達)

シャルネリア・シャルル・シャリアット(同上)


剣と魔法の世界 ミドレイス

翼の生えた子供 ウリエリア

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