プリスターの本部は何処?
ドリックス平原とサーバルガ湖。
二つの行き先があるからディアスと手分けしてサーバルガ湖の方に向かったの。
凍った湖で釣りをしてお腹がいっぱいになったら先にある山脈に進んだんだ。
フィルティス鍾乳窟の入り口はいっぱいあるから幾つかの入り口を選定したよ。
御主人とエリオも一緒に洞窟を調べたの。
(わわわわわ、あんなのに潰されたら死んじゃうよ!)
「大丈夫、シュパーンってやっちゃうから!」
私は言った通りにゴロゴロ転がる大岩をキャットスレイヴで切り裂いたんだ。
ガラっと崩れて目の前に残骸が積み上がるの。
結構山になってるけど普通に通り抜けられるよ。
だから奥には進めたんだ。
「ここは外れだったのかなぁ?」
(うーん、避けて進んでも行けるからね。もうちょっと進んでみないと分からないかも)
「それじゃあ行ってみよー!」
(おー!)
進んでみたけど、火が出てきたり、氷水が出てきたり、落とし穴があったり、矢が飛び出てきたり、いっぱい罠にかかっちゃった。
最後は、這って行かないと通れなくなるぐらいに狭くなっちゃったの。
これじゃあ馬車では進めないよね。
(ここは違うみたいだね。次の穴に向かってみようか)
「そうだねー!」
私達は穴から引き返して次の穴に移動してみたんだ。
罠に注意しながら中に入ってズーンと進んでみたの。
今度は罠は何も無いみたい。
でもね、右も左も上も下も、後ろを見たら気付かなかった横道があったりして迷っちゃいそうなんだ。
「御主人、たぶんこっちだよ」
(そっちはたぶん違うんじゃないかなぁ?)
何度も何度も行ったり来たりして、実際ちょっと迷っちゃったし。
でも偶然外が見える小さな隙間があったからサッと切り裂いて脱出したんだよ。
まだ探せそうなところはあるけれど、地図とか作らないと難しいかも?
一度引き返して最後の穴に向かったの。
(ここが最後だね)
「うん、違ったら二つ目のやつかもね」
最後の穴にも罠があるみたい。
そのかわり道は複雑に別れたりはしていないよ。
たまに一本、二本、そのぐらい。
パタパタ走って全部見て回ったの。
とっても長くて大変だったけど、何にも見つからなくてガッカリしたよ。
結局元の道に戻って先を調べてみたら、長く続いた鍾乳窟を抜けられたんだ。
「ここがプリスターの本部?」
(うん、その可能性は高いんじゃない?)
私と御主人はコッソリ隠れて先にある物を見てみたの。
巨大な山脈に隠れるようにある広場。
中央に立派な神殿がデーンと建っている。
働いているのはプリスターの司祭服を着た人達。
教会の人なのに槍なんか持って警戒している感じ。
(一度戻って皆に報告しに行こうか。あんまり遅くなると心配されちゃうし)
「そうだね!」
私は道を引き返そうとしたんだけれど、そこには鉄の檻があったんだ。
更に後ろにも鉄の檻がガチャンッと下りて閉じ込められちゃった。
こんなの無かったよね?
(もしかしてバレてた?)
「うーん、そうかも?」
ほぼ同時ぐらいで、槍を持った教会の人達が駆けてくるの。
出るのは簡単なんだけど、このまま流されてみるのもいいかもしれない。
大ボスが出て来るかもしれないもん。
ちょっと様子を見ていると、教会の入り口から宝石ジャラジャラで金ぴか衣装のお爺さんがやってくる。
何と無くどこかで見たことがあるような顔で、今までの人達とはちょっと違う感じ。
偉い人なのかなぁ。
「どこかの罠が起動したかと思えば、何度も何度もアラームを鳴らしおって! うるさいったらありはしないわ! 貴様が何処の誰かは知らん、だが、この場で処刑してくれるわ!」
すっごく怒っていて、いきなり近くの人から槍をひったくり、檻の隙間からグッと差し入れて来るの。
だから私はヒョイって避けたんだよ。
「避けるなあああああ!」
それがダメだったのかなぁ?
お爺さんは怒りに目を滾らせながら槍を連続で突き入れて来るんだ。
当たったら痛いから全部避けると老人はハァハァ息を切らせて疲れているよ。
「も、もういい。全員でやってしまえええ!」
命令された人達は檻の前で並んでいる。
手に持った槍を突き入れるつもりだね。
避ける場所は少ないけれど、このぐらいなら大丈夫!
天井に張り付いたり壁に張り付いたりしながら全部全部避けちゃった。
「べーだ!」
(べー!)
舌を出してベーって挑発。
お爺さんは顔を真っ赤にしているよ。
「うぬぬぬぬぬぬ! もう許さん、油だ、油を持ってこい! 直ぐに焼き殺してくれるわああああ!」
もっと危険な手段を用意しそうな感じ。
うーん、そろそろ逃げ出すのもいいかなぁ。
私がキャットスレイヴを取り出そうとしていると、
「あなた達、一体何をしているのですか!」
女の人の声が聞こえてくるんだ。
宝石とかはつけていないけど、やっぱり特別そうな衣服を着ているの。
四十代……ぐらいかなぁ?
そこそこ偉い人なのかも?
「クッ、パラノイアめ、大人しくしておればいいのに首を突っ込みおって! もういい、こいつは侵入者だと伝えておけ!」
お爺さんは怒ったまま背中を向けて教会に入って行っちゃった。
代わりに途中で説明を聞いたパラノイアって人だけがやって来たの。
私はちょっと逃げるタイミングを無くしちゃったよ。
「あなたが侵入者? プリスターを滅ぼそうとする他教会の刺客ですか。我々は争いを好みません。出来れば穏便に話し合いをしませんか」
「……話し合い?」
パラノイアは何だか優しそうな顔をしているの。
うーん、悪いことをして来た人には見えないよね?
それにこの人も見たことがあるような?
(話してみてもいいんじゃないかな。いきなり襲ってきたさっきの人よりは全然ましだし)
「いいよー、話し合おー!」
檻をスッパリ切って外に出るとパラノイアがちょっと驚いているみたい。
「お、襲ってこないでくださいね」
「襲わないよー」
キャットスレイヴはペンダントにするとちょっと落ち着いてくれたみたい。
「……そうですか。では名乗らせていただきましょう。わたくしはプリスター教団最高司祭の一人、リーンフェリア・パラノイアです」
私の前でちょこんと裾を広げて挨拶してくれたんだよ。
じゃあこっちも挨拶しとかなきゃ。
「私はモモだよー! こっちは御主人なの」
(ヒロだよー!)
「えっとね、ここに来たのはね――」
軽く自己紹介をしてここに来た目的を伝えたの。
「……なんですって、わたくし達が世界征服を企む悪の組織ですって!? なんて侮辱的な発言をするのですか、我々は愛と平和を広げる為に活動しているのですよ! 世界征服などあり得るはずがありません、おかしなことを云わないでくださいませんか!」
全部本当のことを言っているのに信じてくれないみたい。
「でもね、グレゴリーとグリザリィが人体実験とかして怪物を作ったりしてたんだよ。皆すっごく迷惑してたんだよ!」
「グレゴリー、グリザリィ……まさか!? グラガリィ・サン最高司祭がからんでいるというのですか!? しかし、プリスターの司祭がそんなことをするはずは……」
パラノイアは神妙な表情で考え込んでいるの。
もしかしてグラガリィってグレゴリーとグリザリィの関係者?
そうだとしたら悪い人決定だね。
「どうやらこちらでも調べてみる必要があるようですね。貴女は随分強いようですから少し協力していだだけませんか」
(パラノイアさんは、あんまり悪そうな人には見えないけど、どうするモモ?)
「うーん、いいけど。悪いことはしないからね!」
「もちろん、そんなことをさせる気はありません。もしもの時の為に護衛をしていただきたいだけですから。いいでしょうか?」
「分かったよー!」
待っている皆には悪いけど、もう少しだけ待っていてね。
私はちょっと用事ができちゃった。
パラノイアは教会で目立たない司祭服を持って来てくれたの。
外で着替え終えると一緒にプリスターの神殿に入って行くんだ。
綺麗な絨毯、大きなシャンデリア、誰かの肖像画や、何かよく分からない壺とか、神殿といっても中はお城みたいな感じ。
違うのは窓が全部ステンドグラスで外から覗き込むことはできないぐらい。
司祭というよりは見習いな感じの人が掃除をしていたりしているよ。
パラノイアを見るとペコっと挨拶してくるの。
最高司祭って云っていたし、やっぱり偉い人なのかな?
家猫のモモ
異世界に転生して人間となる。
御主人(ヒロ)
人間だったけど異世界に転生して白い猫になる。
エリオ・ジ・エイグストン(モモの従者)
レマ・トマトン(旅の同行者、料理人)
ナヴィア・ドライブズ(旅の同行者、馬車の運転手)
リシェーリア・パラノイア(プリスターの司祭今は味方?)
ゼノン・ハイム・ディラーム(ラヴィーナの従者)
王子シャーン
王女ルシフェリア
王女ラヴィーナ(格闘が得意)
王女イブレーテ(長女)
王子パーズ(恋焦がれる男の子)
シャーンのお母さんテルナ
ウィーディアの女王。
爺
シャーンやテルナの付き人。
フルール・フレーレ
ラヴィーナの師匠で格闘家。
青鎧のブルース・グライブス
教育係アリア・ファイリーズ
モモの教育係。
赤髪の槍使い、リーズ・ストライプ(エルフ)
桃髪の魔術師、カリン・ストライプ(エルフ)
冒険者、エルフの姉妹。
ベノム(ブレードバード隊、隊長)
ルーカ(孤児)
プラム・オデッセイ(里帰り中)
ジャック・スロー (天狼ジャックスロー隊長、白い狼男)
クロノ・アークス (シャーンとルシフェリアのお友達)
シャルネリア・シャルル・シャリアット(同上)
剣と魔法の世界 ミドレイス
翼の生えた子供 ウリエリア




