皆で一緒に捜査捜査
出てきたミミズみたいな怪物。
私は一人で戦ったよ。
けど、剣を振っても全然斬れないの。
何度やっても体がグニャグニャしていて効果がない感じ。
だったら傷口に直接ぶちこんじゃえ。
ぶっすり突き刺し内部で分裂させたんだ。
体の中はズタズタで流石の怪物もパッタリ倒れたの。
そして町の皆も安心して王様達もやってきた。
私達は砦に連行されちゃって事情を聞かれたんだ。
一日お泊りさせられて朝にミリアがご飯を持って来てくれたよ。
夜に王様を説得してくれたみたいでもう部屋から出てもいいんだって。
一度馬車の皆に会いに行った私は、グリザリィを倒したことを伝えたの。
これで帰れるねってパーズは喜んでいたけれど、まだプリスターが無くなった訳じゃないんだよ。
今後またなにか起こらないように王様は私達と調査したいんだって。
だからね、もう一回町に戻ることになって、そこでパーズがミリアと再会したんだ。
「ミリアちゃん、僕、戻って来たよ!」
「パーズ様、私の為に帰ってこられたのですね!」
人目もはばからずに二人が手を取り合って喜んでいるよ。
「昨日はごめんね、僕突然のことでちょっと動揺していただけなんだ」
「ええ分かっていますわ。もう私以外を見ないでくださいまし」
「うん、もちろんだよ! 僕ミリアちゃんしか見えないもん! だからもう一回仲良くしてほしいんだ!」
「もちろんですわ。私、パーズ様のことを愛しておりますもの!」
直ぐに仲直りできたみたいだよ。
昨日は私のことを好きって言っていたのにね。
別に気にしないから全然いいけど。
(パーズの将来がちょっと心配になっちゃうなぁ。あんな感じで皆を口説いていたりして)
「御主人、仲良くできるのはいいことだよー?」
(まあ、そうなんだけどね。トラブルが尽きなさそうな予感)
もう大丈夫だから別の方向を見てみると、パーズの付き人ディアスが中心となって王様と話合いをしているの。
その中にはエリオの姿もあるんだよ。
私もそっちに行って話し合いに参加してみたんだ。
「――一番怪しいのは怪物が出て来たという地下室でしょうな。しかし、この状態では見つけ出すのは困難ですぞ」
教会はバラバラに吹き飛んでいて地下室があった部分はもう崩れている感じ。
上には大きな怪物が倒れたままだし、調査は時間がかかりそう。
ぶっつり斬れちゃえばいいんだけれど、ちょっと無理なんだよね。
あの怪物の皮膚がグニャグニャで斬れないんだもん。
大きすぎて移動させるのも大変そう。
「確かに、この状態で手掛かりを見つけ出すのは困難です。しかし我々には国を救ってくださった英雄殿がいらっしゃる。モモ様の力を使えばあるいは……」
皆が私の方を見ているの。
これはやらなきゃいけない感じ?
ちょっと無茶ぶりだよ。
(モモ、出来るの?)
「うーん、やってみないと分かんないよー」
「ふむ、失敗しても構いません。やってもらえませんでしょうか? このまま置いておくのも精神衛生所よろしくありませんから」
「じゃあやってみるよ」
私は王様に頼まれてやってみることを決めたんだ。
でもどうしよう。
もう一回剣で斬ってみる?
何処かに斬れる場所があるかもしれないし。
早速怪物の前に行ってみるとキャットスレイヴで色々な場所を斬ってみたよ。
口の中から飛び出ているギザギザの歯、触手の部分は楽に斬れるけれど、やっぱり体の部分には歯が立たないの。
他の方法を考えなきゃだね。
うーん、でもどうやろう。
悩んでいてもアイディアが出て来ないよ。
「御主人助けてー!」
(えー、そう云われてもなぁ。うーん、頑丈なコロがあればなんとかなるのかも?)
「コロってなに?」
(えーっと、こう丸太みたいな上に置いた物を移動させる物だよ。それを下に敷いとけばコロンって動くんじゃないかな)
「コロかー」
キャットスレイヴで何とかできないかなぁ。
私はコロをイメージイメージ……。
まん丸な丸太を一つ、一つじゃ足りない?
二つ、四つ、八つ、十六。
倍に倍にと増やしていって、数えるのが大変なぐらいにしたんだよ。
道は縦も横もコロだらけ。
この上に乗せちゃえばいいんだよね?
グググって怪物を押し上げてコロの上に置いてみたの。
何にもしていないのに怪物の体がちょっとだけ動いたんだ。
じゃあこのまま引っぱったら動くのかな?
キャットスレイヴで怪物をガッチリ固定して、グググって引っ張ってみたよ。
大きな体がコロで滑って頭の方が動き出すの。
でもこれちょっと大変だ。
コロが足りなくなったらもう一回作り直して引っ張って。
またコロが足りなくなって、やることがいっぱいあって混乱しちゃいそう。
「おお、怪物が動き出したぞ! 皆の者、モモ様をお手伝いするのだ!」
『応!』
私の焦った顔をみたのか王様が他の皆に声をかけてくれたんだ。
「いっせーのーれ!」
(引っ張ってー!)
『おおおおおおおおお!』
皆の手でググっと引っ張ると怪物の大きな体がズルズル動いて行くよ。
コロの数を増やして色々ちょっと大変だけど、何とか皆の邪魔にならない町の外に移動させたの。
この怪物は後々町の人達が処理するんだって。
ようやく空いた教会の場所。
プリスターが何をしようとしていたか手掛かりを得る為に調査を始めたんだ。
皆で残骸を掻き分け、埋まった地下室を掘り返していくよ。
私は掘り返す担当、キャットスレイヴをスコップにしてサックリサックリ掘り進めるの。
十メートルほどかなぁ?
その内バラっと土が崩れ落ちて下に通路が現れたんだ。
かなり頑丈に作っていた感じ?
怪物が飛び出す時に破壊されたのに結構空間が残っているみたいだね。
私は通路の中にピョンって飛びおりてみたよ。
ここはたぶん私達が奥に向かっていた場所かな?
先は埋まってしまっているけれど、こっち側を掘り進んで行けば……。
「あ、広場に出たよ」
(うん、ここには確か財宝が置かれて……ないね?)
所々埋まっているけれどピカピカの物は何一つ残っていないの。
土の中って感じでもないよ。
あの怪物が全部吞み込んじゃったのかな?
グリザリィもお腹の中に吸い込まれちゃったもんね。
ここに何も残されていないならもっと奥に何かある?
怪物が居たはずのもっと奥に。
私はまた道を掘り進めたの。
中々手掛かりは見つからなかったけれど、皆に止められそうなほどに長い距離を進んでみると、カツンっと手応えを感じたんだ。
石にしてはちょっと柔らかいような?
ササっと手で払ってみると、頑丈な鉄の扉が見えたんだよ。
ここが家の扉だったりするわけはないよね。
かなり深い位置にあるんだもん。
(モモ、注意して開けてみようよ)
「はーい!」
私は取っ手を握り込み、グイっと開いてみようとしたの。
扉は全然開かない。
鍵がかかっているのかも?
でも大丈夫、私には関係ないよ!
「たああああ!」
バッサリ切り裂いて扉はバラっと落ちていく。
もう鍵を開ける必要もないの。
あとはこの先に何があるのか。
じっくりと見渡すと、前に見たことがあるような財宝と、ケースに閉じ込められた人間……だった者達が浮かんでいるんだ。
腕、足、顔、体、様々なヵ所が様々に変化しているよ。
ある者は熊のように、ある者は爬虫類のように、これはキメラ化を進める実験施設に違いないの。
たぶんこの町の人達だよね。
まだ息があるのなら助かる可能性もあるのかも。
私はケースをバチンと割って、
「猫猫召喚……出て来て、癒しの猫ちゃん!」
魔法で白猫ちゃんを呼び出して倒れた人達を治療してくれたんだよ。
完全には元に戻らないけど、悲鳴を上げるような強烈な痛みにより皆は意識を取り戻したみたい。
「うひゃあああああ、来るなああああああ!?」
でも私を見ると物凄く脅えた感じで混乱しちゃったよ。
「私、助けに来たんだよ!」
「来るな来るな来るな来るなああああ!?」
声をかけてもダメみたい。
話を聞くのはまだ無理そうかな。
とりあえず上に居る皆を呼んでここの皆を助け出したんだ。
温かい食事、皆の優しさ、そしてゆったりした自分の時間。
それは皆の恐怖を薄らげさせるの。
彼等が話してくれるのを待つ間、さっきの部屋をもう一度調べに行ったんだよ。
家猫のモモ
異世界に転生して人間となる。
御主人(ヒロ)
人間だったけど異世界に転生して白い猫になる。
エリオ・ジ・エイグストン(モモの従者)
レマ・トマトン(旅の同行者、料理人)
ナヴィア・ドライブズ(旅の同行者、馬車の運転手)
リシェーリア・パラノイア(プリスターの司祭今は味方?)
ゼノン・ハイム・ディラーム(ラヴィーナの従者)
王子シャーン
王女ルシフェリア
王女ラヴィーナ(格闘が得意)
王女イブレーテ(長女)
王子パーズ(恋焦がれる男の子)
シャーンのお母さんテルナ
ウィーディアの女王。
爺
シャーンやテルナの付き人。
フルール・フレーレ
ラヴィーナの師匠で格闘家。
青鎧のブルース・グライブス
教育係アリア・ファイリーズ
モモの教育係。
赤髪の槍使い、リーズ・ストライプ(エルフ)
桃髪の魔術師、カリン・ストライプ(エルフ)
冒険者、エルフの姉妹。
ベノム(ブレードバード隊、隊長)
ルーカ(孤児)
プラム・オデッセイ(里帰り中)
ジャック・スロー (天狼ジャックスロー隊長、白い狼男)
クロノ・アークス (シャーンとルシフェリアのお友達)
シャルネリア・シャルル・シャリアット(同上)
剣と魔法の世界 ミドレイス
翼の生えた子供 ウリエリア




