教会の謎
リシェーリアにつめよるグリザリィ。
何だかもうバレている感じ。
私達は一度出直すことにしたんだよ。
そして作戦を考えると、実行に移したんだ。
王様に帰ると伝え、皆で町を出ていったの。
でも本当に帰る訳じゃないんだよ。
私とエリオは変装して町に戻ったんだ。
それで教会を調べてみたけれど、手掛かりらしい物は見つからなかったの。
グリザリィが戻って来そうだから今日はもう無理っぽい。
空は快晴。
今日こそ頑張るって向かった町。
のんびりした風景の中に子供の姿もよく見かけるよ。
走り回って遊んでいたり親のお手伝いをしている子も居るみたい。
学校とかはないのかも?
その中でひときわ目立っているのが、
「皆さん、いきますわよ。たああああ!」
この国の王女ミリアなの。
お友達と一緒にボール遊びをしていて普通の子と変らない。
もうパーズのことは忘れちゃった感じ?
それならそれでもう気にしなくてもいいかなぁ。
私達は近くを通り抜けたんだけど、
「お待ちなさい、たああああ!」
ミリアから突然ボールが投げつけられちゃった。
パシッと受け止めたらこっちに走ってくるんだよ。
変装しているからバレないはずだけど……。
「そんな恰好をしたって私からは逃げきれませんわ! あなた昨日の女でしょう! 私のパーズ様を誘惑する憎き恋敵!」
「別に恋敵じゃないよー?」
「まさかあんなことまでして遊びだったというのですか!? きいいい、悔しいいい!」
何だか説得は不可能な感じ。
あの時は捕まえただけなんだけどなぁ。
「あの、ミリア様、この方は僕と旅をしている冒険者でして、けしてそのような……」
「お黙りなさい! 私の目は誤魔化せませんことよ! 確かそう、モモ、モモといったわねあなた! パーズ様を賭けて私と勝負しなさい!」
「えー?」
中々大きな声で騒がしいから段々人だかりが出来始めているの。
ここで争っていたらグリザリィの耳にも入っちゃうかも。
うーん、今は付き合っている暇はないもんね。
こうなったら……私はリッツを掴み上げ、シュピューンって逃げちゃった。
流石に追いつかれるような速さじゃないよ。
「ふー、危なかったー!」
「いや、もう充分アウトですよ。ミリア様が誰かに言いふらさない事を祈るのみですね」
「それじゃあバレる前に終わらせないとね。教会に行ってみよー!」
「そうですね」
向かった教会は昨日と同じように人で溢れて盛況そう。
今もドンドン入って行くの。
私達もその流れに乗ってコッソリ入ってみたんだよ。
中に居たグリザリィはチラッとこっちを見たけれど、特に話しかけて来ることはないみたい。
ミリアにはバレちゃったけど、変装の効果あり……かな?
教会の中を見物しながら昨日の仕掛けを探したよ。
触ったら怒られそうな絵画を除き、ほぼ調べ尽くしたとは思うけど、それでも全然見つからないんだ。
それじゃあ怪しいのはグリザリィの近く?
そこに行くのは勇気が必要。
また夜にしようか、それとも今。
悩ましく考えていると、
「あー、見つけましたわあああ! 勝負ううううう!」
教会の入り口からミリアの声が聞こえてくるよ。
「うわ、流石にここでは不味いです! 場所を変えましょう!」
「そうだね」
私達は教会を飛びだしてちょっとだけ移動したんだ。
相変わらずすごく目立ってるよ。
「何処に行こうと逃がしませんわ! 恋敵、勝負うううう!」
そんなの全く気にしないミリアは拳を振り回して突撃して来るんだ。
ピョイって避けると、
「あ……!? うぅ、絶対負けませんわ!」
パタンと倒れて更に恨みがましい目で見て来るの。
「ニヤ様、ここは負けてあげた方が良いのでは?」
こそっと耳元に囁いて来るリッツ。
ずっと追い駆けられたら困っちゃうからその方がいいかもね。
「たああああ!」
二回目のグルグルパンチ、私はワザと当たってみたよ。
ぽこぽこぽこぽこ何だか逆に気持ちいい。
私はなるべくワザとらしくならないように、
「わー、痛いよー、ごめんなさーい!」
パタッと倒れて負けたんだ。
「何だかワザとらしいですわ。ですが、勝ちは勝ち! パーズ様のことは諦めてもらいますわ!」
「うん、分かったよ。それじゃあ仲直りしよー?」
自分の手を差し出すと、
「死闘を演じた仲ですものね。いいですわ、今日から私達はお友ですわ!」
ミリアと握手してお友達になったんだ。
丁度良いからちょっとお話ししてみようかな。
「ねぇねぇ、ちょっと聞きたいんだけれど、あそこの教会のことって知っているかなー? 私達ね、あそこのグリザリィのことを知りたいんだ!」
「グリザリィ? あの方は皆さんに評判なんですよ。まあでも遠くに行っちゃったトレニーちゃんの方が皆に優しくって人気者でしたわね」
リシェーリアの話しだと、教会が大きくなったら別の国に行かされちゃうんだよね。
きっと何にも知らない優しい人だったんだろうね。
「今の人に変わってからも教会の人気は順調で皆と仲良くやっていますの。……ただ」
「ただ?」
「最近は行方不明者が増えていると聞きます。まあそんなに多くないですから冒険者になりたい症候群の人が多く出たのかもしれませんけど。……あとは個人的に、一度だけものすごく怒られたことがありましたの。あの時は皆とても恐怖しましたわ」
「行方不明者も気になりますが、怒られたというのも気になります。もしや仕掛けのヒントなのかもしれませんね。詳しく聞いてみましょう!」
「うん、教えてミリア!」
「詳しく、ですか? えっと、お友達の皆さんと教会にある像の右側にある台に登ろうとした時でしたわね。まあ怒られたのもしかたありませんわ。あの時のまだ子共でしたもの。恋を知った今はもう大人の女性。あんなことは二度といたしませんわ!」
「ふむ、そこが怪しそうですね。調べてみる価値はあるかもしれません」
「よーし、ありがとうミリア、すっごく助かったよ!」
「あら、お力になれたのなら幸いですわ。それで何をするのでしょう。もちろんお友達の私も連れて行ってくれますわよね?」
あれ、これ連れて行かなきゃいけない感じ?
危ないから行かない方が良いんだけれど。
「きっと危ないことになっちゃうよ?」
「そうです、ニヤ様の仰る通りです。流石に王女殿下を夜中に連れ回す訳にはいけませんので、今回はご勘弁を願いたいのですが……」
「あら、そうですの。そうですか……。町の皆さあああああん、ここに怪しい……!」
「うわあああああ、是非連れて行かせていただきますとも!」
リッツがミリアの口を押さえて強引に黙らせたんだよ。
それも直ぐにパシッと振り払われて、
「最初からそういえばよろしいのですわ! それでは集合場所を教えて下さいませ」
連れて行くことが決定しちゃったの。
私達はミリアと約束をすると、一度馬車に帰り、人気がなくなるまで時間を潰したんだ。
そして美味しい料理を食べてやる気充分になった夜。
ミリアが眠っちゃったことを祈って砦(城)の前にある集合場所に行ってみると……。
「あら、遅かったではありませんか。私ここで眠ってしまいそうでしたわ」
期待を裏切りミリアはちゃんと待っていたの。
誰にも止められなかったのかな?
「……本当に行かれるのですね。かなりの危険が伴うので、もしその身に何かあれば王が悲しまれますよ」
「その時はあなた方が護ってくださればよろしいのですわ! それともそれすら打ち払えないほどの弱者だと申されますの? ならば危険な場所に行かせないようにこの場で叫んでさしあげますわ!」
その言い分にリッツは頭を抱えちゃった。
でも大丈夫、護っちゃえばいいんだよ。
「それじゃあ行こうかー!」
「ええ、行きますわ!」
「どうなっても知りませんからね」
それからコッソリ教会に向かい、中の気配を探ってみたの。
グリザリィの気配はなさそうだから、今が侵入のチャンスだよ。
今日も鍵のかかっていない扉を開き、薄暗い教会の中を進んで行くんだ。
目指すのは正面にある大きな像の右側辺り。
「確かこの辺りでしたわ」
ミリアがよじ登ろうとした場所を指さした。
そこにあるのは小物が置けるような小さな台。
壁にガッチリ固定されていて動かないようになっているよ。
今は何にも乗っていないけれど、ちょっと上にある鳥のはく製があるよ。
これは昨日も調べたけれど、押しても引いても反応しなかったも。
でも、この辺りに仕掛けがあるならきっと別の方法があるのかも。
私達は重点的に調べ始めたんだ。
家猫のモモ
異世界に転生して人間となる。
御主人(ヒロ)
人間だったけど異世界に転生して白い猫になる。
エリオ・ジ・エイグストン(モモの従者)
レマ・トマトン(旅の同行者、料理人)
ナヴィア・ドライブズ(旅の同行者、馬車の運転手)
リシェーリア・パラノイア(プリスターの司祭今は味方?)
ゼノン・ハイム・ディラーム(ラヴィーナの従者)
王子シャーン
王女ルシフェリア
王女ラヴィーナ(格闘が得意)
王女イブレーテ(長女)
王子パーズ(恋焦がれる男の子)
シャーンのお母さんテルナ
ウィーディアの女王。
爺
シャーンやテルナの付き人。
フルール・フレーレ
ラヴィーナの師匠で格闘家。
青鎧のブルース・グライブス
教育係アリア・ファイリーズ
モモの教育係。
赤髪の槍使い、リーズ・ストライプ(エルフ)
桃髪の魔術師、カリン・ストライプ(エルフ)
冒険者、エルフの姉妹。
ベノム(ブレードバード隊、隊長)
ルーカ(孤児)
プラム・オデッセイ(里帰り中)
ジャック・スロー (天狼ジャックスロー隊長、白い狼男)
クロノ・アークス (シャーンとルシフェリアのお友達)
シャルネリア・シャルル・シャリアット(同上)
剣と魔法の世界 ミドレイス
翼の生えた子供 ウリエリア




