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魔人邂逅

 王様が居るという寝室。

 侵入した私達はベッドに向かったの。

 そこには寝ている男の人が。

 この人が王様?

 揺らしてみても起きないの。

 眠らされているのかもって思って白猫ちゃんに治してもらったら目を覚ましてくれたんだよ。

 やっぱりこの人が王様だったみたいだけど、入ってきた兵士達に殺されそうになっちゃった。

 当然そんなことはさせないよ。

 追い払って入り口を封鎖したら王様に事情を聞いたんだ。

 そこで王様がやらせていたんじゃなかったことを知って、首謀者の名前を聞いたの。

 その人はこの国の王子であるユリウスなんだそうだよ。

 捕まえた男に案内されたここは玉座の間だよ。

 逃げる時に一回来たけど、今は前とは違って落ち着いた雰囲気をみせているの。

 多くの兵士が剣を向けてくるのは当然だけど、むやみやたらに襲い掛かってはこないんだ。


 それも、玉座に座る王冠を被る男の所為なのかも。

 キンキンの金髪で邪悪そうな笑顔。

 たぶんあの人がユリアンだよね。


「貴様が侵入者か、我が城に用こそ。歓迎しよう、そして死ぬがいい!」


 その人の命令で兵士達が一斉に動き出したの。

 すり抜けられないぐらいに隙間がなくやってくるんだ。

 だけど、皆の為にも負けられないよ。

 私は連れて来た男をポンと突き飛ばし、キャットスレイヴを伸ばして力強くズバッと振ったんだ。

 先頭に居る人達を吹き飛ばして後ろの人達も倒れこんでいくよ。


 その隙をついて一気に走り、私はユリウスの前に。

 このまま捕まえてお終いにしようって思っていたけど、ユリウスは何も動じないんだ。

 私の伸ばした腕が護っていた兵士達にガッチリ掴まれちゃったの。


「中々やるようだ。しかし、私の魔人達には敵わない。さあ真の姿を現すのだ!」


 その人達は自分の兜を脱ぎ捨て鎧をはぎ取った。

 隠されていた人外の姿が晒されたんだ。

 六つ腕、サイみたいな奴、合計二十人ぐらいの様々な者達が私を睨みつけてくる。

 掴んだ手は力が強いけど、それだけじゃ無理だから。


 クニュンって体を柔らかくして二人まとめて投げ飛ばしたの。

 その上からドーンってキャットスレイヴを叩き落としたんだ。

 やっと手を放してくれたから自由になったけど、まだ立ち上がってくるみたい。

 やっぱり結構強いよね。


「ほう、流石はブレイズバトルの優勝者、一筋縄ではいかぬな。しかし、これ程の魔人どもに囲まれて一体どうするつもりなのか!?」


 既にユリウスの周りには防御が固められちゃった。


「そんなの簡単だよ、全員倒せばいいだけだもん!」


「ならばやってみせろ、この私の目の前で!」


 ユリウスは自信満々に言い放ったの。


「うん、やってみる!」


 でも私も自信満々なんだ。

 襲いかかってくる魔人達。

 腕が伸びたり弾を飛ばしたり変な胃液を飛ばしたり、様々な攻撃をしてくるよ。


 力も強いし厄介だけど、だけどそんなの関係ないの。

 当たらなければ良いだけだもん。

 ピョンっとステップからの急接近、キャットスレイヴで斬撃……はちょっと無理。


 私はシュパーンとジャンプすると、背後から来る攻撃で同士討ち。

 天井に着地した私はグッと勢いをつけて一人にドーン。

 飛んで行くカバの魔人、それに数人の兵士が巻き込まれている。

 だけど敵はまだまだ襲ってくるよ。


 私はキャットスレイヴを伸ばして薙ぎ払うんだ。

 パッタリと倒れ込む数人の魔人達。

 当たり所が良かったのか立てなくなっているよ。


 そのままついでのような全体攻撃でアドバンテージを稼ぐんだ。

 次の相手は決めてある。

 私の攻撃を掴んだ頑丈な奴。

 残像が見えるような素早い攻撃で全身を切り裂くの。


 たまらずに倒れる相手。

 残っている敵はまだ多い。

 攻撃する隙を狙い、槍、剣、魔法なんかもズバッとバシュっと打ち込まれる。

 躱して防御も中々大変。


 ……だったら一気に倒しちゃおう。

 私は移動を続けながら針のように鋭く無数にキャットスレイヴを分岐させたんだ。

 敵の腕を貫き、足を貫き、その体をその場に繫ぎ止めるの。

 しかも、細くなっても頑丈だから絶対に折れたりしない。


 ……だから、自分の腕や足を千切り取らなきゃ誰も彼も動けはしないよ。

 応援が来てもこの部屋には入れないから、あとは我武者羅に飛んで来る胃液や遠距離攻撃を躱しさえすれば、残りは玉座に座るユリウスだけだ。


「こ、こんな馬鹿な。奴等は最強の生物になったはず。それなのに、何故こんなことに!?」


 全員倒されたことに驚いてちょっと焦っているの。


「トレーシアの方が全然強かったよ」


 力が強くったって動きが速い人は居なかったもんね。


「馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な、こんなポット出の愚か者に私の計画が潰されるだとおおおおお!? 馬鹿なあああああ!?」


 ユリウスは慌てふためいているよ。

 それじゃあこの人を捕まえて……それからどうしよう?

 まあ、捕まえてから考えればいっか。

 ジリっと詰め寄ると、


「ま、待て、落ち着いて話し合わないか!? 私についてくれれば地位も名誉も金だって与えてやれるんだぞ! そ、そうだ、私の后になれば何もかも思いのままだぞ、どうだ一度考えてくれないか!?」


 慌てて私を誘惑するの。

 地位とか名誉とかお金とかそんなのウィーディアで貰っているもん。

 それに、いっぱいお友達がいるから裏切ったりする訳ない。


「にゃにゃにゃにゃああああん!」


「うああああああ、やめろおおおお!?」


 私は逃げ惑うユリウスをガッチガチに拘束したの。

 それでもまだまだ暴れているよ。

 逃げることなんて出来ないのに。


「見苦しいぞユリウス、王を名乗るのならば自らの引き時も理解しろ!」


 その時、この部屋の入り口から王様の声が響いたよ。

 隣には肩を貸すエリオと、こっちに味方してくれていそうな兵士と貴族達が居るの。


「父上えええええ!?」


 ガックリ肩を落とすユリウス。

 動けなくなった兵士達は一人ずつ連行されて行くんだ。

 魔人達はというと、力を封じられて同じように連行されて行くの。

 ここにはもう負けたユリウスしか残っていないんだ。


「ユリウスよ、云いたいことはあるか?」


「父上、私はこの国のことを思って……この国の為に私は兵を集い戦うと誓ったのです! だから、その、あの……許してください……」


 自分がどうなるのか察したのかブルブルと震えているよ。


「ここまでの事をしたのだ、許されるはずもなかろう。お前はここで裁かれなければならない。王として貴様に沙汰を申し付ける。王位継承権の剝奪、及び貴族位の消失。十年の強制労働の後、適当な貴族の召使として慎ましく生きるがいい」


「……はい」


 王として下したものはとっても厳しいものだったよ。

 それでも、殺すと言わなかったのは親としての情けなのかな?

 とにかく、決着はついたみたいだね。


「御主人、エリオ、帰ろうか」


(うん、皆の方もどうなっているのか分かんないからね)


「ええ、そうしましょう」


 私達が背中を向けると、


「お二人とも、お待ちください。せめてお礼をさせてはくださいませんか。心を込めてお持て成しをさせていただきますぞ」


 王様が私達を引き止めたんだ。

 きっと美味しい物とか出してくれたりするんだろうね。

 すっごく心を引かれちゃうけど、そういうのは友達と一緒に食べたいよ。

 皆が危険かもしれないのに自分だけ美味しい物なんて食べられないもん。


「ごめんなさい、ちょっと急ぐの。だからまたね!」


 私は王様に手を振ったの。


「ウルファルド陛下、これにて失礼いたします」


(バイバーイ!)


「それは残念だ。ではまたの機会にしようか、我が国の英雄達よ。全員敬礼せよ!」


『ハッ!』


 皆に見送られて転移装置のある場所に戻って行ったんだ。

 王様が手配してくれたのか、そこでの混乱はなかったよ。

 それでコロッセスの町に転移したんだけれど、あれだけ居た兵士達が見当たらなくて屯所は随分と静かなの。

 でも、いきなりドゴーンと大きな音とあまりに大きな振動が響いたんだ。

 砲撃のようなそんな音。


 この建物の天井から砂のようなものが落ちてくるの。

 あんまり長く続いたら壊れちゃいそう。

 これ、絶対何かあったよね?


「一体何が……モモ様、急いで外に出てみましょう!」


「うん、そうだね!」


(お城より大変なことが起きていたりして……?)


 御主人の云ったことが本当に起こっている気がするよ。

 私達は急いで外に出て行ったんだ。

家猫のモモ

異世界に転生して人間となる。


御主人ごしゅじん(ヒロ)

人間だったけど異世界に転生して白い猫になる。


エリオ・ジ・エイグストン(モモの従者)

ゼノン・ハイム・ディラーム(ラヴィーナの従者)


王子シャーン

王女ルシフェリア

王女ラヴィーナ(格闘が得意)

王女イブレーテ(長女)


シャーンのお母さんテルナ

ウィーディアの女王。


グリフ・リスマイヤー

シャーンやテルナの付き人。


フルール・フレーレ

ラヴィーナの師匠で格闘家。


青鎧のブルース・グライブス

教育係アリア・ファイリーズ

モモの教育係。


赤髪の槍使い、リーズ・ストライプ(エルフ)

桃髪の魔術師、カリン・ストライプ(エルフ)

冒険者、エルフの姉妹。


ベノム(ブレードバード隊、隊長)


ルーカ(孤児)

プラム・オデッセイ(里帰り中)

ジャック・スロー (天狼ジャックスロー隊長、白い狼男)


クロノ・アークス (シャーンとルシフェリアのお友達)

シャルネリア・シャルル・シャリアット(同上)


剣と魔法の世界 ミドレイス

翼の生えた子供 ウリエリア

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