勝ち残れブレイズバトル
子供達に生きる厳しさを教えた私。
ちょっと和解して道案内してもらうことになったんだ。
それで色々教えてもらったんだけど、あの大聖堂に居たグレゴリーって人が賭けの大元なんだって。
悪いことを色々しているみたいだけど、証拠は全くないんだよね。
それでコロッセオに戻った私達は大会までゆっくりしたんだ。
それで大会当日、私とラヴィーナは開会式に参加し、突然一回戦が始まったんだよ。
強そうな人を見極めながら戦いを続けて行ったんだ。
「にゃおおおおおん!」
「これで、どうだあああ!」
私とラヴィーナは襲い来る敵をぽぽいっと投げ捨て、数十分。
コロッセオの至る所で倒された選手が横たわっているの。
「そこまで、これにて一回戦終了!」
そこでようやく審判っぽい人から声がかかったんだ。
賭けの勝敗で周りの観客からは歓声と怒号が飛んでいるよ。
『全額賭けたのに』とか、『負けやがって』とかそんな感じで悔しがっているの。
まあそれはいいかな。
それより試合がこれで終わりだとすると、残った選手は半分ぐらいかなぁ。
さっき眼をつけていた人達は全員残っているよ。
逆に転がっているのは倒された人達、動けないぐらいの大怪我や気を失った人達も多いの。
死んじゃった人は……居ないよね?
可哀想な人達は運営の人達に任せれば良いかなぁ。
今は勝ったことを喜んじゃおう!
「やりましたねモモ師匠、二回戦進出ですよ! これで私の夢に一歩近づけました!」
そして横で戦っていたラヴィーナが私の胸に飛び込んで来たの。
すっごく嬉しそう。
「よかったね。でもこれ後何回やるんだろう?」
「大会によってまちまちだと聞きますよ。十回戦行われる時もあればニ十回戦まで延長されることもあるようです。まあでも一週間で終わらなかったことはないすから、それまで頑張れば優勝も見えるはずです!」
つまり全然分からないってことだね。
「勝ち残られた選手の皆様は彼方へお進みください」
注意しながらも指定された方に歩いて行くと、係の人がようやく説明してくれたんだ。
次は東西に別れて一騎打ちが行われるんだって。
私とラヴィーナは東の入り口に移動させられて呼ばれる時を待ったんだよ。
今は中央に居る人が魔法で声を大きくして解説をしているの。
「――ついに一回戦が終了。目当ての選手達は勝ち残ったでしょうか! 勝って富豪になった方も大勢いらっしゃるでしょう。しかしチャンスはまだまだまだまだ続きますとも! さあ二回戦のゴングが今
鳴らされるううう!」
そして最初に呼ばれたのは……。
「数々の武勲、数々の勲章を持つ神秘の猫、ウィーディアよりやってきた勇者、モモ! 東のゲートより現れよ!」
何か私だったみたい。
「モモ師匠が一番手ですか。これは幸先がいいですね。ウィーディアの力を見せつけてやってくださいよ!」
「うん、行ってくるねー!」
そう伝えた私はタタタって走り会場に戻ったんだ。
大きな声援と怒号が響く中、向う側の入り口からやって来る相手を見ていたよ。
「波揺らめく大海よりの使者、この大会三度目の出場にして前回大会のベスト八(8)、今回こそ頂きに手を届かせることが出来るのか! 大ハンマー使いボロス・ボロド!」
紹介がされると、『うおおおお!』って大きなハンマーを振り回す象みたいな人がのしのしと歩いてくる。
私の前に到着して蔑んだような目で見下ろすの。
中々強いって思った十五人の内の一人だね。
「ふん、小娘が相手か。俺の相手になった自分の運を呪うんだな!」
でも、私はこんなのに負けたりしない。
直ぐに倒しちゃって美味しいご飯を食べ……。
「さあ試合開始いいい!」
始まる試合。
「行くぞおおおおおお!」
超大歓声が上がり、ボロスのの持つ大ハンマーが降り上げられちゃった。
……それは全然いいんだけれど、何だかお腹の調子が良くないよ。
じくじくずきずき、これはおトイレの予感。
白猫ちゃんは大丈夫だって云っていたのに、これじゃあ全然意味がないよ!
もしかして呪いは傷じゃないから治せなかったりして?
「うー、お腹いたーい」
「隙ありいいいいいい!」
お腹を押さえたところに、大きなハンマーが落ちて来た。
正直、あんまり時間はない感じ。
ここで出したら絶対怒られちゃうよね?
私は大きなハンマーを躱すと、
「うにゃあああああああ!」
「ぎゃばあああああ!?」
全力で蹴りを食らわせたんだよ。
ボロスはすごい勢いで壁に叩きつけられて白目をむいている。
たぶん勝った、けど、こっちも時間が無さそうな感じ。
結果は気にせず私達の控室に飛んで帰ったの。
頑張ったからちゃんと間に合ったんだよ。
「ふぅー!」
「お帰りなさいませモモ様。勝利なされたのですか?」
(モモ、そんなに慌ててどうしたの?)
お部屋には御主人とエリオ、それと数人の護衛だけが残っていたんだ。
残りの人は皆ラヴィーナのところに行っているの。
お姫様だから特別に護衛が許されているんだって。
「うん、戦っている最中におトイレ行きたくなったんだよ。まだ呪いがかかっていたみたい?」
今後もそうだったら普通に戦えないよね。
(それは大変そうだね。白猫ちゃんがダメとなると、他に呪いを解く方法を考えないとね)
「そうだね、お腹が痛くなるのは嫌だもん」
(それで試合はどうなったの?)
「あ、忘れていたよ! ちょっと行ってくるー!」
あれで勝ったのか分からないもんね。
(いってらっしゃーい)
「行ってらっしゃいませ」
会場に戻ると、丁度ラヴィーナの順番が来ていたよ。
護衛の皆が一生懸命応援していて危険な時は飛びだしていく感じだね。
でも相手はラヴィーナよりも格下なの。
今も優位に戦っているし、そろそろ決着がつきそうかも?
「ここだああああ!」
「ぬおおおおお!?」
ガッチリ当たった顎パンチ。
舌を噛んだみたいですごく痛そう。
やっぱり起き上がれなくて勝利が確定したんだよ。
「勝ちましたああああ!」
『うおおおお、姫様ああああ!』
泣きながら拍手している護衛の皆。
その中で専属従者のゼノンはとんでもない顔になっているよ。
怪我もなくてよかったね。
それはそれとして、私の勝負はどうなったのかな?
勝てたと思うけど、やっぱり負けだった?
まあ後で聞いてもいいよね。
ラヴィーナが戻ってくるのを待ってパチーンと手を合わせたよ。
「おめでとー!」
「モモ師匠、ありがとうございます! これで一緒に三回戦に進出ですね!」
あ、私も勝っていたみたい。
それから一緒に喜んで他の試合を見学していたんだ。
全員の戦いが終わるまで約五時間。
その中でも、やっぱり目をつけていた五人は別格の強さを持っていたよ。
格闘技だけだと思ったら魔法とかも使ったり、剣技がすごく速かったり、ハンマーがとんでもなく広がったり、他にも色々隠してそう。
でも、そんなのに負けたりしないもん。
そんな時間も過ぎ去って、
「これにて一日目のブレイズバトルは終了でございます。お越しのお客様方はお忘れ物の無きように御帰還ください」
順当に一日目の大会が終了したんだ。
私達は控室に戻って明日の準備をしたんだよ。
ご飯は国から持って来た食材を調理した物なんだ。
ゼノンとエリオが張りきって料理を作ってくれたの。
全部すごく美味しかったんだよ。
『ごちそうさま』って言って夕食が終わると、タイミングを見計らったように部屋の扉がコンコンコンって叩かれたの。
この気配、知っている奴が居る。
「失礼、夜遅くに申し訳ございません。私は大会の主催を務めますグレゴリー・サンと申します。ウィーディアの姫君、よろしければ挨拶をさせていただけませんでしょうか」
それはあのプリスター大聖堂のグレゴリーだったんだよ。
ラヴィーナがお姫様だと知って今頃やって来たんだよね。
「姫殿下、どういたしましょう?」
従者ゼノンがどう対応するのか聞いているよ。
「わざわざ訪ねて来てくれて控室まで貸してくださった人を追い返す訳には行かないでしょ。扉を開けてあげなさい」
「仰せのままに」
それでどうやら開けてあげるみたい。
扉を開くとグレゴリーが二人の部下を引き連れて立っていたんだ。
大聖堂で会った時と同じ衣装、ニッコリしているけれど、信用はできないよね。
家猫のモモ
異世界に転生して人間となる。
御主人(ヒロ)
人間だったけど異世界に転生して白い猫になる。
エリオ・ジ・エイグストン(旅の従者)
王子シャーン
王女ルシフェリア
王女ラヴィーナ(格闘が得意)
王女イブレーテ(長女)
シャーンのお母さんテルナ
ウィーディアの女王。
爺
シャーンやテルナの付き人。
フルール・フレーレ
ラヴィーナの師匠で格闘家。
青鎧のブルース・グライブス
教育係アリア・ファイリーズ
モモの教育係。
赤髪の槍使い、リーズ・ストライプ(エルフ)
桃髪の魔術師、カリン・ストライプ(エルフ)
冒険者、エルフの姉妹。
ベノム(ブレードバード隊、隊長)
ルーカ(孤児)
プラム・オデッセイ(里帰り中)
ジャック・スロー (天狼ジャックスロー隊長、白い狼男)
クロノ・アークス (シャーンとルシフェリアのお友達)
シャルネリア・シャルル・シャリアット(同上)
剣と魔法の世界 ミドレイス
翼の生えた子供 ウリエリア




