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皆でピクニック

 夢の中でラビッシュとお別れを済ませたの。

 それでピクニックをもう一度やることになってグリフ達と出発したけど、始める前に掘り返した土とか敵を排除するんだって。

 私は遺跡に残されたウォームラビットを助ける為に放置していたウサを倒しにいったんだ。

 がんばって倒して皆を救いだしたけど、今度は食材が足りなくなりそうなんだって。

 それは嫌だからってことで、私はお城に走ったの。

 誰に言えば良いのか分からなかったから王様であるお母さんに声をかけたんだけど、自分も連れていけって云われちゃったんだ。

「リリス、リリス・カーネイル、現われなさい」


「ハッ、ここに!」


 天井に張り付いていた忍者みたいな女の人がお母さんに呼ばれてシュタって下りてきたよ。

 ずっとあんな所に居たのかなぁ?


「私は少し席を外します。帰ってくるまでこの国を頼みますね」


「ハッ、この命に掛けましても!」


 その忍者は顔の覆面を取り外し、シュババって変身するとお母さんにそっくりになっちゃったの。

 元から顔が似ていたのかもしれないね。


「モモさん、少々お待ちください。すぐに出かける準備をしてきますので」


 食材もいっぱい出してくれるっていうし絶対断れないよ!


「はーい!」


 私は元気に返事をして待っていたんだ。

 そしたらお母さんが軽装の皮鎧を着た冒険者みたいな恰好になっていたの。

 髪も束ねていて邪魔にならない感じ。

 これだったらバレないかなぁ?


「さあ行きましょう。まずはメギドの居る断罪峠に向かってください!」


「そっちは方向も違うし遠いよー」


「……ならばキャンプだけということで。しかし次回は必ず、必ず連れて行ってください!」


 かなり必死な表情で訴えてきている。

 やっぱりお父さんに会いたいんだね。


(まあ、王様がいうんなら良いんじゃないの?)


「うん、機会があったらね?」


 私は頷いて、お母さんをおんぶした。

 御主人はお任せしているよ!


「さあ子供達を連れて出発です!」


「まだ材料がないよー?」


「大丈夫です、そちらはリリスが送ってくれますので。さあ子供達を呼びに行きましょう!」


「はーい!」


 ピョピョ―ンとお城の中を爆走して皆に声をかけたんだ。

 シャーンもルシフェリアも、イブレーテだって二つ返事で頷いているよ。

 それと、シャーン達の他の兄妹も来る予定だったみたいだけど、ちょっと用事ができちゃったんだって。


 まだ会った事がないから会ってみたいなって考えながらユーロスの丘に行ったんだ。

 それで到着したらグリフがとんでもない顔をしていたんだよ。

 お母さんが来るとは思わなかったんだよね。


「何故テルナ様がこんな場所に居られるのだ!? もしやモモ殿がつれてこられてのか!?」


 すごく怒られそうな感じだったからどう言い訳しようか悩んでいると、


「あらあら、私はそのような高貴な人ではありませんわ。私は……そう、たまたま同行を許された旅の剣士ミーシャなのです!」


 お母さんがフォローしてくれたの。


「……それは正しく本名なのでは?」


「いえいえ、たぶん人違いですから。さあ来なさいシャーン、ルシフェリア、イブレーテも」


「うん」


「お母さん、今行く」


「母上、直ぐ参ります!」


 でも三人とも認めちゃっているから意味ないよね。

 すごく嬉しそうだから許してあげて欲しいよ。

 あっちも面白そうだけど、今はお餅が食べたいの!

 丁度今到着した材料を馬車から下ろし、ウォームラビット達とうすきねを取り出し、急いで準備を整えたんだ!

 これからお餅をつくんだよ。


「モモ様も手伝ってなの!」


「うん、手伝うよー!」


 ウィーニに声をかけられて私もその一つを担当するの。

 臼の中にホカホカのもち米をポーンと中に入れると、ウィーニが水を入れてお餅をひっくり返した。


「さあやるよー!」


 私はぺったんぺったんつきこんだ。

 モチモチのお米が徐々になめらかになってピヨ―ンって伸びるんだよ。

 これはとっても美味しそう。


(うわー、いい感じ。このままでも美味しいけど、餡子とかきな粉とか欲しいよね。あるのかなぁ?)


 御主人、そんなことを云ったら余計食べたくなっちゃうよ。

 餡子ときな粉、用意してあるのかなぁ?

 気になってちょっとよだれが……。


(ああああ、不味い不味い、お餅の中に入っちゃうよ。それ皆で食べるんでしょ!?)


「そっか、ちょっと拭くよー!」


 私はハンカチで口元をぬぐったの。


「モモ様、気にしなくてもいいの。これは全部モモ様が食べてもいいの」


「ううん、私皆と一緒に食べたいもん。我慢するよー」


「嬉しいなの!」


 そんな感じでお餅がつき上がったんだ。

 ムニムニトロトロでビヨーンって伸びる。

 見ただけで美味しそう。


「ウィーニ、きな粉は、餡子はあるの!?」


「モモ様、よく知っていますの。どっちも用意してあるですの」


「わーい!」


 つきたてのお餅に餡子がまぶされ、きな粉餅も作ったんだ。

 他の皆も用意ができたところで、私は一気に口の中に。

 モニュモニュ柔らかく甘い豆の感覚が良い感じ。


「もう一つちょうだい!」


 私は直ぐにお代わりしたんだよ。


(モモ、のどに詰まったら大変だからゆっくり食べようね)


「うん、そうするよー」


 私達はお餅を食べて、いっぱい、いーっぱい楽しんだんだ。


「モモさんにお願いしたい事があるのです」


 そうお母さんが云ってきたのはピクニックをしてから三日後だったよ。


「もしかしてお父さんのところに行くのー?」


「……それも是非頼みたいところですが、私は今、時間がないのです。頼みたいことというのは私の娘のことなのですが……」


「ルシフェリアかイブがどうかしたのー?」


「ああ、城に居る二人のことではないのですよ。実は私には他に四人の子供が居て、その内の一人、ラヴィーナが修行の旅からウィーディアに戻ったと報告があったのです。是非モモさんに彼女の相手をしてもらいたいと思いまして」


「ふぇー? 修行ってなにー?」


(花嫁修業とか?)


「とても言いにくいのですが、バトルジャン……私の友達のフルール・フレーレという人物に同行して武術の修行の旅に出ていたのですよ」


「お姫様なのに?」


「そうなのです。しかしラヴィーナには途轍もない武の才能があり止めても聞かないというかそんな感じなのです。きっとモモさんの武勇を聞きつけ接触してくるはずですから、その時は勝負を挑んで来るでしょう。出来る限り手加減をしてやってくださいね」


「うーん、わかったー」


 私は手を挙げてお返事したの。

 それから数時間後、私と御主人がお部屋でゴロゴロしていると、


「たのもー! たのもー!」


 私の部屋の前で大きな声が聞こえてきた。

 この声は女の子かな?

 じゃあやっぱりラヴィーナって子なのかも。


(モモ、来たんじゃない?)


「そうだねー」


 扉を開けるとおかっぱ頭の白髪の女の子が立っていたよ。

 とっても可愛らしい顔立ちでイブと同じかちょっと下ぐらいかなぁ?

 お母さんは勝負しに来るとか云っていたけれど、


「あなたに勝負を挑みに来たわ! 正々堂々勝負して!」


 やっぱりそんな感じだったよ。

 素手の構えが様になっているの。

 でもここで戦うのはちょっと嫌だよ。

 お部屋がグチャグチャになっちゃうもん。

 そしたらアリアに怒られちゃうし。


「じゃあ外でやろっかー」


「逃げないなんて、さすが勇者と呼ばれる事はあるわ。正々堂々お庭で勝負よ!」


「はーい」


(いってらっしゃーい)


「御主人も来るんだよー」


 私は御主人を抱っこして窓からお庭にダイブしたんだ。

 シュタット着地してまっていると、


「わ、私だってそのぐらいできるんだから!」


 ラヴィーナは窓に足をかけたんだ。

 ちなみにあそこは三階だよ。

 ちょっと涙目になって躊躇っている。

 別にあそこから降りなくてもいいんだけどなぁ。


(モモ、落ちたら危ないから助けよう)


「うん、わかった!」


 話をしている間にもラヴィーナは目を閉じて。


「たああああ!」


 思いっきり飛びおりたの。

 流石に目をつむったら危なすぎるよ。

 落ち切る前に滑り込みで抱え込んだんだ。


「大丈夫?」


 って覗き込むと、顔が真っ赤っかになっちゃった。


「敵に助けられるなんて、こんな、こんなの……はずかしいいいいい!」


 そのまま手を振りほどいて走って何処かに消えちゃったよ。

 うーん、勝負は終わりでいいのかな?

家猫のモモ

御主人ごしゅじん(ヒロ)

王子シャーン

王女ルシフェリア

王女イブレーテ(長女)

シャーンのお母さんテルナ

グリフ・リスマイヤー

青鎧のブルース・グライブス

教育係アリア・ファイリーズ

赤髪の槍使い、リーズ・ストライプ(エルフ)

桃髪の魔術師、カリン・ストライプ(エルフ)


ベノム(ブレードバード隊、隊長)


ルーカ(孤児)

プラム・オデッセイ(里帰り中)

ジャック・スロー (天狼ジャックスロー隊長、白い狼男)


クロノ・アークス (シャーンとルシフェリアのお友達)

シャルネリア・シャルル・シャリアット(同上)


剣と魔法の世界 ミドレイス

翼の生えた子供 ウリエリア

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