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始まりの魔獣クリアルクス

 起動キーを得て地下にあった魔導炉に急いだ私達。

 シープが調査を行うが、そのデータにバグが発生していた。

 勝手に作動し、トリニティを出撃させてしまうの。

 助けに来たウォームラビット達、しかし彼等も狂っていたんだ。

 全部蹂躙されて、ラビシュッが魔導炉を操る姿を見ながら意識が途切れたの。

 目を覚ますと、隣に御主人が居てくれた。

 そこは何も無い窪んだ草原の上。

 結局何だったか分からずに帰ったけれど、こっちのラビッシュが行方不明になっていた。

 そして一週間、ブルースがあの草原に建物が現れたって報せに来てくれたよ。

 私は一人そこに向かい、中に入るとラビッシュが居てくれた。

 彼は私を過去に送って未来である今の時間に魔獣を復活させようとしていたの。

 そんな彼は魔導炉の建物を取り込み、圧倒的巨大な魔獣の姿へ変貌したの。

 ウォォと吠える大きな顔、大木を引き抜くように出てきた足。

 幾つもある円筒系の尻尾のようなものが地面に繋がっているの。

 あれから見れば私は蟻んこのようなサイズ感だ。


「完全復活にはまだ時間がかかりそうだが、今の状態であっても世界を滅ぼすには容易いぞ! 先ずは貴様だ。復活の礼として、痛みすら感じる間もなく踏み砕いてやろう」


 そいつは私めがけて大きな足を踏み下ろすの。

 あんなのに踏まれたらぺちゃんこになっちゃう。


「嫌だよーだ!」


 でもそんなの絶対嫌だから、かなりのスピードで移動して避けたんだ。

 ドーンと落ちた足が衝撃破を巻き起こす。

 爆風で飛ばされちゃったけど、私は逆の足にしがみ付いたの。


 そのままよじ登ろうとしたけれど、魔獣の体に変化が起きるんだ。

 私の居る部分がボコボコってなり、鋭い棘が伸びてくる。

 食らったら串刺しにされそう。


 だけど私は予測していたよ。

 バッと飛び退きキャットスレイヴを盾にして更に上に飛んだんだ。

 まだ全然肩にも届かないけど、もう一度ジャンプすればいいだけだよね!

 私は攻撃を避けながら上に上に。


 肩の上に乗るとようやく足場が確保できた感じ。

 動いているからグラグラだけど、バランスを取りながらあまりにも大きな頭に向かう。


 でも、相手だって止まってはいないの。

 相変わらず下から棘が伸びてくるし、口からは炎が飛んで来るし、鋼鉄のモンスターまで現れたんだ。

 数の差も地理的にも凄く不利。

 でも絶対に負けないよ!


「てええええい!」


 私はキャットスレイヴを使って何もかもに対応したの。

 一人で中々大変だけど、今はそれでやるしかない。

 飛んで来る鋼鉄の鳥も、背中を走る鋼鉄の狼も、力の強そうな鋼鉄の熊さんだって全部まとめて倒したよ。


 だけど、倒した残骸は魔獣の体に吸収されて新しいモンスターとなるんだ。

 このままじゃ切りがない。

 やっぱり頭を潰すしかないかも。

 私は巨大な首元に走り、キャットスレイヴを巨大な剣に。

 すごくすごく重いけど、台座のように固定して。


「せーのおおおおおおお!」


 全精力を以てザックリと叩き込んだんだ。

 バチバチと衝撃が弾けて切れ込みが入って行くの。

 足元を棘が貫きとても痛い。

 ……けど、それだけなの。

 揺れる背中に踏ん張れる場所だ!


 構わず力いっぱい振り抜くと、あまりに大きな魔獣の頭が地面に落ちて行くんだ。

 ドーンって衝撃、魔獣の足元がグラって揺れる。

 魔獣が地面に落ちて行く。

 ここは遥か高所、このままじゃちょっと大変。

 足元の棘を切り裂いて私は自分で飛びおりたよ。

 キャットスレイヴをクッションにすれば簡単なんだ。


「よーし、勝ったよー!」


 喜んでみたものの、ラビッシュはどうなったんだろう?

 一緒に死んじゃったのかな?

 足の傷を治して捜してみようかな。

 そう思って白猫ちゃんを呼び出した時、倒したはずの魔獣が動き出したんだ。

 無くなった頭にちょこんと生えるラビッシュの頭。


「モモ様、倒したと思われましたです? 今のはほんの冗談です。この程度で魔獣クリアルクスが倒せるはずがないでしょう! 戦いはまだまだまだまだ続くのですよおおおおお!」


 魔獣が自分の頭に触れると無くなった頭が再生していくの。

 これは元々建物だったし、普通の攻撃じゃ倒せないのかも。

 だったら弱点を探すしかないね。


「猫猫召喚……現れて、幸せの黒猫ちゃん!」


 呼び出した黒猫ちゃんは大きな魔獣をジッと見つめる。

 その弱点は……魔獣の中。

 胸の中央、心臓のある位置、そこの小さな一部分。

 そこしか勝ち目はないんだって。

 じゃあもう行ってみるしかないよね。


「よーし、やっちゃうよー!」


 私はパンって頬を打ってやる気を出したの!

 でも相変わらず敵は多い。

 魔獣から分裂したモンスターの軍勢が迫ってくるんだ。

 蹴散らすのはちょっと大変。

 分岐させたキャットスレイヴで大量の敵を打ち落とす。

 それでもワラワラと延々に終わらない。

 でも私にはこの世界で絆を紡いだ家族と仲間達が居るんだよ。


「いよう、中々大変そうな状況だな。手ぇ貸してやろうか!?」


「モモ殿、助太刀に参りましたぞ!」


 ほら、二人もかけつけてくれた。

 私の所属する隊長のベノムとその部下のブラッククロウ。


「わー、助けに来てくれたんだね!」


 一人じゃなきゃ心強いね!


「あー……っていうかな。勝手に変な建物立てられちゃ調査制圧しなきゃなんなかったんだが、その前にお前が一人で勝手に先に行っちまったんだろ」


「隊長殿、のんびり喋っている暇などないようですぞ。大群が迫ってきています!」


「心配する必要はねぇ、こっちも俺等だけじゃねぇからな! 見やがれ、ウィーディアの最強軍隊の登場だああああ!」


 ベノムが背後に手を広げると、ドドドドって馬の足音が近づいてくる。

 それは剣を、槍を、弓を持った兵隊達。

 数は全然わからないけど、とにかく多くて頼もしい。

 指揮しているのは……。


「この程度の数に怯むな、全て撃ち落としてやれ! 全軍射撃用意! 仲間には当てるなよ!」


 シャーンの付き人である全身鎧を着たグリフなの。


『応!』


 その命に応じて兵士達から鋭い矢が大量のモンスターに発射されたんだ。

 薄い鉄板ぐらい打ち抜けるぐらいの威力だけど、鳥のモンスターでもバランスを崩す程度にしか効いていないよ。


「矢が効かぬというなら魔法を食らわせてやれ! 魔導大隊、攻撃を開始せよ!」


『応!』


 それならって、今度は次々に発射される様々な魔法の攻撃。

 敵のモンスターはバランスを崩して落ちたりしている。

 今ならいけるかも!


「ちょっと行ってくるー!」


 私はベノムに告げて動き出す。


「俺達が援護してやる、行くぞブラッククロウ、気張れやああああ!」


「委細承知、全力で参ります!」


 二人とも手伝ってくれるって。

 ベノムは上空の敵を、ブラッククロウは地上の敵を蹴散らし真っ直ぐな道を作ってくれるの。

 打ち払う必要すらない。

 私はそこを通り抜け、始まりの魔獣の前に。

 踏み鳴らされる大きな足と遥か遠くまで響く咆哮。

 もう全然怖くないんだから!


「にゃああああああん!」


 信じるのは仲間達、私は剣を前に魔獣の胸に飛び込んだ。

 分厚い鋼鉄の鎧を破りその体内に。

 さっき入った時とは別世界。

 ここはもう赤い臓器がドクドク脈打っている。

 その一部にはラビッシュの頭がめり込んでいるんだ。

 弱点は……絶対にここだよね?

 私が剣を振り上げるとラビッシュの瞳がギロッと向くの。


「ここまでやって来るとは驚いた。しかし丁度良い、兎の体には飽いていたところだ。その肉体を頂いてやるぞおおおお!」


 血管のような触手が伸びて私に絡みつく。

 ドンドンドンドン太く大きく動きを阻害されちゃうけれど、


「べーだ!」


 そんなの全然大丈夫!

 私はキャットスレイヴをジャキんと振り払ったんだ。

 ドンドン生える触手を払い、前に前に進んだの。

 距離はもう充分。


「おのれ、おのれええええ、我の体が万全でありさえすれば貴様等に負けるはずは――」


 ラビッシュは完全に魔獣の操り人形。

 流石に白猫ちゃんを呼んでいる隙はないんだ。

 助けられる方法がないのなら、ここで開放してあげるしかない!


「たああああああ!」


 私は全ての力を一撃に込めて一気に振り下ろしたんだ。


『ぎぃあああああああああ!』


 ラビッシュと魔獣の悲鳴が重なり合い体内が、魔獣がグゴゴゴって揺れ始めた。

 ここも危ないかも知れないね。

 背を向けて脱出しようとすると、


『お前だけは逃がすものかああああ!』


 最後の力を振り絞って触手が飛び妨害してくるんだ。

 開いていた壁が分厚く閉まり、押しつぶすように壁も迫ってくるの。


 私サンドイッチなんかにされたくないよ!

 お城に御主人を待たせているんだもん!

 でも壁を剣で斬っても直ぐ治っちゃう。

 これじゃあここからは出られない。


 他に出られる場所は……あっちかな?

 私は壁を蹴って頭を目指したの。

家猫のモモ

御主人ごしゅじん(ヒロ)

王子シャーン

王女ルシフェリア

王女イブレーテ(長女)

シャーンのお母さんテルナ

グリフ・リスマイヤー

青鎧のブルース・グライブス

教育係アリア・ファイリーズ

赤髪の槍使い、リーズ・ストライプ(エルフ)

桃髪の魔術師、カリン・ストライプ(エルフ)


ベノム(ブレードバード隊、隊長)


ルーカ(孤児)

プラム・オデッセイ(里帰り中)

ジャック・スロー (天狼ジャックスロー隊長、白い狼男)


クロノ・アークス (シャーンとルシフェリアのお友達)

シャルネリア・シャルル・シャリアット(同上)


剣と魔法の世界 ミドレイス

翼の生えた子供 ウリエリア

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