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山鳩




「たわけ。大声を出すな」

「娘さん!」


 多分、心臓を一刺しされていただろうに、立ったままだったので少しおかしいなとは思っていたんだけど。

 娘さんのその顔を見て、あ、これは自分で心臓に日本刀を刺したんだなって、わかった。

 自信満々の笑顔。

 ああ、大丈夫なんだなって思ったら、何故だか、涙が込み上げてきた。


「………莫迦者。泣くな」

「う。だって。娘さん。無事で。本当に。無事で。吸血鬼に操られて、日本刀を心臓に刺しちゃったんじゃないかって」

「たわけ。誰が操られるか。これは自分の意思で刺したのだ。日本刀の力を私の身体に戻しているのだ」


 徐々に、日本刀の形が消えて行っている。

 娘さんの身体に戻って行っているんだ。


「うん」

「気を抜くな。まだ終わっていないのだぞ」


 娘さんが俺から視線を別の方向へと向けた。

 俺が娘さんの視線を辿ると、その先にはかぼちゃの蔦でぐるぐる巻きにされている吸血鬼が居た。一年前、娘さんにかぼちゃの蔦でぐるぐる巻きにされた俺は床に倒れ込んでしまったけど、吸血鬼は立ったままだった。

 俺は咄嗟に吸血鬼に駆け寄ろうとした。

 かぼちゃの煮つけを食べてもらう為に。


「待て」

「無駄だって止めないでよ、娘さん」

「待て。と言ったのだ。無駄だから止めろ、とは言っておらぬ」

「あ、確かに。じゃあ」

「寄こせ」

「え?」

「そのかぼちゃの煮つけを寄こせ」




 私が食べる。











(2023.10.20)




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