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麴塵
「え?あ。ああ。いい。俺を喰って、娘さんが力不足なく戦えるなら喰ってくれ」
じいちゃんの無惨な姿を見て気が動転して、視野が超絶狭くなっていたとも思う。
俺にできる事があるなら何でもしようと脳が決断してしまったのだ。
「よいのか?」
「ああ」
「………ならば」
とてつもなく厳しい顔つきになった娘さんが、自分のかぼちゃ色のアフロ髪に両の手を思いっきり突っ込んで持ち上げたかと思ったら、すぽっと呆気なくかぼちゃ色のアフロ髪がまるっと抜けた。
あ、やっぱりカツラだったんだ。
と、納得したのも束の間、まるっとかぼちゃ色のアフロが残っている娘さんの頭を見て、目を白黒させている俺の頭に。
「では、喰わせてもらう」
すぽっと、かぼちゃのアフロ髪を装着させた。
うん、あれ?
もしかして、かぼちゃのアフロ髪が娘さんの本体なんですか?
(2023.10.12)