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英雄譚と悪役ごっこ  作者: 藍庸善
一人ぼっちのナルちゃん編
4/9

通常ルート1

「うわっ!」

「キャッ!」

「眩しい!」


突然教室が光り、彼らは真っ白な部屋に転移される。


「ふふふふ。ああ、良いわねー。その反応。さっきのとは大違いね。」


真っ白な部屋には女神の様な女が居た。

部屋同様全体的に白が目立つ。

彼らのいる場所より高い場所の玉座に座っている。


「おい!誰だお前!」


彼らの中の一人が叫ぶ。


「私?それはこんな格好をしているから、女神に決まっているじゃないの。」


女は当然の様に答える。


「はあ?知るか。それよりここどこだよ。」


「まあ、勉強不足ね。最近神々の間では異世界転生は常識なのよ。だから小説やら、漫画やらで情報を得られる様にしたのだけど。」


「異世界転生!?本当に存在するんですか!?」


「ええ、あなた方は運良く選ばれた素晴らしい素質のある方々なのです!」


声高々にあげて、女は演説をする。


「という訳で、ご存知の方もいらっしゃると思いますが、異世界に転生してその世界にいる魔王を討伐して頂きたいのです!」


「おい!冗談じゃねえぞ!誰かそんな面倒臭そうなことするか!」


「そうですよ!僕はトップクラスの大学に合格して、これから華々しい大学生活を送るんですから!」


「わ、私も、異世界はちょっと……。」


彼らの中から不満の声を上げる者がいる。


「やったー!異世界!?魔法!?」


「勇者とか、聖女いるの!?きゃー!楽しみ!」


「はいはい!俺勇者やりたい!」


反対に喜びの声を上げる者もいる。


「ああ、申し訳ございません。説明が不足しておりましたね。異世界転生は文字通り生まれ変わって赤ん坊からやり直します。そして、あなた方が今と同じ年齢になる頃に魔王も登場します。その魔王を討伐さえして頂ければ、あちらの世界にいようと、元の世界に戻ろうとも自由です。元の世界に戻った時はあなた方が居なくなった直後に送られます。」


「マジかよ!」


「ワクワクしてきたー!」


「ふざけるな!僕はそんなのしないぞ!」


「そうだ!元の世界に戻せ!」


彼らはそれぞれの反応をとる。

それに対し、女は平然とのたまう。


「ああ、申し訳ございません。またまた説明が足りませんでしたね。残念ながら元の世界に戻るには魔王を倒さないと無理なのです。それと、転生特典として好きなスキルを一つ選べます。では私はこれで。」


女は質問の余地を与えない早さで説明をし、玉座ごと消える。

それと同時にスキル一覧が表示された。


「お、おい!?」


「ちょっと!?」


「マジかよ……。元の世界に戻るには魔王を討伐するしか選択肢ないのかよ……。」


「うわーん!」


彼らの反応は様々だ。

泣く者、嘆く者、期待する者、混乱を纏める者。


「みんな!落ち着こう!まずは現状確認だ!」


「そうよ!泣いていても、現状は変わらないわ!」


委員長キャラの二人が彼らを纏めようとする。

いつの時代もそういうキャラが必ずいるものだ。


「何だよ!これが落ち着いてられっかよ!」


「そうだ!僕はこれから素晴らしい大学生活を送るんだ!」


「そうよ!異世界なんて行きたくないわ!」


話が纏まっていない。

話し合いは終わらない。

十分位して、漸く落ち着いてきた。


「現状確認をしよう。僕らはここから戻る手段がない。戻るには異世界に行って魔王を倒さなければならない。魔王は僕らが転生して約18年後に現れる。そして、僕らには転生特典としてスキルが与えられる。こんなところかな。」


委員長キャラの一人が、現状を簡潔に説明する。


「ええ、そうね。」


「ああ。」


「で、スキルがアレという訳か。」


委員長キャラが、そう言いながらスキル一覧を指し示す。

そこには、おびただしい数のスキルが表示されている。

しかも全てが高レベルもしくは特殊という鬼畜仕様。


「ああ、アレな。とんでもない数なのにご丁寧に一つ一つにちゃんと説明が付いているんだぜ。」


女神らしき奴のせめてもの償いだろうか。

こちらの説明に関しては丁寧だ。


「一つのスキルにつき、一人まで。そして、一人一つしか選べない。」


「僕はこれにしよう。」


「俺はこれだ!」


「私はこれが良いな。」


「私はこれにしようかしら。」


それぞれ選び出す。

暫くして、全員が選び終わった。

すると、何処からかアナウンスが聞こえる。


『これよりあなた方を異世界へと転生させます。王族、貴族、平民など、なりたい自分をご想像下さい。一分後に転生を開始します。』


「お、おい!?」


「ま、待って!えーと、えーと。」


「僕は貴族だー!」


『では、転生を開始します。皆様に武運が在らんことを。』



ーーーーーーーーー


「うっわー。可哀想。」


「幸運でしょう?私の役に立つのですから。」


「(哀れだな。こんな奴に利用されるとは、運がない。)はぁ。」




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