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半年前、アスカビル国へと攻め入った。
アスカビル国は、海と陸に挟まれている。アスカビル国を落とす事が出来れば、貿易を活発に行う事が出来る。数多の国が、土地が欲しいと考えていた。けれど、一向に落とす事は出来なかった。何故なら、そこには、無敗の騎士がいた。百戦錬磨の騎士を倒す事が出来ず、どの国も未だに落とす事が出来ていなかった。
戦って勝てないのであれば、戦わずして勝てばいい。いくら、無敗の騎士だと言っても、所詮人である。疲れには勝てない。欲には勝てない。作戦を立てれば、勝てない事はない。一人が強くても、他が強くなければ意味がないのだ。連携が上手いとも聞いていた。だから、連携を崩す作戦も立てた。
準備と待っていた機会が整った時、アスカビル国へ攻め入った。
ある国が、アスカビル国へ攻め入ると言う情報を手に入れた。そこで、交渉をしたのだ。手を組まないか、と。最初に、そちらの国が攻め入り、疲労が溜まった所をこちらの国が攻め入り国を落とす。勿論、土地は分けよう。しかし、そちらの出来次第によっては土地の分け方も変わってくるぞ。と。
それを、相手側は飲みこみ、攻め入った。相手側がアスカビル国を落とせば、この交渉もなかった事になるのだが、それはないだろうと読んでいた。理由はあるのだが、言ってしまえばどこから漏れるかも分からない。だから、その理由は作戦を立てた者の中にだけで留めておく事にした。
予想通り、相手は国を落とす事は出来なかった。
疲労が溜まり、資材も、食料も尽きかけている状態を攻め入った為、予想通り楽に攻める事が出来た。が、一つ誤算だと思ったのは、無敗の騎士が頭が回る者だった事だ。無敗の騎士が、作戦を立てている事を知ったのは、頭が回る事を知った時だった。
どう攻めるべきか無数の案から選んでいる時に、誰かが叫んだ。
――無敗の騎士を打ち取った、と。
それを聞いた瞬間、誰もが『勝った』と思った。気を緩めるなと指示する者すらも、気を緩めてしまう。だがこれで、この国の王家の首を取れば、この国は我々の物となる。