表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結済】チートな番を伴侶にする奔走物語〜雄だらけの世界で見つけた、俺の番は……。  作者: 嵐華子@【稀代の悪女】複数重版&4巻販売中
3章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

46/210

46.苦手な魔法~ベルグルside

「なるほど。

陛下からも許可を貰ってますから魔の森の成り立ちと、なんで私が各国王陛下直々の伝達係になったんかを補足させて貰います。

ただ、これからする話は国家機密。

もし守れんかった時に消されるんは自分達だけやないと思っといて下さいね」


 グランの報告書を読んだトビはそう前置きした。

一族郎党巻き込んだ秘密にさせられたか。

そして俺達はワルシャマリ国が鎖国した経緯と魔の森の成り立ち、白竜と黒竜の犠牲の上に成り立つ平和について知った。


「だが何故ワルシャマリ国の開国に我が陛下が動かれるんだ?」

「政治的な理由は多々あります。

このままやとどうせあの国はどこかの国の属国になるしかなくなります。

竜人が思てるほど獣人は弱くないし、今は昔と違って数があまりに違います。

それに過去の侵略行為を教訓に、もしもの事態の為に各国王陛下達も情報の規制と把握を常に連携して行ってきてます。

鎖国の経緯もやらかした側の大半の竜人は時間と共に甘く考え始めて油断してますけど、やらかされた側はそうやありません。

せやけど腐っても最強獣人クラスの竜人の国やから戦争になれば自国の民が傷つくんは避けられませんやん?

やったら恩を売った上で開国させて交易するよう持ってった方が利があると判断されたみたいです。

そもそも魔の森はこの国にあるわけやから橋渡しもしやすい。

それが今の陛下の政治的理由みたいです」


 トビは一旦出された茶を飲む。


「更に言うたら今あの国の勢力は実質的に2つになった。

伴侶が死にかけ無気力になり1番目の王弟に譲位したい国王とその重圧から逃げてたはずの1番目王弟一派。

武力で他国を制圧し、世界を制服したい2番目王弟一派。

ワルシャマリ国国王は伴侶の延命に休眠してしもたみたいやから、このまま1番目王弟が逃げ続ければ2番目王弟が王位につく。

ホンマはそっちの線が濃厚やった。

せやのにここ最近のレンちゃん騎士達超回復事件を知った1番目王弟は黒竜が助けたんと勘違いして魔の森に入った。

そのせいでどうなったんかわかりませんけど、レンちゃんが黒竜と大喧嘩。

しかも外の世界に口出しせんかったあの子をその王弟が怒らせて魔の森の成り立ちを話して聞かせた。

それで何でかやる気出した王弟が血の宣言で王位の継承と開国、白竜と黒竜の尊厳の回復を誓った。

それをさっき伝えたら陛下的にも民に被害が出えへん1番目が最推しやったし、こうなったら恩を売る機会を逃す手はない。

それでうちの商会が月花の花びら大量に仕入れてたんを伝えて手札にしたっちゅうわけです。

2番目王弟のせいで増えた麻薬中毒者を助けれますから」


 なるほど、それなら話の流れとしては納得できる。

しかしあのレンが絡んだんだぞ?


「失礼ですが、他にレンが絡む理由はないのでしょうか?

あの子が絡むと大事になりそうですし、今のタイミングで私達に話をする理由が見つかりません。

我が陛下はレンが黒竜の番と知っているのですか?」


 副会長の細目が少し大きくなった。


「さすが爺さんの親戚ですやん。

1回会っただけやのに、あの子の事ようわかってますね」

「大叔父を知っているのですか?」

「私、元は白竜の弟子であの子の兄弟子なんです。

白竜の番の爺さんも、黒竜もよう知ってます」

「····それで伝達係になったり月花を仕入れられたんですね」


 白竜の弟子って何だ?

竜って弟子取るのか?

レイブも内心つっこんでるんじゃないか。

口の端が引きつってるぞ。


「月花は今年入ってからあの国のきな臭さが私ら商人の間では目立ってたんで、あの子に念の為お願いを。

麻薬については私が魔の森で白竜についてた時から認識してましたし、各国王陛下達は黒竜の番については存在は知ってます。

せやけど、ただのか弱い人属や思ってるんちゃうかな。

皆魔の森の為にも長く健やかに生きて欲しいって毎回言うてますし。

ただ、こちらの陛下だけはあの子の力の事はよう知ってます。

治癒魔法が1番苦手やいうんも。

せやから、お2人に話を持っていくよう言われたんです」


 今度は俺達が目を丸くする。


「は?!

レンが治癒魔法が苦手?!」

「あれ、知りませんでした?

基本的に繊細な魔力調整の必要な治癒魔法より攻撃魔法の方がよっぽど得意で、昔森の外で爺さんと試し打ちや模擬戦闘してたらお忍びで外遊してた陛下と出くわしたんが2人の馴れ初めです。

昔の話ですけど、何回か陛下も攻撃魔法で吹っ飛ばされてますわ。

今でも半年に1度くらいはお菓子持って訪ねてきてますし、膝に乗せて食べさせるくらいには仲良いんとちゃいますか」


 開いた口が塞がらない。

レンよ、おじさん開いた口がとにかく塞がらないぞ。


「まぁそれで、キョロから謁見中にあの子が拐われたのを聞いてお2人がワルシャマリ国に入国するよう私の方で手配しろ、と。

ちなみに陛下ガチギレしてて怖かったんで、多分急がれた方がええかもしれません。

そんな簡単にはあの子が傷つく事はないとわかってても、それとこれは別みたいですね」


 何だそれ、思いっきり私情挟んでないか。


「····すぐ、準備しましょうか、ベルグル」


 あ、レイブが珍しく来客いるのに団長呼びしなかったな。

大丈夫だ、俺も平静でいられない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ