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【完結済】チートな番を伴侶にする奔走物語〜雄だらけの世界で見つけた、俺の番は……。  作者: 嵐華子@【稀代の悪女】複数重版&4巻販売中
2章

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31.真相

活動報告でも書きましたが、投稿を始めて1ヵ月が経ちました。

お陰さまで4,000PV、1,000ユニークを突破と当初の予想をかなり超え、有りがたいことにブックマークして下さった方まで出現して下さいました。

他の方の初投稿がどれくらいのものなのかは知りませんが、10人くらいの方に見てもらえたらラッキーくらいに思ってた私にとっては良い意味で全くの予想外で、とても喜んでいます。

ありがとうございます。

完結までまだまだかかりますが、少しずつ予約投稿を増やしています。

毎日1日1話1,000から2,500文字程度のさらっと読みやすい話をこつこつ投稿していきますので、よろしければこれからもよろしくお願いします。

 隊長会議では予定通り真相を告げられた。


 真の加害者は第2王子派で王弟と正室が主犯だった。

第2王子は直接的な関与はしていないが、気付いていながら失敗した時には無関係を装おうと情報だけはしっかり収集しつつ素知らぬ振りをしていたらしい。

国元を出てからの船での月夜花の摂取は被害者を装う為に王弟から花びらをくすねて自主的に行ったとらしいから、念には念を入れる性格なんだろう。

殆ど症状が出ないうちに飲むのを止めたらしいが、これで毒は検出された。


 つまりワイバーンに襲われた時は毒に侵された()()をしていたという事だ。

あの時副団長が深傷を負って死にかけた事を知っている俺はそれを聞いて思わずギリリと奥歯をならしたのは言うまでもない。


 レンによって傷は跡形も無く癒されたが、本来なら死んでいたとあの小屋で団長から聞かされていた。

レンがいなかったら団長も魔の森でファルに殺されていたのだと聞いた時は血の気が引く思いだった。

可愛い俺の番の為に全て3人の秘密としたが、ただのふりでしたなんてふざけた話で終わらせられる事では断じてない。


 かつて魔の森で俺が魔術師から貰った魔石に治癒魔法が込められていて治療した事にしてあるが、団長達がワイバーンのせいで傷を負ったのは居合わせた他の騎士や野次馬で群がっていた王都民の証言を証拠とし、もちろん賠償金は払わせた。

余談だが腹黒いうちの陛下と王太子の計らいで第2王子の個人資産の殆どを獲得したらしいが、いくら賠償金でも他国の王族の個人資産をどうやってかっさらったのか。

聞きたい気持ちがなくはないが、聞かない方が心は平穏でいられそうだ。


 もちろんいくらかは団長達に当てられ、俺達騎士団の飲み代になるはずだ。

部下想いの団長達だな。


 ともかく一歩間違えば第1王子が命を落とした可能性もあったあの状況では主犯ではないとしても無関係を通せるはずもないし、何より自主的にあの花びらを摂取したのだから逃れられない。


 そして事の発端は年2回行われるジャカネスタ国とワルシャマリ国の両国で慣習となっている領海の確認の際、ジャカネスタ国の王弟にワルシャマリ国の2番目の王弟が月夜花とワイバーンの闇取引を持ちかけた事より始まった事が発覚した。


 国交を断ってから約千年経っており、元々月花や月夜花についての知名度が低く他国の者が詳しく知っているとは思えない。

そもそも解毒薬である月花など絶対に手に入らないし毒の特定などできるはずがない、と。


 実際ジャカネスタ国王族の力を使って月花や月夜花の事を調べても殆ど情報は出てこなかった。

とはいえ国交を断った竜人の国を信じられるかは密輸させるワイバーンを月花の根の麻薬浸けにした上で確かめた。

確かに使えそうだ、と。

あの5頭のワイバーンは何度かジャカネスタ国とワルシャマリ国を行き来する訓練をしてあったらしい。

レンが森の上空を飛ぶのを見たのは多分これだろう。


 そうして建国祭に出席して護衛が手薄になるこのタイミングで第1王子派を亡き者にする計画を練ったのだ。


 先ずはジャカネスタ国国王に月夜花の花びらを生のまま紅茶に浮かべて飲ませた。

次第に思考が低下し動かなくなる国王の代わりに王弟が摂政として一時的に政治機能を動かす。

船には第1王子に黙ってワイバーンを積み、侍従と使臣は自分達の息のかかった者を入れた。

後は港に着く前に侍従にワイバーンが攻撃対象にしやすい赤色の礼服に着替えさえ、檻の鍵を開けて呼び出した。

もちろんこの少し前に第2王子はわざと船の甲板に出て偽装を始めた。


 ワイバーンの側に来た第1王子とその友人達は月夜花の根の毒を塗った吹き矢に狙われ、次々幻覚により暴れだした。

第1王子が吹き矢を数ヶ所刺されていたのはあわよくば亡くなる事も計算したからだ。

他の子息より行動が突拍子もなかったのはそのせいだろう。


 ワイバーンが檻から出た後は騎士団の活躍により無事王宮へと入り、内政不干渉として使臣や侍従に王子達の干渉を邪魔させた。

第1王子と子息達の月夜花の根の毒は直ぐに抜ける為、今度は月夜花の生の花びらを浮かべた紅茶を飲ませて動かなくしようとしていたらしい。

誤算だったのはワイバーン全頭が騎士団に討伐された事だ。

そのままワルシャマリ国に飛んで証拠隠滅を謀るつもりだった。


 我が国からの最初の書簡は王弟が受け取り、国王の筆跡を真似て返信し、慰謝料という名の金で黙らせようとした。


 まさか月夜花の真相に気付き、月花の下毒薬を同封した書簡を第1王子の母親である側室に直接風で送るなど考えもしなかったのだろう。

あの謁見での心底驚いた顔を思い出すと少しばかり気が晴れる。


 それも賢くて可愛い俺の番のおかげだ。

ファルに遠慮してたんだろうな。

ちょっと真意がわかり辛かったが、俺達の理解力が乏しかったんだからレンは悪くない。


 話は戻るが側室は正室より格は劣るものの、実は対等な権威者の1人だった。

無実の罪で後宮に閉じ込められはしていたが、すぐに国王の元に信用できる者を送る事ができ、解毒薬を秘密裏に飲ませた。


 正気に戻った国王が事の顛末を知り、国家転覆罪により王妃も含めて第2王子派はこれから粛正していくと約束した。

第1王子達は無事回復し全てを知った彼は弟の行動を嘆きはしたが、毅然とした態度で我が国の陛下と王太子に相対していた。

やはり優秀な人材のようだ。


 ワルシャマリ国についてはワイバーンと毒の交換以外に内情までは具体的にわからなかった。

当然これだけでは我が国から国交のない国に抗議は送れない。

あくまでジャカネスタ国の不手際だ。

ただしワルシャマリ国2番目の王弟が何事かを企んでいるのは確実だろう。

なぜワイバーンを欲したのか。

たまたまだったはずだが前回の青竜や今回のワイバーンが魔の森に侵入してしまった事がどうにも気にかかる。


 そうして離れてすでに1ヶ月近く経った。

俺はレンを心配すぎて死にそうだ。

早く会って抱きしめたい。

あわよくばあの華奢な首筋から漂う甘い番の匂いを嗅ぎたい。

ちょっとだけ舐めたい。

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