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眷族の魂の行方

「さて、皆さん、集まっていて?」

騎士団からの聞き取り調査が終わり、屋敷内の人間達を術で寝かしつけた後、正式にブランカ・ロイシュタイン公爵令嬢となった鬼姫は下座の者達を見渡した。

騎士団からの聞き取りは長時間に及びブランカは長年の虐待で体が衰弱していたので途中で気を失うことで席を外すことを許された。

色々あって疲れたのは本当だったため用意された部屋で休むことにした。寝たふりをしている時にロイヒシュタイン公、つまり祖父母が訪れたが頬を撫でるだけで出ていった。

これから時間をかけて彼らとは家族になっていくのだ。


「わたくしの大切な眷族達。ここに居ない者もいますが、誰一人欠けることなくこの世に転移できたこと、わたくしは嬉しく思います。」

ブランカの言葉にヨアンナこと橋姫が目頭を押さえている。

それぞれの前世の名を告げ、新しく生まれ変わった眷族と目線を合わせる。

「まだ、数名が己に相応しい受肉体を探している途中ですが、わたくしは、この世界でブランカ・ロイヒシュタイン公爵として生きることにします。」

とりあえず、現状把握が必要と言うことでわたくしは、眷族達の魂が宿る肉体について聞き取りを行った。


シュテン改めクロノス・ティガーは、この国の元第二王子で、若干20歳の公爵だと言う。

13歳の時に腕試しとばかりに城を飛び出し冒険者ギルドに登録。あれよあれよと言う間に最高ランクの魔剣使いとなってしまった剣の天才。魔剣を手に入れた云々は割愛とする。少々脳筋で鍛練と筋肉は嘘つかない!を信条としている。トラブルメーカーではないが、トラブルに頭を突っ込みにいくため、子供の頃から母親であるナディア妃によく叱られていた。

Sランク冒険者となる前に隣国近くの辺境で突如発生したダンジョンを易々と攻略して以降名声が高まり過ぎ、異母兄である王太子の対抗勢力として担ごうとする者が現れはじめた。彼は脳筋ではあったが、異母兄のことは尊敬していおり、空気は意外と読めたため、15歳の時に王位継承権をあっさり放棄し、子供のいない王弟の養子となった。

自分の能力をまだまだ試したいクロノスは再び冒険者として旅立とうとしていたが、母など自身が敬愛する者達から止められ渋々国に止まり王立騎士団の隊員として日々魔物退治や鍛練に明け暮れることになった。

その腕前と戦略に於いては脳筋どこ行った?の活躍をして、気が付けば弱冠20歳にして騎士団長となっていた。余りに若すぎる抜擢に元王族とは言え経験不足だと言う者もいたが、役職に就けることには、国に仕えるものとしての責任感を育てようとする家族(特に母であるナディア妃)の願いが込められていた。


シュテンからの報告に息を吐く。

「あなたの為に用意されたと言っていい体ね、元とは言え王族。その矜持に恥じない生き方をなさいませ。」

クロノスはニッコリ笑った。

「(本当に分かっているのかしら?)で、牛鬼の戦いで瀕死の重症だった将軍が、ほぼ無傷でロイヒシュタイン家のゴブリン討伐に参加できた理由は思い付いたのかしら?」

シュテンはまた笑顔を見せて来た。

「……考えてないのね?」

「だってよ、そこら辺のことは八瀬の方が得意だろ?」

わたくしは、一人の青年に視線を送りました。

八瀬は、笑顔のまま怒ることが得意なのよね。

「何でもかんでも厄介事の尻拭いするのは飽きたので、関わりたくありません。私は、この世界の紅茶と言う文化に魅せられたのです。従って忙しいのです。たまには、御自分でお考え下さい。」

と、八瀬は言っているけれど、面倒見がいいから結局は良い案を考えるのではないかしら。

「そう言えば、八瀬の体の名前は何と言うの?聞いていなかったわ。」

八瀬は満面の笑顔で恭しく頭を垂れた。

「アルフォンス・リヒターと申します。この見た目のせいで親に奴隷商人に売り飛ばされたようです。」

「まぁ、」

「一ヶ月前の闇市で、偽物一家の特にあのアバズレの目に留まり、表向きはアバズレ専属の従者でしたが、関係がアホにバレまして地下牢に繋がれていたようです。出自はとある伯爵家の嫡男でしたが、当主は愛人とその子供に入れあげ追い出したかったようです。この顔面が愛人のお気に入りだったのが気にくわなかったんでしょ、彼が働いている部署での視察中に金で雇った賊に襲わせ誘拐、隣国の奴隷商人に売ったようです。奴隷としてかなり辛い目にあったようですが、彼は実の父親の所業と知り絶望しました。伯爵は奴隷商人から得た金と国からの見舞金を受け取ってます。ゲスですね。偽物一家の当主は愛人を誘惑した罰として、彼の顔半分を焼きましたが、私には不要な傷ですので、消させて頂きました。」

八瀬は美しいものが好きだから……。

アルフォンスは、城内で社会基盤の整備に関わっていたらしい。彼のアイデアは重宝されていたが、父からの妬みで出世が出来ない状況だった。そのことを危惧した上司が宰相府に相談。王直轄領でもある辺境近くの寒村からの要望に答える形で国からの命が降り、アルフォンスを中心とした若手数人で向かっていた。王領とは言え2つばかり森を越えたところにある村である。宰相の判断で護衛騎士をつけたのだが、相手の方が上手だった。アルフォンスは殺されはしなかったが拐われて行方不明となった。彼の父親は国がちゃんとした護衛を付けなかったのが原因と訴え多額の金額を見舞金として受け取っていた。

「ほんと、ゲスい男ねぇ、ねぇ八瀬………あなた、このままにはしないわよね?」

わたくしの問いかけに八瀬は笑った。


「さて、これからどう暮らして生きましょうか。」

皆の様子を聞いて尋ねる。

「わたくしとしては、暫くはこの世界に慣れることを目標にゆくゆくは、旦那様を探したいと思っているのよ。」

頷く面々。

「しかし、姫様……懸念もあります。」


後、一時間後にアップ。

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