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新たな生活へ

編集途中で投稿してしまいました。


新たに追加した文章の前に★をつけてます。

一話だけ消す方法はないのか。

「皆様、シートベルトをご確認ください。」

流れるアナウンスにブランカは腹部に回された帯を見た。1ヶ月後に学園の寮に入るようにと王城からの命が降りてきた。ジオンの婚約者だった偽物令嬢は、家庭教師による教育だったため、引き続き家庭教師による教育を望んだ老公に対してブランカには一刻も早く貴族社会に馴染み、第四王子との交流を深める意味でも学園での教育が必須であるとお達しがきた。国の教育機関の長官がケルン侯爵派の人物であることも関与していると思われた。

改めて新しく登場した孫娘に対して、ギクシャクしていた老公夫妻だったが、鬼姫ブランカと猫になった小鬼達の努力により、家族としての体裁は整って行った。そんなある日、母方の祖父母から連絡を貰ったブランカは、療養も兼ねてロイエンタール辺境伯領へ行くことになった。


「まだ、決まりませんの?」

いつもの夜会議。わたくしは、お疲れ気味です。

だって、決まりませんのよ、随行人が。子爵令嬢であるレティシアは、わたくしと出会うのは、学園に入ってからですから、除外され荒れに荒れました。けれど、国防を担うクロノスやお祖父様の家付きであるリチャード、サンディも除外され、自分だけでないとわかり、渋々納得してもらいました。

ヨアンナは、鬼姫至上主義(とても恥ずかしい)の橋姫の魂を宿しているため、わたくし的に側に置く方が安心です。

「もちろん、私も行きますよ。」

そう当然のように言ったのは、アルフォンスこと八瀬。エミリーと言う娘の中に入ったイバラキも行く気満々で荷造りしているわ。

「「ひいさま、ボク達も行きたいです。」」

問題なのは、それぞれ幼児2人の中に入った精神年齢が少々若い眷族2人と、猫となった小鬼4匹。

揉めに揉めましたが、屋敷を守ることも大切な任務と言い聞かせ(主にリチャードが。)幼児2人は残ることになりました。



「道中、もふがないのは悲しいわ。」

わたくしの言葉に猫達が沸き立ったのは仕方ないことね。皆可愛いもの、悩みました。

結局、一番大きくもふもふなブルーグレーの猫をわたくしは選びました。喉をゴロゴロ言わせて甘えて可愛いわ。

旅に出る前に他の子達も可愛がるのは当然よ。

「ロイエンタール辺境伯領は王都から普通の馬車だと一週間かかる、姫様にそんな苦労をかけたくないぞ、転移する訳にもいかないだろう?」

アルフォンスの言葉に皆が頷いていました。ゆっくりとした馬車の旅も良いものだとおもうけど、皆が大変よね。

「その辺りは、大丈夫らしい。ロイヒシュタイン……大旦那様が、ロイエンタール伯に書簡を送り、空くじらを手配してくださるようです。」

リチャードの言葉。

空くじら?

「精霊界の王と伴侶にのみ従う聖獣らしいです。ロイエンタール伯のご長男の末のお嬢様が南の精霊王のお相手だったとか。」

精霊王……ねぇ、この世界の力とは違う理の中で生きる者達ね……。何処かの精霊王が、あの大穴を開けたのでしょ?

彼等の真の力の根元は“光”、わたくし達は“闇”。

大丈夫かしら?


もうそろそろ寝なくてはと思った時、屋敷の結界に干渉する力を感じました。

皆に緊張が走ります。

特にイバラキが早くも頭に角を生やしたので、落ち着きなさいと声を掛けた。

「ようこそ、南の森の精霊王。」

開いた扉、姿を現した美しいと思える方。夏の華やかな気候に包まれました。

「夜分、遅くにすまない。して、君が首魁かな?」


人聞きの悪いことを言いやがりますこと。

お互いの空気がパチパチと火花を散らす。

「およし、わたくしは、争う気はなくてよ。」

わたくしの眷族達は喧嘩っ早いんだから。

「……あなた様も、その氣を収めて下さいませ。八瀬、お茶の用意を。」

八瀬が静かに頭を下げて出ていった。

「お前達は、何者だ。あの穴から感じる気配に似ている。」

旦那様やクロノスが言っていた北の森にある穴ね…。

「わたくし達は、鬼。この世界とは違う世界で生きていたあやかし。」

森の王は、対面のソファに腰をかける。

「裏切られ、異空の穴に落とされ、魂だけの存在となってしまった、闇の眷族。死を望み、肉体から離れようとしていたこの世界の人間と契約を交わし、人として生き直すことにした者。」

深く刻まれた眉間のしわ。

「おに?あやかし?」

向こうの言葉の多くは理解できないみたいね、

「此方の世界で言うところの、魔族かしら。」

ブランカの知識では、此方の魔族は、元の世界で言う我らと変わらない存在。

ただ、わたくしは、旦那様と出会い、鬼よりも人としての矜持を知った。

旦那様を愛し、意識の根本は変わらなくても、平和を尊ぶ者になったわ。

だから、魔族と同じようなものと知ったからと言って警戒なさらないで。

「わたくしは、ブランカ・ロイヒシュタイン。公爵令嬢としての矜持を棄てはしなくてよ?わたくしやブランカを愛し、彼女が愛する者を守ると約束致しましょう。」

森の王は戸惑う。

「魔族は、甘言を宣う……。」

わたくしは、笑ってみせた。

「人には過ぎた力を、易々と使いはしませんわ、愛する旦那様と穏やかに生きることが、目標ですもの。まぁ、信じるも信じないもあなた様の勝手ですけれど。あなたの愛しい我が従姉妹には、必要以上近寄らないと誓いましょう。」

森の王は、暫くわたくし達を見た後、立ち上がった。

「空くじらを汚す魔素、瘴氣はないと判断した。」

そう言い残し姿を消した。


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