ブレアフル男爵邸にて
ケイト達の家をあとにして、スライム従魔の師匠ともいえるニックさんと魔道具屋のグラシア婆さんには挨拶をしておきたい。
ニックさんは、庁舎にいるだろうと思って向かっていたら、ちょうど下水道の清掃にスライムを召喚している所で出会った。
せっかくなので、うちのスライム達の成長も見て貰いたいので、俺がスライム達を下水道に召喚をして清掃をさせた。
ニックさんは以前、俺のスライム達をナスカに魔物が迫って来た時にも見ているが、その時よりもより強くなって、いい感じに成長いると褒められました。
ニックさんにも、魚介類のお土産を渡しておいた。ニックさんは魔物召喚ができるので、その前提のアイテムボックスも使えるので、外でお渡ししても問題ないので助かる。
ニックさんとは別れて、グラシア婆さんの魔道具屋へ訪れた。
相変わらずなお店で、全く変わらないグラシア婆さんが店の中にいた。
ナスカの街を出る時に、餞別でくれた魔術発動防止の腕輪を利用して解除の練習をしていたら、副次効果でだいぶ魔力の増強も出来るようになっていたので、そのお礼もさせて貰った。
領都ブレアフルや王都で、時折これで訓練をしていたから、魔術学園での活躍に繋がっていると思う。
グラシア婆さんには、魚介類は勿論、地球のお酒もたっぷりとお渡しして、店をあとにした。
さて、そろそろ道場に戻りますか。
いつも通っていた道場の入口ではなく、ジョルシュさんの住んでいる屋敷の方へと回って、そちらの玄関から入らせて貰った。
一応、ジョルシュさんが領主になったからなのか、玄関前に警備の兵士さんが立っています。
まぁ、俺のことを知っているようで、普通に屋敷に入れてくれました。
屋敷内にも、メイドさんがいて、食材をお土産にした話をすると、ジョルシュさんの奥さんのクラウディアさんが、台所で料理人と話をしているということなので、お邪魔をさせて頂いた。
「これはアキト様、お久しぶりでございます。
お出迎えもしないで申し訳ありません」
「いえいえ、俺も急に来たので、気にしないでください。
実はお土産で魚介類を持って来たので、是非今晩使って貰おうと思いまして」
そういって、調理台に魚介類をドンと置いた。
「まぁ、これはありがとうございます。
皆様が今日集まるってことで、お食事を何にしようか料理人と相談をしていたところなのです。
海の魚介類は中々食べる機会が少ないので、これならば皆様にお喜び頂けます」
「じゃあ、ちょうど良いタイミングで渡せましたね。
良かったら、俺も料理のお手伝いをさせて頂けませんか?」
「え、お客様にそこまでして頂くわけには・・・」
「いえ、もし良かったら、地元の料理を再現してみたいと思いまして、やらせて頂きたいのですが?」
地球でも、元々料理をしていたのだが、こっちではあまりする機会がなかった。
昔から海鮮が好きだったので俺もどっかで作りたいと思っていた。
ジェフリー達とのバーベキューは俺が仕切らせて貰ったけど、ちゃんとした料理は作っていないので、どっかで作らせて貰えないかと思っていた。
ケイト達の家ではサクッと簡単にできる料理だったので、ここではもう少しちゃんとした料理に挑戦をさせてもらいたい。
「そういうことでしたら、よろしくお願いします」
クラウディアさんの許可を得たので、台所で調理をさせて貰うことになった。
ということで、ジョルシュさんの屋敷にデニスさんとローラさんも集まって、夕飯になった。
メニューは地球の料理を中心に用意をしてみた。
海老やイカを中心に海鮮天ぷらにしたり、魚は醤油やみりんなんかも出して煮魚にしたり、しじみの様な小さな貝は味噌を使って味噌汁を作ってしまった。
他にも、この家のクラウディアさんやこの家の料理人が作ってくれた、料理も並んで豪勢な食卓になった。
「ほぉ、この天ぷらだが、外はサクサクなのに、中は食感が変わって美味しいね」
「この、魚も味が濃くて、酒がすすんでしまうぞ」
「小さな貝のスープも美味しいね。それにこの独特な風味は変わった調味料を使っているね。アキトの地元の調味料だろ」
ジョルシュさん、デニスさん、ローラさん共に気に入って頂けて何よりです。
しかし、流石ローラさん。自分でギルド併設の酒場を切り盛りしているだけあって、味噌に気がついていますね。
「本当に、アキト様は手際よく料理をなさって、しかもどれも美味しいので、私も料理人も良い勉強になりましたわ」
クラウディアさんにも褒められて、嬉しい限りです。
「しかし、アキト。あんた、本当に魚介類を生で食べているけど大丈夫なのかい?」
ローラさんがそう聞いてきます。
そう、こっちの世界というか、少なくともこの国の人達は魚介類を生で食べる習慣がないそうで、今回は自分の分だけ魚や他の海産物を刺し身にしている。
「俺の地元では、こうやって食べているんですよ。
鑑定で調べても寄生虫も見つからないし、大丈夫ですよ。
あっちでは、鑑定なんかなくても新鮮な状態だったら生でも食べていますし、冷蔵管理がちゃんとしていると、ある程度寝かせて旨味を出すってこともしているんですよ」
「なんか、そうやって聞くと美味そうに見えてくるな。
ちょっと、俺にも分けてくれよ」
デニスさんがそう言うので、刺し身を渡す。
「ほぉ、こりゃ美味いな。食感も火を通したものと全然違う」
デニスさんが美味しそうに食べている様子を見て、他の皆さんも刺し身に挑戦。
皆が美味しい美味しいと言ってくれて、量も足りなくなってしまったので、料理人の方にお願いして、追加で用意をして貰いました。
うん、刺し身が気に入ってくれたことも嬉しいね。
「なるほど、それでケイト君達とダンジョンの奥で訓練をするというわけだね」
「えぇ、ジョルシュさんの道場も悪いわけじゃないのですが、更に皆の実力を向上させて、魔術学園を目指しても良いのではと思って」
「とても良いと思いますよ。というか、私も時間さえあれば混ぜて頂きたいぐらいです」
「ジョルシュ様、流石に新米領主にはそこまでの時間の余裕はありませんよ」
クラウディアさんがジョルシュさんのことをたしなめている。
新婚でもクラウディアさんが上手くフォローしているみたいですね。
ちなみに、クラウディアさんには結婚が決まった時に自分のあれこれを説明させて頂いています。
今は使用人の方も下がって、他にデニスさん、ローラさんしかいないので、特に気にすることなく話が出来ています。
「それで、デニスさんには4人の実力がちゃんとあると認められれば、魔術学園への推薦をお願いしたいのですが」
「別にそれは良いけどさ、一気に4人は地方のギルド長じゃ難しいぞ」
「それでしたら、僕の推薦も合わせたら良いですよ。
これでも今は男爵の地位にいますからね」
「ありがとうございます。4人の実力ならしっかりと鍛えていけば、魔術学園でも上手くやっていけると思うんですよ」
「というか、そのダンジョンできっちりと鍛えれば、魔術学園に通うよりも強くなっちまうんじゃないか?」
「デニスさんの言う通り、近接戦闘メインのケイトとウォルフはそうなるでしょう。
ただ、属性魔術はそれ専門で教えられるのがいないので、魔力量は上げられますが、テクニックやスキルを使いこなすって面では難しいと思いますよ。
それに、魔術学園では様々なカリキュラムがありますから。
より冒険者として活躍を目指すならば、やっぱり魔術学園に通った方が良いと思います」
「そういやそうだよな。
やっぱり魔術学園出身の冒険者はランクを問わず、安定して依頼を達成している。
うちのギルドのGランクの指導も、もっと多彩にやれれば良いとは思っているんだがな」
そんな話をしつつ、夜が更けていった。
お久しぶりのジョルシュさんにクラウディアさん




