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世界樹と木の中位精霊

早速、世界樹へ向かうことになった。

ディードーさんから、学園長先生とベルタさんをもう少し2人にしておいてあげなさいってことらしい。

まぁ、数年ぶりの再会である。長寿のエルフ同士でも色々とあるだろう。

ユーリアは顔を真っ赤にして、リリスちゃんはポカンとした顔をしている。

うん、まぁもしかしたら、2人の弟か妹が出来るかもって話だ。


さて、そういう理由もあり、里長の家から直接世界樹の方へ移動をしている。

エルフの里のある森に最初に来るときも目印になるくらい遠くから見えていた世界樹だが、里の中からだと一段と大きく見える。

里長の家からは、それほど離れていないので、すぐに近くまで行くことが出来た。


世界樹の周りだが、清浄というか空気がとても美味しい。

それに、世界樹が放出しているのか、周囲の魔力が少し濃い気がする。


「これが、このエルフの里にある世界樹ですわ。

一応、神聖な場所として保護されていますが、エルフの里の住人は来ることは制限をされていないわ」


「大丈夫なのか?誰かが世界樹を傷つけたりするとかないの?」


「世界樹自体もここまで大きくなれば、そう簡単に傷つけられることはないわ。

それに、この里のエルフ達にとって、非常に大事な存在なのを子供達もしっかりと教えられているわ」


「そうなのです。

私もここでよく遊びまずが、世界樹は大切にするですよ!」


リリスちゃんも元気にそう言った。


「でも、ここにいるはずの木の中位精霊は見えないなぁ。

やっぱり、ディードーさんが言っていたように難しいのかな。

ユーリアやリリスちゃんには見えていたりするの?」


「いえ、今はいないみたいですね」


「私も見えないよ。ここで遊んでいてもいる時といない時があるよ」


ユーリアやリリスちゃんの目にも見えないのか。

もしかしたら、人族の俺がいるから、怖がって現れないとかもあるのかね。

普段はエルフしかいない里に人族がいるんだから、警戒している可能性もあるかも。


「アキトさん、もし良かったら魔力を放出みてみませんか?

アキトさんの魔力量が豊富ですし、魔力の扱いも非常に上手いので、この世界樹の空気に馴染ませて放出することが出来るかと思うのです。

ただ、放出するだけだと、危険な魔物の可能性もありますが、上手く馴染ませれば精霊達も集まって来て、木の中位精霊も現れるかも知れません」


確かに、ユーリアの方法は試して見る価値がありそうだな。

周囲に魔力を少しずつ放出して、それをこの世界樹の放っている魔力に混ぜるようにする。

この時、自分の意思や気持ちみたいなのを、魔力に込めるとそれが際立ってしまうので、出来る限りフラットな感じで放出する。

一気に大量に放出すると、それは俺の魔力が強く出過ぎるので、本当に少しずつ少しずつ混ぜ合わせるように放出していく。


すると、今度は世界樹の方からも放たれる魔力の濃度が濃くなって来た気がする。

もしかしたら、俺の魔力に呼応してより多く魔力を放出してくれているのか。

俺の魔力が、世界樹の魔力を引き出す呼び水になっているのかも知れない。

それならば、俺もそれに合わせるように、魔力を多く放出して、上手く釣り合いが取れるように増やしていく。

こう世界樹と魔力を使って遊んでいるようで、めっちゃ楽しくなって来たぞ。


魔力回復極大を加味しても、そろそろ俺の魔力量の底が見えてきておかしくないのに、まだ限界を感じない。

多分、この空間の魔力量が非常に多くなったので、俺の自然と回復する魔力の量が多くなっているのかも知れない。

ダキニとの訓練の時に、ダンジョン内の魔力の濃度を増やして、ダキニの魔力回復を早めたのと同じ原理だろう。

ただ、ここはダンジョン内の様な閉鎖空間じゃないのに、ここまで濃密な魔力で満たされるのは凄いな。

これならば、まだまだ魔力の放出が出来るな。




「アキトさん、アキトさん。大丈夫ですか?」


「あ、ユーリア、どうしたの?何かあった?」


「何かあったじゃありませんよ。

アキトさん、集中しすぎていたからなのか、何度も声をかけても反応がないので慌てましたよ」


「アキト兄、なんかたったまま寝ているみたいで、変だったよ。大丈夫?」


ユーリアとリリスちゃんに心配をかけてしまったようだ。

どうやら、俺が魔力の放出に集中しすぎて、周りのことが全く見えていなかったようだ。

自分が上手く魔力を放出して、世界樹の魔力に混ぜ合わせることで、今度はそれに呼応するように世界樹の方もより多くの魔力を放出していく。

これが、本当に楽しすぎて、熱中しすぎていたようだ。


「そういえば、木の中位精霊は現れた?」


「いえ、それがこれだけ世界樹の放つ魔力が濃密になっているのに、未だ姿を現せてくれません」


「じゃあ、やっぱり人族の俺がいるからなのかな」


「確かに、この里に人族の方がいらっしゃることは少ないのですが、これだけの魔力があれば現れるだろうと思ったのですけど」


そんな風にユーリアと頭を悩ませていると、


「あ、あっちの方を見て!多分、木の中位精霊だよ!」


リリスちゃんが何かに気がついて、指を指した。

世界樹の大きな枝に小さな少年が腰をかけていた。


「いやぁ、凄いね。

ここまで、世界樹に呼応することが出来る人がいるとは。

しかも、それがエルフじゃなくて、人族とはね」


そう言うと、枝から飛び降りて、こちらへ近づいて来た。


「君が木の中位精霊なのですか?」


「あぁ、間違いないよ。

僕がこのエルフの里に住む唯一の中位精霊で木の中位精霊だよ」


「はじめまして、アキトと言います。よろしければお名前を教えて貰えますか?」


「僕達、木の中位精霊には名前はないんだよ。高位の精霊になると名がついていくんだけどね。

だから、好きな風に呼んでいいよ。

あと、精霊って高位・中位とか分かれているけど、あんまり上下関係とか気にしないから、敬語とかもなしでフランクに話をしてよ」


「そうなのか。ありがとうな。

さっき、世界樹の呼応って言っていたけど、それが出来るのってそんなに珍しいの?」


「そうだよ!

僕との契約者を決める方法も、この方法を使っているんだけど、今までこれだけ世界樹から濃密な魔力を引き出した人はいなかったよ。

もし、僕が既に契約をしていなければ、間違いなく君と契約をしていたよ。

いやぁ、惜しいよ。本当に惜しい」


「でも、ここまで世界樹から魔力を引き出してしまって、大丈夫なのかい?

魔力不足で世界樹が倒れたり、世界樹の寿命が縮んだりしないか?」


「それは大丈夫。この呼応は世界樹にとっての新陳代謝みたいな感じなんだよ。

今回、これだけ呼応して魔力の循環が進めば、間違いなくこの世界樹はもう一段階成長するよ。

それに、これだけ世界樹の魔力が広がれば、それはこの森中にまで良い影響を及ぼすから、多分数年から数十年はこのエルフの里は繁栄していくだろうな」


へぇ、俺はただ楽しんで、魔力を合わせていただけなのに、良い影響が多いのならば良かったよ。


「それに、アキトにもきっと良い影響があったと思うよ。

世界樹と呼応したことで、まず木の属性魔術は上手く使えるようになっているだろうし、世界樹の周りにはアキト達の目には見えないだろうけど、無数の低位精霊が漂っていてアキトの呼応に合わせてアキトの周りにもくっついているので、きっと精霊魔術もかなり上達しているはずだよ。やったね。」


おぉ、そんな効果もあるのか。

後で、スキル創造のリストで取得出来ているか確認をしておこう。

木の属性魔術も精霊魔術もどちらもまだ使えなかったんだよな。


アキト君、やっちゃいました

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