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エルフの里

注:ユーリアの母親の名前が他のキャラと同一なのに気がついて、ローザへと変更されました。

えっと、何故か学園長先生からエルフの里へ送って欲しいと言われた。

どういうことなのかと、同じく学園長室にいたユーリアの方を向くと、何故か意気消沈している。


「何処からか聞きつけたのか分かりませんが、私がアキトさんの転移を使ってエルフの里へ帰ることを知っておりまして、ここに呼ばれてから急に一緒にエルフの里へ帰るぞって言われてしまいました」


あぁ、もしかして、自分のせいで学園長先生にバレたって思ったのかもしれない


「まぁ、俺もナスカのダンジョンに行ったりするので、頻繁に転移を使っていたから、何処からか情報を聞きつけたんだろうさ。

それに、俺と一緒にエルフの里へ行くのが分かれば、こういうことをしてきそうだしな」


「まぁ、私にもいくつも情報収集する方法がありますから、ちょうど良いタイミングかと思ったのですよ」


「別に学園長先生を一緒にエルフの里へ送るのは構いませんよ。

ただ、俺とユーリアはエルフの里での用事が終わり次第、ジェフリー達と合流して旅行へ行ってしまうので、帰りは無理ですよ。大丈夫ですか?」


「えぇ、片道だけでも短縮出来れば家族と過ごせる時間がだいぶ稼げますからね。

ここ最近は、長期休みの期間にこなさなければいけない仕事があったので、全然帰っていなかったので、今回はアキト君の転移の話を聞きつけて仕事も全て片付けて来ました」


「これだけ準備万端にされたら断れませんよ。

ユーリア仕方ない、一緒にエルフの里へ連れて行ってあげよう」


「アキトさん、申し訳ありません。この件については、母にしっかりと伝えて、灸をすえさせますので」


「え!ユーリア、それはちょっと勘弁してくれないかな?」


「お父様、もっと事前にアキトさんにお願いできたはずですよね。

ちゃんとお願いすれば、アキトさんが断ることはないでしょう。

それをなんですか、当日になって急に私を呼び出して、一緒に行きたいなんて。

イタズラ心なのかも知れませんが、こちらの身も考えてください。

このことは、しっかりとお母様にも伝えて、お父様には反省をして頂きますからね」


うん、既にユーリアの説教で学園長先生はしょんぼりとしている。


「まぁ、1人増えても余裕を持てるように経由地は多めに考えているので大丈夫ですよ」


そう、転移は一緒に移動する人が増える度に必要な魔力量も増えていく。

今回は2人で移動する場合の休憩用の経由地で考えていたが、もしもの時用に余力が持てる間隔にしているので、3人でも大丈夫だろう。


「それじゃ、2人とも準備が良ければ、早速転移しますよ」


ユーリアと学園長先生の手を繋いで、転移をした。




「本当に、エルフの里のある森まで着いたのだね」


「あれ、学園長先生疑っていたんですか?」


「いやぁ、情報は入っていたけど、実際に自分が体験してみると純粋な驚きがあるのだよ」


「ふふん、アキトさんはそれだけ凄い実力をお持ちなのです」


既に一度ここまで俺の転移で来たことがあるユーリアはかなり余裕だ。

そして、なぜか得意気な表情までしている。

ユーリアも最初に来た時は結構驚いていたと思うんだけどね。


「それじゃ、ここからは私とユーリアが案内をするから、エルフの里へ行きましょう」


そう言って、学園長先生は先に歩きだして、森の中へ入ろうとしていた。


「さぁ、アキトさん。エルフの里は森の中でも複雑な場所にあり、しかも特殊な結界でその里出身のエルフ以外は見つけ出すのも困難になっています。

はぐれないように、しっかりと付いて来てくださいね」


ユーリアは、そう言いつつ、俺の手を握って前に進みだした。

転移の時は気にしなかったけど、ユーリアの手が小さくて柔らかいな。

うん、変なこと考えてないで、しっかりとついて行こう。


森の中を学園長先生が先頭で進んでいるが、急に曲がったり、草木が生い茂っている場所を進んだりと、かなり複雑に進んでいる。

俺が1人でここまで来いって言われても絶対に行ける気がしない。


学園長先生が、ある場所で止まった。

特に何かがあるような場所には見えない。

至って普通の木々がある森の中って感じだ。

ただ、森の中でも魔力の濃度がかなり濃い場所なのは、何となく分かる。


「“古き盟約により守りし扉よ。我が声に応えてその扉を開き給え”」


すると、周りの景色が変わっていった。

普通の森にしか見えなかったところに、家々が見える様になった。

どれも木製で森の中にあっても調和の取れた家であった。

森で生活をしているエルフにとても合っている気がする。

ここがエルトリア王国内の自治州として存在しているエルフの里なのか。


「あ!いたぁーーー」


俺が景色の変わったことに驚いていると、俺たちを見つけたユーリアの妹のリリスちゃんがこっちへ向かって走って来た。


「おぉ、リリス大きくなったな、ほら久しぶりのお父さんだぞ」


学園長先生が両手を広げてしゃがんで、走ってくるリリスちゃんを受け止める準備をしている。

そして、リリスちゃんはお父さんをスルーして、隣り合っていた俺とユーリアの足に抱きついて来た。


「へへへ、やっぱり2人は手を繋いでいるのです。ラブラブなのですね。」


そう言われて、ずっと森に入る時から手を繋ぎっぱなしだったのに気がついて、パッと手を離したが、今度はリリスちゃんが俺とユーリアの足をガッツリ抱きついているので、距離が取れない。

案の定、ユーリアは顔を真っ赤にして、あたふたしてしまっている。

そして、学園長先生は、その娘2人を取られて恨めしそうな悲しそうな顔を俺に向けないでください。


「あら、あなたとユーリアお帰りなさい。それにアキトさん、ようこそエルフの里へいらっしゃいました。歓迎しますよ」


この場を唯一収められそうな、ユーリアの母のローザさんが現れた。


「お母様。無事に帰って来ました。

そうだ、お母様聞いてください。お父様ったら・・・」


ユーリアはリリスちゃんの拘束から離れて、ローザさんの元に近づいて報告をしている。

学園長先生は、それは違う等々弁解をしているようだが、全く聞き入られていないようだ。

リリスちゃんは変わらずに俺の足を抱きしめたまま、俺の顔を見上げてえへへと笑顔でいる。

うん、なんかこの家族の感じが分かってきたな。


「あなた、ユーリアからの話も詳しく聞きたいし、魔術学園の学園長として忙しいのは分かりますが、ここ数年全く帰って来なかった理由も聞きたいわ。

ちょっと、2人でお話をしましょうか?」


そして、家庭内ヒエラルキーの最高位がローザさんなのだろう。

学園長先生がめっちゃビビっている。

まぁ、奥さんや家族をほったらかしにしていたのだから、自業自得で仕方がない。


「ユーリアは、里長に学業の進捗状況を報告する必要があるでしょ。

アキトさんも、申し訳ありませんが、外部から来た人は最初に里長と面会をする必要があるので、ユーリアと一緒に里長のところへお願いします。

あとちょっと、この人とお話があるので、リリスも一緒に連れて行ってください。

リリス、里長のところへ行くのだから、あまり騒がないようにするのよ」


「大丈夫だよ。里長、私が行くといつも嬉しそうに喜んでくれるから!」


「まぁ、何かあれば私が対処するので、お母様はたっぷりとお父様に灸をすえてください」


そんな感じで、ローザさんに既に凹みまくりの学園長先生がドナドナされるのを見送った。


「さて、それじゃ私達は里長のところへ向かいましょう」


ということで、ユーリアの案内で里長のところへ向かうことになった。


ルサールカ家大集合。

ちなみに、学園長先生の名前はユリウス・ルサールカです。


サブタイにも一度なっているのですが、

生徒であるアキトは学園長先生、ユーリアはお父様、リリスはお父さん、ベルタはあなた

誰も名前で呼ばないので、一応補足的に。

誰か名前で呼ぶ人出てくるのかな?

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