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長期休みの始まり

今日から、魔術学園の長期休みに入ることになった。


え、休み前に試験期間はないのかって?

魔術学園は、期末ごとの試験というものは存在せず、その年度の最後にだけ試験があり、それで単位が決まる。

授業中の態度等での評価なども一切なく、極端な話、授業をほとんど受けずに最後の試験で受かりさえすれば、単位は貰える。

まぁ、自分で実力が足りないと思って教師に依頼をすれば、補習等はいくらでもやってくれ、フォロー体制はしっかりとある。

ただ、これも自分から言い出さない限り、おこなわれることもない。

生徒の自主性を重視しているのだ。


まぁ、そんなことよりも、長期休みになったので、早速Sクラスの友人達と旅行へ出発するのだが、まぁ当初の予定通りに自分とユーリアはエルフの里経由になる。


ジェフリーを中心に、ダキニとシーラは馬車で向かうことになっている。

流石に、魔術学園内では比較的自由に動けていたジェフリーでも、第一王子の長男としての立場では、王国内とはいえ王都の外へ出るのに自由にとはいかなかった。

ジェフリーの専属メイドのアナベラさんは勿論、護衛として10人程度の騎士も同行することになった。

というか、現地には既にも護衛が先行して配備されているということだ。


これだけの人数を俺の転移で運んでも良いのだが、ナスカやエルフの里に比べれば王都から近い方で3日も馬車に揺られれば着いてしまうので、馬車での移動になった。


「それで、この宝石を持っていれば良いんだね」


ジェフリーには、ある物を渡しておいた。


「それが、俺の従魔兼執事のコアの複製な。

どんなに遠くても目印になるから、後で合流する時にスムーズにそっちに行けるようになる。

それに、コアと俺のスキルが一部同調するようになっていて、コアに頼めば俺のアイテムボックスから許可をした物は出すことが出来るから、道中も結構良い食事が楽しめると思うぞ」


「いやぁ、助かるよ。

一応、アイテムボックスが付与された魔道具もあるんだけど、それでも容量の問題で、移動中の食事は簡易な物になってしまうからな。

飲食物は護衛の分も貰って良いんだよな」


「勿論、大丈夫だぞ。俺の世界の飲食物はいくらでも補給出来るから、好きなだけ配ってあげてくれ。

あと、コアを通せば、俺に連絡も出来るから、何かあれば連絡してくれ」


『ジェフリーよ。よろしく頼む』


「脳内に声が響くって、なんか変な感じだな。

こちらこそ、道中よろしく頼むよ」


ジェフリーと必要なやり取りをしていると、準備万端の状態のダキニとシーラが現れた。


「ジェフリー、アキト、おはようなのだ。

早く海に行くのだ!楽しみなのだ!」


ダキニは既に海への思いが強いようだが、それでも3日かかるが、大丈夫だろうか。


「お二人とも、おはようございます。

アキトさん、先日はありがとうございました。

まさか、一日であんなに稼げるとは思いませんでした」


そう、シーラとは先日、冒険者として魔物退治で稼いで来た。勿論、ダキニも一緒にだ。

今回は事前にコアに頼んで、王都周辺で素材が高く売れそうな魔物がいる場所をコアの管理している小さな魔物を使って探索をお願いしていた。

この辺も、コアが管理をする魔物の目を通した物が、コアが俺の鑑定スキルを利用すること判別が出来るようになったから出来る技法だ。

コアは元々優秀だが、俺とのスキルの共有が出来るようになって、さらに優秀になっていく。


流石に、ドラゴンみたいな魔物は王都周辺にはいなかった。まぁ、いたら王都が危険過ぎる。

それでも、オークやミノタウルスの巣が見つかった。

もしかしたら、前回シーラと一緒に魔物退治をした時に現れた、オークとミノタウルスはここから来たのかもしれない。

普通は、巣の退治なんかは複数のパーティが合同で対処するのだが、俺は勿論、獣化を制御できるようになったダキニ、大きく目立ってはいないが魔術学園のSクラスで着実に実力をつけていっているシーラ、それに俺の従魔達を全部出して対処をすることにした。

うん、圧勝でしたね。どちらかというと、ダキニがやり過ぎて素材の価値を下げないように注意を配る方が大変でした。

他にも、いくつか高値で売れる素材を持つ魔物も狩って帰還した。


ギルドで売り出した際には、1回での売却額の最高値を更新しただけでなく、ギルドの1日の買取額も更新をしてしまった。

その為、一気に現金を出してしまうと、この後の取引の対応が難しくなってしまうので、一部は俺とシーラのギルドカードに預金という形になった。

ちなみに、ダキニは冒険者登録をしておらず、隣国のレオグランド連合国からの留学生で国元からお金が送られて来ており、連合国の方針で留学生にバイトをさせないということになっているので、報酬の分配は拒否された。

バイト禁止は国が送り出した留学生に満足な支援も出来ないのかと他国に思われないようにとのプライドの様なものもあるようだ。


それでは何なので、ダキニも連れてシーラの出身の孤児院へ行って、報酬の一部を寄付をして、売却しなかった肉でバーベキューを開催した。

孤児院の子供達は、しっかりと肉に食いつきつつ、あまり見かけない獣人であるダキニに興味津々であった。

ダキニの方も、子供の扱いには慣れていたようで、子供達と一緒に遊びまくって、また遊びに来る約束もしていた。


「まぁ、あれもコアのおかげだよ。

多分、自力で探索をしていたら、あそこまでの報酬には届かなかったよ」


「それは、間違いないですね。

コアさんにも、お礼を伝えておいてください」


『だってよ、コア』


『シーラという娘。中々よく分かっている。

何かあれば、私も手助けしてやろう』


コアもお礼を言われて上機嫌だ。

まぁ、今回の道中で何かあるとは思わないけど、いざって時にコアがいるのは安心感があるな。


そんな風に、皆で話をしていたら、出発の準備が整ったようだ。


「ジェフリー様、御友人の皆様方。こちらの準備が整いました。

用意が出来ましたら、馬車にお乗りください」


アナベラさんが声をかけて来た。


「じゃあ、皆の準備も大丈夫だね。

じゃあ、アキト。僕達は先に向かっているから、ユーリアと来てくれよな」


「アキト、先に海で待っているのだ!アキトも早く来るのだ!」


「アキトさん。それではお先に行っていますね。

ユーリアさんと気をつけて来てくださいね」


3人は、そう言って豪華な馬車に乗り込んで行って、最後にアナベラさんが会釈をして乗り込んだ。

流石、王族の移動用の馬車だけあって、ブレアフル辺境伯と王都に来た時に乗った馬車よりも更に豪華だ。

一部は魔道具も使っているそうで、見た目に負けないくらい中も快適らしい。

俺も合流したら、馬車を見せて貰おう。


さて、皆が乗り込んだところで、馬車とそれを護衛する騎士が出発をした。

俺はそれを門から出ていくまで見送った。


さて、それじゃユーリアを迎えに行って、エルフの里へ行きますか。

本当はユーリアも一緒に皆を見送って、そのままエルフの里へ転移するはずだったのだけど、父親である学園長先生に呼び出しを受けて、今は学園長室にいるらしい。

どうしても、出発前に話をしておきたいことがあるとのことだ。

まぁ、娘が家に帰るとしたら、単身赴任の父親としては家族に言伝でもあるのかもしれないな。


ということで、見送りが終わった俺はユーリアを迎えに学園長室に来た。

ノックをして、学園長室に入ると中にいた学園長先生が開口一番、


「私もエルフの里へ送って欲しいのだけど良いよね」


と言い出した。


はい、長期休み編のスタートです。

何があるのかお楽しみに。

久しぶりの人達もそのうち出てくるはず・・・

俺が忘れなければwww

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