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ダキニの獣化の制御

「さっきは5分くらいしか獣化が出来なかったのは、時間制限みたいなものか?」


「そうなのだ。

あのまま、獣化を続けてしまうと、魔力欠乏になってしまうのだ。

多分、それも本能的に魔力が足りないのを分かって解除されるのだと思うのだ」


「魔力や制御以外には獣化後にデメリットみたいなのはないのか?」


「そういうのは感じないのだ。

逆に、たまに獣化しないとスッキリしない感じなのだ」


「身体的な負担は全くないか?」


「そういうのもないのだ!」


なるほど。

人族があれだけの動きをしたら、いくら身体強化をしていても負荷がかかりそうだ。

獣人族の身体能力があってこその獣化というスキルなのだろう。


「魔力が回復すれば、すぐに獣化って使える?」


「うん。というか、ここって魔力の回復が早い気がするんだけど」


「そうだね。ここはダンジョンの中でも、特に空気中の魔力の濃度が高くて、魔力の回復の早い場所になっているんだよ」


もちろん、コアに調整をさせて、そういう空間をダンジョン内に作っているのだ。

俺自身はスキルで魔力の回復が他の人よりも随分早いし、従魔達は俺との魔力的な繋がりがあり、俺の魔力が尽きない限りは俺から魔力を融通することも出来る。

そのこともあり、俺と従魔には不要なのだが、ダキニにはそうはいかない。

寮の門限もあるので、効率よくここで模擬戦が出来るように、コアにお願いをして調整をして貰ったのだ。

その結果、ダキニも実感をするくらいの回復量になっているらしい。


「それじゃ、魔力が回復したら、ジャンヌ達と順番に獣化を試していってみるか。

ジャンヌ達でも、十分にダキニの獣化を受けきれるはずだ」


「分かったのだ!皆、よろしくお願いしますのだ」


ダキニがジャンヌ達に挨拶をしている。

ジャンヌ以外は普通にスケルトンの見た目をしているのに、そういうのを気にしないのだろうな。


魔力が回復した所で、最初はジャンヌから模擬戦を始めた。


さて、俺は俺でダキニの獣化が魔術学園でも使えるように何か方法はないか考える。

要は獣化の制御が出来れば良いのだろうが、何か方法はないだろうか。

ジャンヌに対して、獣化をして迫っているダキニを鑑定もしているが、これといってヒントになりそうなのは見つからなかった。

ただ鑑定で分かったこともあった。

獣化のスキル自体の経験を重ねて使いこなしていけば、進化をしていくらしい。

その進化の先に九尾があるようだ。

ダキニの夢自体は、獣化の制御が出来れば、ダキニ次第で到達出来る可能性が出来るのだ。


『コア、何か良い方法って思い浮かばない?』


『主よ。過去に獣化を制御できていた者もいるとのことだよな』


『うん、ダキニの話だと制御して九尾に至ったのがいるらしい』 


『ならば、獣化のスキルには付属する特殊なスキルがあるのではないだろうか?』


『特殊なスキル?でも、それだったら獣化のスキルが使えるようになったら、一緒に覚えるんじゃない?』


『本当は、獣化のスキルに目覚めた後に、種族に伝わる訓練法で制御を出来るようなスキルを目覚めさせていたとか。

ただ、種族に1人いれば良いとのこと、何処かで獣化の出来る者がいない時期が出来て、その方法が失われてしまったとか』


『確かにあり得るかもしれない。

それじゃ、ジャンヌとの模擬戦が終わったら、スキル創造でダキニの取得できるスキルを確認してみようか』


『主よ。試して欲しいのだが、今の状態でスキル創造が出来ないか?』


『ちょっと待ってよ。あれ、確かにタブレットのスキル創造に、ダキニの項目が出来ている。

今までは、直接触れていないとこの項目が出なかったのに』


『やはりか。最近、主とずっと繋がっているおかげか、主のスキルにも干渉をしている実感があった。

多分、ダンジョン内は私の身体同然だから、私を通して対象者と接触をしているという形になっているのだろう』


『もしかしたら、そのうちにコアが俺のスキルを使えるようになるかもしれないな。

その辺はおいおい、確認をしていくとして、今はダキニの項目をチェック』


ダキニのスキルを確認していく。

今すぐに取得できるもの、できないもの、取得済みとなっているが、獣化の制御に役立ちそうなものがあるかな。

精神統一みたいな精神系に関するスキルもあるが、ダキニがあまり得意じゃないのか、取得に必要な魔力量がかなり大きくて、今は足りないな。


そんな中で、極端に取得に必要な魔力量が少ないスキルを見つけた。

明鏡止水。確か落ち着いた心境みたいな意味だったはずだけど、この世界のスキルではどうなっているのか。詳細を確認してみると、


――――――――――

明鏡止水

どんな場合でも落ち着いた心境を維持できる。

注意:スキル獣化を使用時に野生を抑えて使用者の意思で獣化を制御できるようになる

――――――――――


うん、これは完璧に対獣化用のスキルだわ。

一応、獣化スキルを持っていなくても効果があるようだけど、精神耐性とかの方が効果ありそうで、明鏡止水は微々たるものだろう。


『コア、獣化用のスキルが見つかったよ。

でも、このスキルを俺のスキル創造でダキニに与えてしまって良いのかな?』


『主よ。何を迷っているのだ?』


『本当はこれをダキニが自力で取得方法を見つけて、それをダキニが自分の種族に伝えていかないといけないのではないかな?』


『ならば、直接本人に確認をしてみたら、どうだろうか?』


『そうだね。ちょうどスケルトン3人とも模擬戦が終わったみたいだな』


俺がコアと相談をしながら、ダキニのスキルを確認していたら、ジャンヌ達との模擬戦が一巡終わったようだ。


「ダキニ、お疲れ様。ちょっと良いかな?」


「ん?何なのだ?」


ダキニも獣化での模擬戦を何度もできて、だいぶ楽しめたようだ。


「ちょっと、俺のスキルでダキニの獣化を調べていたんだけど、獣化を制御出来るであろうスキルが見つかって、俺ならばそれをダキニに与えることが出来るんだ」


「本当なのか?それなら、すぐにでもそのスキルが欲しいのだ!」


「でも、これって本当はダキニ自身がちゃんとした取得方法を見つけて、それを種族に伝えていった方が良いかと思ったのだが、どうする?」


ダキニは嬉しそうな顔から一転考え込んだ。


「アキト。やっぱり、今そのスキルが欲しいのだ。

例えばだけど、私が取得方法を見つけても、次に獣化を身に着けた狐系獣人まで伝わるか不明なのだ。

それは、私が一番実感しているのだ。

それに、スキルを取得したからといって、取得方法が見つからないと限らないのだ。

私は私の夢の為に、獣化のスキルを制御したいのだ。

アキト。どうかお願いしますのだ」


ダキニはそう言って、俺に頭を下げてきた。


「分かったよ。だから、頭を上げて。

別にダキニが欲しければ、普通にスキルを与えようと思っていたしさ。

ほら、これでもうスキルをゲットしたはずだから」


「これで、スキルをゲットできたのか?あんまり、実感がないのだ」


「魔力が回復しているなら、獣化を試してみてよ。多分、制御できているはずだから」


「分かったのだ」


すると、ダキニは獣化を始めた。

見た目には、特に変わった様子はない。

ただ、念の為、ダキニが襲って来ても大丈夫なように構えだけはしておく。


「どうだ、ダキニ。無事に制御できているか?」


すると、ダキニが急にジャンプを始めた。

一瞬、制御できていないのかと思ったが、どうやらその場で飛び跳ねているだけのようだ。

それでも、獣化をしているので、結構な高さで飛び跳ねている。


「やったのだ!アキト。

獣化を自分の意思で制御できているのだ。アキトのおかげなのだ!」


そうして、ダキニが俺に抱きついてきた。

おぅ、あまり見た目に見えないが結構なお胸で。

しかも、獣化で全身が毛に覆われているので、モフモフ具合が半端ない。

ただ、それを楽しめたのは一瞬のこと。

獣化状態でめっちゃ力強く抱きしめられているので、俺の身体が悲鳴をあげている。

うん、ダキニ良かったね。もう気持ちは十分伝わったから、俺を開放してくれ。


え、そのスキル名は、まんまパクリ過ぎだろ?

いえいえ、そんな滅相もない。

オマージュですよ。オマージュ。

大好きだからこそ、オマージュしたくなる。

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