シーラと魔物退治
「なら、俺も一緒に魔物討伐にいこうか?俺もこれでも冒険者だからさ」
そう言いながら、ギルドカードを見せた。
シーラのことを一瞬でも金遣いの荒そうって思ってしまった罪滅ぼしも兼ねている。
「うわぁ、凄い。Bランクなのですね。アキトさんの年齢でBランクって珍しいですよね。
でも、アキトさんの魔術学園での実力を考えたら、Aランクでも間違いないかもしれませんね」
あぁ、うん。王都の冒険者ギルドで模擬戦をして実力を確認できれば、Aランクになれるのだけど、今ここで言うこともない。
「是非、お願いします。
アキトさんと一緒なら素材が高額の魔物に挑戦できるかもしれません。
私も足を引っ張らないように頑張ります」
シーラは、可愛い感じに気合を入れていた。
「それじゃ、準備が出来ているなら、早速行こうか」
「はい!」
こうして、シーラと急造のコンビで王都周辺での魔物退治に行くことになった。
王都から出て、少し離れたところで、ちょっと立ち止まった。
「アキトさん、どうされましたか?忘れ物でもありましたか?」
シーラが心配そうに聞いてくる。
「あぁ、忘れ物っていうか、ちょっと王都を出たらしないと、心配するやつがいるんで」
シーラはキョトンとしているが、まぁ見てもらえば分かるだろ。
「”召喚”」
すると、ジャンヌが現れた。
「主よ。もう少し召喚してくれるのが遅かったら、無理矢理出てくるところでしたよ」
うん、召喚した早々に苦情を言われた。
いや、従魔が自分から出てくるって聞いたことないけど、ジャンヌならばやりかねない。
まぁ、だからこそ、こうやってちゃんと王都の外に出たら、召喚をしているのだが。
「あ、この人って近接戦闘の授業の時にいらした女性ですよね。
確か、アキトさんの従魔で、すいません、お名前は多分お伺いしていませんでした」
「そういえば、近接戦闘の授業ではちゃんと紹介してなかったかもしれないな。
俺の従魔でジャンヌって言うんだ」
「シーラ様。主の従魔でジャンヌと申します。主共々、よろしくお願いします」
「あ、そうなのですか。こちらこそ、よろしくお願いします。
で、でも、よく考えたら、どうして従魔とこんなに言葉が通じるのですか?
上位の龍種とか、神獣等の本当に一部の種類しか言葉が通じる魔物はいないと言われていますが、見た目はどう見ても人族にしか見えません」
うん、シーラも気になっているだろうから、ジャンヌのことをざっくりと説明した。
その際に、実際に魔道具のネックレスを外して、スケルトンの姿を見せてみた。
「本当にスケルトンなのですね。
確かに一部の高位のリッチも魂を定着させていると言われていますが、スケルトンでそんなことがあるとは聞いたことがありません。
しかも、私も魔術の才能が分かった後に教会のアンデット退治に付き添ったこともありますが、アンデットの嫌な感じを全く感じません。
そういえば、近接戦闘の授業に付いていくのに精一杯であの時は何も考えられませんでしたけど、アキトさんの従魔のスケルトン達も嫌な感じをしませんでしたね」
「うーむ、俺も詳しいことはわからないけど、ジャンヌ達って生者に対して恨みみたいな感情がないからじゃないかな。
他のアンデットってそういう恨みで発生するけど、ジャンヌ達は違うからね」
一応、ジャンヌ達の主になった時から、アンデットに関することも調べていた。
どうにも、この世界のアンデットは死者が生者に対して恨みとかそういう、負の感情が強いとアンデットになるらしい。
しかし、ジャンヌ達はそういう負の感情ではなく、自分たちの技術を後世に残したいとの思いとコアのダンジョンコアとしての能力が重なって作り出されたアンデット、スケルトンなので、元々の発生がそこら辺のアンデットとは違うのだ。
「それはあるかもしれませんね。
でも、ジャンヌさん達は非常に珍しいアンデットです。
もし、教会に知られたら、研究素材として供与を強制されるかもしれませんよ。
教会は対アンデットに関しては、他に追随を許さないほど研究熱心ですから。
断ったら、教会本部の十字軍や聖騎士隊まで襲って来るかもしれません」
「うん、まぁそうなったら、全力で抗うだけさ。
別にコソコソするつもりはないけど、おおっぴらにもする気もない。
自由にしたいだけだからね。
その上で、俺からジャンヌ達を、何かを奪おうって言うなら、全力を持って対処するだけさ」
「あ、アキトさん。大丈夫です。私は絶対に教会の人間には知られないようにしますから、ちょっとその魔力を抑えてください。
少し殺気も混じっているようで辛いです」
おっと、どうにも自然と殺気込みの魔力が溢れ出てしまったみたいだ。
ジャンヌ達は大事な師匠だし、コアはいつも助けてくれる大切な執事みたいなもの。
この世界で新たな身体と特盛のスキルは与えられたが、前世のものは何も持たずに来たから、俺自身が異世界で出会った皆を大切にする気持ちが強くなっているみたいだな。
「でも、もしシーラが喋らなければいけない状況になったら、全然話をしてしまって良いからね。
その上で、シーラも救いつつ、全部にあらがってやるから。
シーラも大事な友人だからさ」
シーラを始め、Sクラスの級友達は皆大事な友人だし、ナスカやブレアフルでも大切な人が出来た。
俺はこの特盛のスキルで自由に生きるつもりだが、それで大切な人が傷つくのは嫌だから、何が来ても跳ね返してやる。
「わ、私だって皆さんのことを大切な友人だと思っていますから。
理不尽なことには屈しないだけの実力を魔術学園で身につけますよ」
「まぁ、こんな所で話をしていて、魔物退治の時間がなくなるだろうから早く行こう」
ジャンヌを連れて、王都周辺での魔物退治に向かうのだった。
「あの、アキトさん。流石に半日でこれだけの魔物を退治するって普通じゃないかと。
しかも、アキトさん、アイテムボックス持ちだから、お金になりそうな素材は全て回収したので、素材の売却価格も凄いことになっていましたよ。
私が1ヶ月、冒険者業に専念しても、これの半分の金額も稼げませんよ。」
そんな風にシーラに言われてしまった。
俺たちは無事に王都周辺で魔物退治をこなして、王都の冒険者ギルドに帰って来た。
常設の討伐依頼のある魔物もずいぶんと片付けることが出来たが、それよりも良い素材を持つ魔物をたくさん退治することが出来た。
普通はそんなに素材になる魔物が現れても、冒険者が一度に持って帰ることが出来る素材の量なんて限られてしまうだろうが、そこは俺がアイテムボックス持ち。
片っ端から魔物を退治して、その素材をドンドンアイテムボックスにしまっていった。
オークやミノタウルスの様な、肉が食品として買い取って貰える物もアイテムボックスのおかげで、全く劣化をなしで運べる。
王都は人口が非常に多いので、肉なんかはいつでも安定した値段で買い取って貰える。
しかも、通常はその劣化の速さで普通に運んだ所で食べることが難しい、内蔵までも運べてしまう。
この辺は、珍味で王都の貴族が欲しがるので、かなりの高値で買い取って貰えた。
「あの、本当に報酬を半分ずつでいいのですか?
多くの魔物がアキトさんやジャンヌさんが退治をしていて、しかもアキトさんのアイテムボックスが無ければ、ここまでの金額にはならないはずです」
「シーラだって、しっかりと魔物退治していたじゃないか。
俺は正直、そんなに金が必要な状況でもないから、逆に報酬全部シーラが持っていっても良いぞ」
「私の取り分が多すぎるって話をしているのに、どうしてそんな話になってしまうのですか?
分かりました。今回は半分ずつで良いです。
今度一緒に行った時は、私ももっと活躍してみせます」
シーラって案外負けず嫌いなのかもしれないな。
まぁ、魔術学園でSクラスをやっていくには、それくらいじゃないと無理か。
えっと、タイトルに魔物退治とあるのに、その魔物退治の部分はガッツリカットですw
これもタイトル詐欺なんだろうなw




