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アキト先生の模擬戦 その2

さて、近接戦闘の授業を受ける生徒達の半分を俺が模擬戦を担当することになったのだが、皆遠巻きに俺を見ているだけで誰も模擬戦をしようとしない。

というか、怯えた様な顔をして俺を見ているぞ。

いやぁ、流石にゲロまみれの筋肉だるまの惨劇を見たあとでは、怖くて模擬戦が出来ないのかもしれない。

俺が指導をすることに不満そうな顔をしていた、筋肉だるまの取り巻き連中なんて、自分も同じ状況に間違いなくされると思い込んでるようで、掃除が終わったあと全員がレオナさんに直談判をして、レオナさん側で模擬戦をするようだ。

仕方ない、ここは一人一人指名をして模擬戦をしていくか。


「はぁ、アキト。あの惨状じゃを見た後じゃ、誰も最初の1人になろうとしないから、僕がその最初になるよ」


そう言って、前に出てきたのは、王子様であるジェフリーだ。


「おぉ、ジェフリー助かるよ。このままじゃ誰も模擬戦に参加しようとしてくれないから、強制的に指名をして1人ずつしばいていくしかないかなって思っていたところだ」


「いや、流石に僕もあのゲロまみれにはなりたくないのだけど・・・」


「冗談だよ。冗談。

ちゃんとレイナさんから寸止めにするように言われているから、任せてくれよ」


「はぁ、本当に頼むよ。それじゃ、僕から模擬戦を頼むよ」


ジェフリーが模擬刀を俺の正面で構えた。

体内の魔力をしっかりと練って身体強化をしているのだろう。


「ジェフリー、本気で来い。俺を倒すつもりで大丈夫だから」


ジェフリーは頷いて、一気に俺に迫って来た。

先ほどの筋肉だるまよりも早いな。しっかりと足に魔力を集中させているからだ。

そして、その速度のまま俺に模擬刀を叩きつけて来る。

勿論、俺も自分の模擬刀でジェフリーの模擬刀を受けるが重い。

まるで、鉄製の剣を受けたときの様な重さがある。

こっちもあの筋肉だるまとは威力が段違いだ。

速度をそのまま模擬刀にのせたのは勿論、俺に剣を振り下ろす瞬間に腕に魔力を集中させて身体強化をしたのだろう。

魔力量が非常に多く、全身に魔力を全身に巡らせて際限なく魔力を使えば同じように出来なくもないが、ジェフリーの最大魔力量は予測が出来ているので、間違いなく上手く分散と集中が出来ているな。

うん、流石にSクラスになっているだけのことはある。


速度をのせた一撃を俺に簡単に受けられたジェフリーは、その場でさらに一撃を加えるでもなく、そのままもう一度、足に魔力を集めて離れていった。

そうして、模擬戦を開始したときと同じくらいの距離で離れて、また模擬刀を構える。

さて、ジェフリーはどうするんだろうな。

今と同じやり方じゃ俺に一撃を加えるのは不可能だと分かったはずだ。

何か他に作戦があるんだろうか。


そう思ったら、またさっきと同じような速さで、ジェフリーが俺に迫ってきた。

ジェフリー、それじゃさっきと変わらないぞ。

俺のミス待ち狙いなのか。舐めているのか。


ジェフリーが俺に近づき、先ほどと変わらない感じで模擬刀を振って来た。

俺はそれを受けるが、さっきの一撃とは威力が違った。


強いんじゃない、軽すぎるんだ。これは、フェイントだ。

あえて、身体強化をした速さを一撃にのせるのではなく、フェイントに使ったわけだ。


ジェフリーは素早く模擬刀を引いて、俺の脇腹めがけて模擬刀を振ってくる。

俺はさっきと同じような重い一撃が来ると思って構えていたので、模擬刀で受けるのでは間に合わない。


ジェフリーの模擬刀が俺の脇腹に当たる瞬間。

俺は無理矢理下ろした左腕で、その模擬刀を受けた。

くっ、結構痛いぞ。俺も左腕に一気に魔力を注いで身体強化で防御力を上げたはずなのに、かなり痛いぞ。

これは、ジェフリーは武器強化まで出来ているな。


左腕で受けた模擬刀を、そのまま左腕で払ったら、ジェフリーはまたもや距離を取ってしまった。


「はぁ、このフィントからの一撃は自信があったんだけどな。

しかも、しっかりと武器強化まで出来ていたはずなのに、左腕一本で受けられて、その腕でさえ無傷じゃないか」


「結構、痛かったんだぞ。それにやっぱり武器強化まで出来ていたんだな。

良いじゃないか、ジェフリーもっと来い。いくらでも相手をしてやるから」


「それでこそ、アキトだ。じゃあ行くよ」


こうして、ジェフリーとの模擬戦が続いた。




「アキト殿。ストップです。ストップ」


ジェフリーと模擬戦をしていたら、レイナさんからストップがかかった。

ジェフリーの腕がちょっとずつ上がって来て良いところだったのになぁ。


「アキト殿がSクラスで同じのジェフリー殿下と仲が良いのは構わないのですが、これは授業なので他の生徒にも、しっかりと模擬戦をして頂かないと困るのですが」


あ、しまった。ジェフリーとの模擬戦が思った以上に楽しくて、他の生徒をほったらかしになってしていた。

さっき、他の生徒をゲロまみれにした俺と、王子様であるジェフリーの模擬戦ということで、生徒では誰も止めることが出来ずに、レイナさんを呼んで来たようだ。


「はぁ、残り時間じゃ、全員の模擬戦をするのは難しいでしょうけど、出来る限りの生徒の模擬戦をしてあげてください」


そうである、授業の時間が決まっているのに、それを忘れてジェフリーとの模擬戦を楽しんで時間を使っていた。

しかし、せっかく授業の時間なのに、1回も模擬戦が出来ないのは申し訳ないな。

俺が一度に2人や3人を相手にしても良いのだけど、ジェフリーレベルが混じっていたら、手加減を間違えて、筋肉だるま君の二の舞にしてしまいそうなのが怖いな。


「レイナさん。せっかくの授業で模擬戦が出来ないのは申し訳ないので、俺の師匠達をここに出してもいいですか?

師匠達ならしっかりと模擬戦の相手が出来ますから」


「そりゃ、アキト殿を育てた程の方なら信用が出来ますけど、そんなにすぐに呼べるのですか?

確か、アキト殿はナスカのご出身だとか、ナスカからここまでどれだけあると思っているのですか」


あら、よく調べていらっしゃる。

まぁ、臨時でも授業を手伝わせようとするなら、その辺は調べておくか。


「あぁ、ナスカにも師匠と呼べる人がいますけど、そっちじゃないんですよね。

口で説明するよりも、ここに出してしまった方が早いので。

”召喚”」


ここで呼び出すのは、勿論ジャンヌと3体のスケルトン。


「自分の従魔なのですが、ジャンヌと、スケルトン達はガウェイン、ランスロット、トリスタンと言います。

ジャンヌは勿論、スケルトン達も全員が近接戦闘の師匠でその実力と指導力は間違いありませんよ」


俺がそうやって、説明をするがレイナさんは驚いた顔をしていた。


「え、その女性って間違いなく人族の女性ですよね。それが従魔なのですか。いったい何の魔物なのですか?

それにスケルトンが師匠・・・。スケルトンに指導をさせても良いのでしょうか?」


あぁ、レイナさんが混乱をしてしまった。

一個ずつ説明をしても良いが、それだけで授業が終わってしまいそうだ。

それじゃ本末転倒だよな。どうしたものか。


「レイナ君。良いじゃないか。アキト君の従魔の皆さんに手伝って頂いたら」


そうやって声をかけて来たのは、この魔術学園の学園長をしているユリウスさんだ。

しかし、学園長をやっているはずなのに、精霊魔術の授業を担当したり、急にこんな場所に現れたり、実は学園長って暇なのか?


「アキト君。そんな暇人を見るような目で見ないでください。

流石に私が推薦をした手前、忙しい時間を割いて、アキト君がどんな感じで指導するか見学をしていたのですよ」


あぁ、そういうことですか。


「でも、学園長先生。本当によろしいのでしょうか」


「えぇ、彼らは間違いなくアキト君が召喚をした従魔なのでしょう。

少なくとも、アキト君の言うことは聞くでしょうし、アキト君ほどの人物を育てた師匠ならば、その経験は生徒の皆さんにも良い影響を与えるでしょう。

大丈夫です。私の権限で許可をします」


ということで、学園長の許可も得たのでジャンヌ達にも模擬戦をすることになった。

最初はスケルトンが相手で、生徒がビビっていたが、ジャンヌが仕切って活を入れたら、しっかりと模擬戦に取り組むようになった。

流石は当時ナスカのブレアフル家の道場で道場主をしていただけのことはある。


やっぱり、戦闘シーンが苦手。

アキトとジェフリーの戦闘シーン、ちゃんとイメージ出来たでしょうか。

精進します。

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