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精霊召喚

「召喚した精霊も精霊魔術と同じように魔力を与えれば、魔術を使用します。

しかも、意思を持っている中位・高位精霊なので、いちいち事細かにイメージして伝えていた通常の精霊魔術と違って、ある程度大雑把に伝えれば精霊自身が考えて行動をしてくれます。

そもそも、精霊との契約自体がその精霊と友好的な関係がないと契約までいけないので、召喚主の希望に沿った行動をしてくれるでしょう。」


ユリウス先生の話は、精霊魔術からその発展型の精霊召喚に移っていた。


「この、精霊召喚の難しいところは、そもそも中位・高位の精霊に会って契約する必要があるところです。

低位精霊に比べて、中位精霊は非常に数が少なく、高位の精霊ともなるとその属性の根源的な意味合いを持つので、世界中で属性ごとに1柱ずつしかいません。

しかも、精霊は目にすることが出来ない存在です。

その精霊を知覚して契約までこぎつけることは非常に大変なことです。

極一部の精霊魔術の使い手の中に、精霊眼という精霊を見ることが出来るスキルが発生しますが、それも本当に少ない数です。」


そもそも、中位・高位の精霊に出会えることが奇跡みたいなものなのか。


「そして、そんなやっとの思いで精霊と契約出来て、精霊召喚を使えるようになったとしても、今度はその精霊召喚自体が大変なのです。

それは、精霊を召喚している間はどんどん魔力を消費されるからです。

その上で、通常の精霊魔術と同じように魔術を使う度に召喚主の魔力が消費されます。

中位・上位の精霊というのは、その精霊が存在を維持できる場所にいて、そこの魔力で生きています。

そこから、精霊召喚で連れ出しているので、召喚中は常に魔力を吸って維持するしかないのです。

精霊を呼ぶ場所が、その精霊に合っていれば多少は必要な魔力が減衰しますが、全く不要なのは、元々その精霊がいた場所くらいです。

つまり、魔力量が相当に多くないと厳しいと言わざるを得ません。」


俺ならば、魔力回復極大があるので召喚しても、その分でまかなえるかもしれない。

もし、今はまかなえなくても、最大魔力量を増やせば魔力回復極大の効果も高くなっていくので、頑張れば何とかなるだろう。


「それだけ、苦労の多い精霊召喚ですが、その苦労に見合った力を得られます。

精霊召喚は中位・上位の精霊に魔力を与えて魔術を使うので、低位の精霊よりも威力が段違いに上がりますし、その精度も精霊自身が考えてやってくれるので、非常に上がります。

特に上位の精霊は、その属性の根源的な意味合いを持つとも言いましたが、それだけ隔絶した力を持っているので、仮に契約を出来たとしても注意して欲しいです。

それと、先ほど精霊魔術はその時にいる場所に寄って威力が左右されてしまうと説明をしましたが、精霊召喚では直接精霊を自分の魔力で呼んでいるので、威力が左右されてしまうことはありません」


精霊魔術の欠点を補う形でもあるんだな。


「さらに、精霊召喚の奥義とでも言われるものに、精霊憑依があります。

これは精霊と心を一つにして、精霊と自身が一体化することで、自身の能力を飛躍的に向上させることが出来ます。

それは、身体強化のような現象は勿論、その属性の魔術ならば威力等も格段に上がります。

属性魔術に精霊魔術をのせると相乗効果で強くなると言いましたが、それのより強力なバージョンと考えても良いかもしれません。

ただ、精霊召喚は魔力が尽きてしまえば召喚が解けて精霊がいなくなってしまうだけで済みますが、精霊憑依は一種のトランス状態に近くなり目的を達成する為に自分の魔力を全て使い切って、その上で生命力まで使ってしまい命を失う可能性まであります。

本当に歴史上で確認されているだけでも、精霊憑依にまで辿り着いた者は数えるほどしかいません。

もし、皆さんの中で仮にそこまで辿り着いたとしたら、使うなとは言いません。

しっかりと訓練を重ねて使いこなして頂いて欲しいと思っています」


これは良いな。

是非とも精霊召喚からの精霊憑依を使ってみたい。

これは、世界を旅する目的に中位や高位の精霊を探すっていうのを入れてみようかな。


「さて、まぁここまで精霊召喚と精霊憑依の説明をしましたが、実際に皆さんが在学中に中位や高位の精霊を見つけることは少ないと思います。

なので、この授業では精霊魔術に関して勉強をしていきたいと思います」


こんな感じで、精霊魔術の授業が進んでいった。




精霊魔術の授業が終わり、一緒に授業を受けていたユーリアとダキニとお茶をしている。


「アキトさん。どうでしたか、精霊魔術の授業は。お誘いした手前、気になってしまいまして」


「いや、結構面白かったよ。ユーリアが誘ってくれて良かったよ。

特に精霊憑依が使ってみたいと思ったかな」


「アキトさんの魔力量があれば、間違いなく精霊憑依まで使いこなせるのではないでしょうか?」


「うーむ、どうだろうね。まぁ、実際に中位・高位の精霊と契約が出来ないと精霊召喚も精霊憑依も出来ないから、それを探し出すところからだよな」


「そうですね。一応、中位の精霊がいる場所なら知っていますよ」


「え、そうなの?」


こんな近くに中位精霊の居場所を知っている人がいるとは。


「えぇ、実は私が住んでいた、エルフの里が木の中位精霊がいる場所となっています。

どちらかといえば、木の中位精霊がいらっしゃるからエルフが集まって里となっていったと言われていますね。

木の精霊の多い場所は自然豊かな森となっていきますし、逆に森が豊かだと木の精霊も集まって来ます。

その豊かな森の恵みを求めて、私達エルフの先祖も集まって来たようです」


鶏が先か卵が先かって理論みたいだな。


「ただ、アキトさんには残念ながら、既にエルフの里にいる木の中位精霊は既に契約済みなんです。

精霊の契約は1柱に付き1人しか出来ないと言われていますから。

しかも、その契約者がうちの父なんですよ」


なんと、エルフの里の木の中位精霊の契約者が、さっきまで授業をおこなっていたエリウス先生らしい。


「代々、エルフの里で最も優秀なエルフが森の守り神のような木の中位精霊と契約に挑戦をすることになっています。

もし、その者が契約できれば次点の者がとなりますが、父は娘の目から見ても能力が高いですからね。一発で契約を結んでしまったようです。

精霊魔術の授業を担当している理由も、精霊召喚まで使えるからでしょう。

多分、精霊魔術の実技の授業で精霊召喚を見せるのではないですか?」


あぁ、だから今日の授業では勿体ぶって内緒にして、実技の授業で驚かせようとでも思っているんだろうな。


「あぁ!そういう感じならば、レオグランド連合国のダキニがいた集落には風の中位精霊がいるのだ」


おいおい、中位精霊って、なかなか見つからないって話じゃなかったのか?

俺の友人の中で、既に2人も見つけているじゃないか。


「でも、ユーリアのエルフの里と同じで、既に契約者がいるのだ。

やっぱり、集落の一番の実力者が契約者で、その人に私も魔術を教わったのだ」


こちらも同じく、既に契約をしてしまっているのか。

そう簡単にはいかないか。


「そうですね。ダキニさんの集落も私がいたエルフの里もですが、既に世に知られている中位の精霊は、その地域の人と契約をしてしまうパターンが多いと思います。

そういう意味で、新たに契約を結びたいならば、誰にも知られていない精霊を見つけ出すしかないかもしれませんね」


ユーリアの言うとおりなんだろうな。

よし、やはり旅の目的は精霊を探すことから始めてみよう。


さて、始めてアキト君に明確な目標の様なのが出来ました。

あ、精霊憑依はまんま拝借をしていますが、他に表現が無かったので許して欲しいな。

その作品ではこっちじゃなくて、別の読み方をメインで使っていますし・・・

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