精霊魔術
今日は、ユーリアに誘われて受けることにした精霊魔術の授業がある日だ。
教室内には、エルフやドワーフが多く、それと少数の獣人がおり、人族は俺だけのようだ。
勿論、俺を誘ったユーリアも隣にいるし、反対側にはダキニもいる。
Sクラスでもジェフリーとシーラは、人族なのでこの授業は受けないようだ。
いや、若干場違い感があるし、本当に俺が受けても意味があるのだろうか。
ユーリアに説得されて、俺の魔力量があれば精霊魔術を使えるようになるとは言われた。
そりゃ、俺にはスキル創造があるので、どんなスキルでも必要な魔力量が足りていれば、スキルとしては取得出来るのだが、この精霊魔術のスキルを取得するのに必要な魔力量がべらぼうに高い。
最近まで特に気にして見ていなかったが、属性魔術を使えるようになってからは少し減ってはいるが、それでもまだまだ高い。
人族が取得をしにくいスキルなので、スキル創造でも必要な魔力量が高いのも仕方がないか。
さて、教室でそんなことを考えながら待っていると、1人のエルフの男性が入って来た。
「おまたせしました。私がこの授業を担当することになっているユリウス・ルサールカです。よろしくお願いします。
ちなみに、この魔術学園の学園長もしています」
なんと、学園長のユリウス先生がこの授業を担当するらしい。
学園長なのに忙しいのではないか?
「どうして、学園長なのに授業を担当するかと思う人もいるでしょう。
それには、一応ちゃんとした理由があるのですが、それはそのうちにお伝えしましょう」
なんだよ。勿体ぶらずに、今教えてくれれば良いのに。
「さて、早速ですが精霊魔術の説明をしていきましょう。
精霊魔術。そもそも精霊とは何か。
この世界には精霊と呼ばれる、それぞれの属性を持った存在がいるのです。
人の目には通常は見えず、その属性に合った地域を好み集まっているとも言われる。
それらの精霊のほとんどは意思を持たず、ただ世界中をフラフラとしているだけ。
しかし、それらの精霊のえさとなる魔力を与えると、代わりにその属性に合った現象を起こすことが出来る。
火の精霊なら火を起こし、水の精霊ならば水を出すように。
これが精霊魔術の基本となります。
それはあたかも、自身の魔力に属性を持たせるようにする属性魔術に似ているようなものです。
自分では属性魔術の使い手だと思っていて、よくよく調べてみると精霊魔術を使っていたなんていう者も、たまにいるのですよ」
へぇ、じゃあ属性魔術が使えているならば、精霊魔術が使えなくても問題ないのではないか?
今聞いた限りだと、属性魔術も精霊魔術も似たようなものだよな。
「さて、この話をすると属性魔術さえ使えれば、精霊魔術は要らないと思う人もいるでしょう。」
うん、まさに俺のことだ。
「しかし、属性魔術が使える者が精霊魔術を使えるようになれば、その威力を強めることが出来るのです。
自分が使う属性魔術と同じ属性の精霊に精霊魔術を同時に使わせることで、その威力を増すことが出来ます。
勿論、自身が使う属性魔術に必要な魔力と、精霊に与える魔力を同時に必要になるので、それ相応に必要な魔力はかかりますが、同じくらいの魔力を使って属性魔術を強化するよりも、属性魔術と精霊魔術の相乗効果でより強い魔術を放つことが出来ます」
へぇ、属性魔術と精霊魔術で効果を高めることが出来るのか。
それが出来るなら、確かに覚えてみたくはなるな。
「さて、そんな精霊魔術にも欠点はあります。
まず、その自分のいる場所によって、効果が変わるということです。
精霊にも好みの場所があります。
例えば、カラカラの砂漠にはやはり水の精霊が少ないので、どうしても効果は下がります。
逆に湖や海のように、水が多い場所では水の精霊も多くいて、効果が高まります。
そのように、どうしても場所によって効果に差が出てしまうのが、精霊魔術です。
自分の魔力をさえあればいくらでも属性を作り出すことが可能な、属性魔術とは安定性の面でどうしても劣ってしまいます。
そしてもう一つ、それは精霊に餌となる魔力を何も考えずに与えるだけでは、希望した魔術を発生させることが出来ないということです。
属性魔術では例えばアロー系の矢の形で魔術を放つには、自身がそれをイメージして、明確なイメージ力があれば作り出すことが出来ます。
しかし、先ほども説明しましたが、ほとんどの精霊は意思を持っていません。
この意志を持たない精霊に矢の形で魔術を発動させるには、与える魔力に自分の考えたイメージをのせて伝えなくてはなりません。
実は、このイメージを魔力にのせて精霊に伝えるのが人族は苦手とされて、それが原因で人族は精霊魔術が使えないと言われているのです。」
そうだよな。
どんなに属性魔術と併用すると効果が増すと言われても、実際に人族に使えなければ全く意味ないよな。
「しかし、人族でも精霊魔術が使えるものは実際にいます。
現状では、人族だけがどうして、イメージを精霊に伝えるのが苦手なのか判明はされていませんが、苦手とされているだけで、伝えられないわけではないのです。
人族だからといって、精霊魔術を諦める必要はないと思いますので、もし皆さんの友人の中で本当は精霊魔術を使いたいけど人族には無理だからと諦めている人族がいれば、次回以降の授業からでも歓迎しますので、是非お誘いください。
確かにキツイですし、どんなに頑張っても使えない人も出て来るでしょうが、私も可能な限り教えてあげたいと思います」
うん、俺もジェフリーやシーラを誘ってみようかな。
2人が精霊魔術を使いたいかはわからないけど、もし使いたいと思っていたなら勿体ないしな。
最悪、俺が最大魔力量をあげまくって、スキル創造でスキルを与えるって荒業もいざと慣ればできるし。
「ただ、一つ気をつけて頂きたいことがあります。
これは人族以外にも言えますが、精霊に魔術を発動させるのにイメージを魔力にのせて伝える時に、一定量の魔力では明確なイメージを伝えきれずに、より多くの魔力を精霊に与えることで、明確なイメージを伝えようとする人がいます。
すると、精霊が与えられた魔力量に合った魔術を発動させるので、必要以上に強大な精霊魔術となってしまうことがあり、結果コントロールが効かない精霊魔術になってしまいます。
それを人族の精霊魔術の使い手が、なかなかイメージを伝わらないからとやってしまうことが多いので、よく精霊魔術を実際に使う際は注意をしてください」
あ、はい。
ユリウス先生が、ガッツリ俺を見ながら説明をした。
まぁ、学園長なら入学試験の際にやらかしたことも、属性魔術の時に青い炎で大騒ぎになったことも知っているのだろうけど。
俺だって、別に好きでやらかしたり騒ぎを起こしたりしているんじゃないけどな。
でも、うん、俺も怖いからユリウス先生の言うとおりに、精霊魔術の練習には注意をしましょう。
「さて、ここまでが精霊魔術の基本となります。
ここからは応用というか、発展型になります。
正直、これを使えるのは皆さんの中で一握りの人しかいないかもしれませんが、しっかりと聞いてください。
精霊のほとんど世界中を、ただフラフラしているだけの意思を持たない存在と言いましたが、中には意思を持っているものがいます。
意思を持たない精霊を低位精霊とし、意思をもって存在する精霊を中位精霊。
また、その属性の根源的な意味合いを持つ、より強力な存在を高位精霊と呼びます。
この、中位・高位の精霊は意思を持っており、人と契約をすることが出来ます。
そして、契約をした精霊を呼び出すことが出来るのが、精霊召喚と言います」
続いて、精霊召喚についての話が始まった。
本当はこの回で精霊召喚のことも書いちゃうつもりでしたが、ちょっと長くなりそうなので、ここで区切ってしまいます。
そんな風に思ったら、案外精霊召喚をさらっと仕上げてしまっうこともありそう(計画性のなさ)




