魔術と魔法
初日から王子様の護衛をボコボコにしたり、貴族の代理人と決闘したり、荒っぽい日を過ごしたが、翌日以降は真っ当な学園生活を送ることになった。
二日目からは様々な授業のガイダンスを受けて、自分が受けたい授業を選んでいく。
自分は勿論、属性魔術を学びに魔術学園に来たので属性魔術の基礎から応用まで幅広く学んでいく。
それと、ユーリアからオススメされて、精霊魔術も受けることにした。
人族では通常は精霊魔術の取得は難しいが、精霊は生物の放出する魔力を餌に生きているので、俺の魔力量があれば、精霊の多い場所へ行けば自然と寄って来て、精霊魔術の究極とも言える精霊召喚まで使えるようになるかもしれないから、是非にと言われてしまった。
他にも、コアやジャンヌ達と相談をして、俺が将来的に必要になりそうなスキルを前提にして、それを取るのに必要な授業を受けるようにしていった。
そんな感じで選んでいくと、結構な量の授業を受けることになりそうになっていた。
まぁ、スキル創造があるから他の人よりは、異常に早く成長ができそうだから、頑張りますか。
さて、そんなこんなで、属性魔術のガイダンス後の実質最初の授業を受けることになった。
属性魔術は魔術学園の中でも一番人気があり、ほぼ全員が学ぼうとしている授業なので、大きな講堂を利用して授業がおこなわれる。
Sクラスの生徒達も全員がこの授業に参加している。
そんな講堂で先生の到着を待っていると、扉が開いて先生が入ってきた。
「それでは、属性魔術の授業をおこなう。
今期、この授業を担当する、ゲルト・ブレアフルだ。」
そう、この授業は俺に魔術学園の推薦をしてくれた、ブレアフル家の次男のゲルトさんが担当することになっている。
「先に言っておくが、この授業は基礎の基礎からおこなうので、新入生ですら既に学んでいるものも多いとは思う。
一応、授業の進行内容は学内の掲示板に掲載をしておくので、自分に必要だと思う授業の日だけを狙って来ても構わないし、実戦がおこなわれる日だけ来ても一向に構わない。
ただ授業があるからと言って、何も考えずに受ける必要はないからな。
Aクラス以下は単位の取得が義務付けられているが、実力があるなら単位取得試験だけ受けにくれば良い。
君達がこの学園にいる時間は有限だ。しっかりと価値的な毎日を過ごしていって欲しいと思っている」
流石、実力主義を標榜しているだけのことはあるな。
授業を受けることが大事じゃなくて、実力を身につけることが重要としている。
自分に取って必要なことを無駄なく学んで欲しいと思っているんだな。
「それでは、初回の授業をおこなっていく。
君達が学んでいく、属性魔術とはなにか。
そもそも魔術とはどんなものなのかから、掘り下げたいと思う。
魔術とは、魔力を使っておこなう術・技を言うのです。
もっといえば、魔術はその取得方法が明確になっていて、訓練をすれば幅広い人間が覚えることが出来るものを言います。
この魔術学園の生徒ならば、全員が体内にある魔力を感じて、それを動かすことは出来るでしょう。
しかし、君達も昔は親や指導者から魔力を流して貰い、それで魔力を感じるところから始める訓練をした者が多いはずです」
そういえば、Gランク冒険者の時に、身体強化を覚える前にそんな訓練をおこなっていたな。
俺は最初から魔力の流れが分かったので、1人で身体強化の練習をしていましたが。
「さて、この魔力を身体の一部分や集めたり、魔力を練り上げて全体に維持したりすることを身体強化と言います。
これは後々のことになりますが、もし威力の強い属性魔術を使えるようになりたいならば、この身体強化の取得はした方が良いでしょう。
ここは属性魔術の授業なので、使えるようになりたい人は、是非近接戦闘術の授業に参加することをおすすめします」
へぇ、身体強化と属性魔術って関係ないと思っていたけど、属性魔術の威力を増すために必要な技能なんだな。
もう、身体強化はお手の物なので、安心だ。まぁ、ジャンヌ達との訓練では少しでも身体強化が甘いと死と直結していましたから。
「さて話は戻って、属性魔術はというと、こうやって手に集めた魔力に属性を与えて変化させることで、属性魔術になります。
例えば、私だったら火と土の属性が得意だから、こういう風に出来ます」
そうやって、ゲルトさんは右手に火の球を出し、左手で土の塊を作り出した。
「この属性魔術を君達は訓練をして技術を身につけていくのですが、君達の中には既に使える人も多くいるでしょうし、中にはスキルとして持っていて、同じ様なことを簡単に再現をしてしまえる人もいるでしょう。
スキルとは、再現するのに必要な技術をすっ飛ばして実現させる力とでも言いましょうか。
ですが、スキル持ちの生徒もその元となる技術はしっかりと学ぶことをおすすめします。
例えば、元々スキルなしで技術を学びそこからスキルを取得した者と、スキルを生まれつき所持して考えなしでスキルを使用して来た者では、明らかに前者の方が実力は上になります。
スキルは間違いなく、貴方達の実力を上げてくれるでしょう。
しかし、スキルをただスキルとして使う者とスキルを使いこなす者では大きな差があることも覚えておいてください」
このことは、ジョルシュさんは勿論、ジャンヌ達との訓練でも物理的に痛いほど学んだな。
そして、そのことがあったから、俺は魔術学園に来ることにしたのだから。
「さて、スキルの話をしてしまったので、ここで一つ知って貰いたいことがある。
魔術と同じ様な効果をもたらすものに、魔法というものがある。
もしかしたら、君達の中に魔術と魔法をごっちゃにしてしまっている人もいるかと思うが、これには明確な違いがある。
魔術と魔法、その明確な違いは技術として再現できるかできないかにある。
例えば、スキルの中に転移やアイテムボックスというスキルがあると思う。
これは実は魔術ではなくて、魔法に分類される。
それは何故かというと、魔力があるだけではどんなに訓練をしても再現できないからである。
より厳密に言うと、スキルを所持しない限り使うことのできないものを魔法と呼ぶ。
魔力を使って、世界の法・ことわりを変えてしまうことが魔法なのです。
勿論、この魔法を魔術に落とし込もうとする研究もおこなわれているが、かなり難しいのが現状です」
へぇ、じゃあ俺が神様から貰ったスキルの多くは、魔法に分類をされるわけだ。
「もし、ある魔法が使いたいと思ってもスキルが発現しない限り無理ですから、私にも教えられることはありません。
アイテムボックスが付与された、かばんや皮袋があるように、一部の魔法は付与魔術を駆使することで、魔道具として使うことが出来ます。
自分でいつ発現するか分からない魔法を求めるよりも、この様な魔道具を手に入れる方が私は良いと思います」
そうだよな。俺みたいなスキル創造があるわけじゃないから、スキルの取得は運任せなところがあるんだよな。
魔術みたいに、その技術を使っていればスキルが取得されやすいみたいなのはあるけど、そもそも再現の出来ない魔法は、本当に運任せとしかいいようがないよな。
俺、神様からスキル創造を貰えて、本当に良かったのかもしれない。
しっかりと、感謝をしないとな。
この、魔術や魔法の設定は最初から考えていました。
多分、ここまでは全て魔術で表現をしていたはず・・・
ミスっていたら、教えてくださいw




