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決闘

「アキトと言ったな。貴様に決闘を申し込む。

お前の様な者をこの学園にのさばらせておくと、殿下をさらに狂わせてしまう。

負けたら、お前はこの学園から去って貰うぞ」


激高したマルコはそんなことを口走っている。


「おいおい、お前分かっているのか?

決闘ということは、お互いに同程度の釣り合いが取れる物をかけることになる。

それはつまり、俺が勝ったらお前さんが、この学園を去ることになるんだぞ」


「ふん、この私が平民如きに負けるはずがないだろ?」


「ちょっと冷静に考えろ、俺はSクラスの人間だぞ。

そういう、お前は何クラスなんだよ」


「この学園は教師も低レベルらしくて、私をCクラスにされてしまったぞ」


おいおい、その言い方だとジェフリーがSクラスなのもおかしいって、言っているようなものだぞ。


「流石にSクラスとCクラスじゃ実力に差がありすぎるだろう」


「平民が貴族に勝つことなどあり得ないのだ!

それとも何か、天下のSクラス様はCクラスの生徒の決闘もビビって受けられないのか?」


ここまで言われてしまったら、受けざるを得ないじゃないか。

本当にこいつ大丈夫か?


「はぁ、分かったよ。それじゃ決闘は受けてやる」


「これで、このマルコ・グローマンと貴様の決闘が成立した。

貴様が逃げないように今すぐにやるぞ」


そう言って、マルコは自分に付き従っている生徒達に諸々指示をだしていた。

しかし、こいつ本当にCクラスなのにSクラスの俺に勝つ自信があるのか?




あっという間に決闘の準備が整えられて、俺はクラス分け試験をした訓練場にいる。

ジェフリーを始め、Sクラスの皆も一緒について来てくれている。

まぁ、ダキニなんかは面白そうという理由だけで来ているのだが。


というか、俺らの会話を聞いていたのが多かったようで、訓練場にはこの決闘を見ようと結構な数の野次馬が見に来ている。

あ、奥の方にはビアンカ先生やゲルトさんまでいるじゃないか。


対面には、マルコと先程から一緒に行動している奴らがいる。

それと、もう一人、鎧を身に着けた背の高い男性がいる。

多分、あの人は結構強いぞ。

正直、実力が微妙そうなマルコよりも、あの人と模擬戦でもした方が楽しそうだな。


さて、正式な決闘ということで、立会人として学園の先生が呼ばれている。


「それでは、これより、1年Cクラス、マルコ・グローマンと1年Sクラス、アキトの決闘をおこなう。

今回の決闘で負けた方は魔術学園を去るということで、双方間違いないな」


俺とマルコに確認がされ、2人とも了承する。


「続いて、マルコ・グローマンより代理人の選出がおこなわれている。

代理人は3年Sクラス、ネイサン・ドーレス。間違いないな。」


マルコと隣に立っていた鎧の男が承知した。

ほぉ、なるほどな。マルコは自分が戦うんじゃなくて、代理人に戦わせるからあんなに余裕だったわけか。

しかも、1年のSクラスと3年のSクラスじゃ、3年生のが強いと思うわな。

マルコがニヤニヤした顔しているわ。


「アキト。マルコの代理人は3年Sクラスだけど、大丈夫かい?

今なら、事前に代理人の話はなかったし、私が強権を発動させれば、決闘自体を止めさせることも出来ると思うが」


ジェフリーが心配して、小声で話しかけてきた。


「まぁ、大丈夫だろ。てか、マルコと戦うよりは断然楽しそうだ。

それに、ジェフリーは学園内で王族の権力をひけらかすのは嫌だろ。

大丈夫。負けないから、安心して見ていてくれよ」


「分かった。アキト信じるよ。それとありがとう」


ジェフリーは後ろに下がっていきました。

信じてくれるらしいので、しっかりと勝たないとな。


「ギブアップを宣言するか、こちらで戦闘不能と判定した場合は負けとなる。

ただし、相手を殺してしまうと負けとなり、学園を去って貰うことになる。

それでは、双方準備が整ったら、前へ」


俺は右手に鉄製の模造刀と鎧は革鎧を装備。コアがくれたミスリル装備を準備するほどじゃないでしょ。

対する、ネイサンはミスリルの合金の剣と鎧を装備している。

ミスリル合金は純ミスリル製には少々劣るが、それでも冒険者で装備できるのはベテランの上位陣になるくらいで、かなり優秀な装備だ。

殺しは厳禁な割に、やる気十分な装備じゃないか。


双方が前に進み出て止まったところで、立会人の先生が声をかける。


「それでは、これより決闘を開始する。始め!」


すると、ネイサンは自分めがけてダッシュをして来た。

流石に、縮地まではいかないけど、しっかりと足に身体強化をほどこしていて、かなりの速度で接近した。

接近したネイサンは俺に連続で剣を振ってくる。

これも丁寧に身体強化を使っているから、素早い剣戟を何度も繰り出している。

それを模造刀でしっかりと捌いていく。


すると、剣を振りながらネイサンが声をかけてきた。


「坊主、すまんね。うちのが無茶なことを言って。

今はまだ手を抜いているから、怪我をしないうちにギブアップした方が良いよ。

今回は残念だったけど、君の実力だったら、来年も受験すれば良いのだからさ」


「はぁ、でもまだ捌けていますし、まだ戦い始めたばっかりで勝敗なんか分からないでしょ?」


「少なくとも装備の差が大きすぎるでしょ。

僕はミスリル合金を使っている特別製で、君は模造刀に革鎧。

学園初日から決闘があるなんて、予想できるわけがないから仕方ないけど、装備の差は必ず影響が出てくるはずだよ」


「ご忠告感謝します。

でも、人間やる気になればこんなことも出来るんですよ」


俺は瞬間的に魔力を模造刀に流し込んで、ネイサンの剣を押し返した。

すると、ネイサンのミスリル合金の剣の一部がちょっとだけど欠けてしまった。


「まさか、ミスリル合金の剣が欠けるなんて。

その歳で武器強化まで出来るとは驚きだ」


「どうです。舐めていると足元をすくわれるのは、貴方ですよ。

せっかくなのですから、本気でかかって来てください」


「ふぅ、確かに武器強化まで出来る相手に手を抜いて勝てるとは思えないな。

これまで、失礼した。これからは本気で臨ませて貰う」


すると、ネイサンは俺から離れて、再度魔力を練り上げていく。

今までとは比べられないくらいの魔力量だ。

それにミスリル合金の剣にもしっかりと魔力を送って、武器強化までちゃんとおこなっている。

さらに武器強化した剣から炎が吹き上がってきた。

これは、流石に驚いた。

多分、ネイサンは属性魔術も使えるから武器強化した剣の魔力を火の属性に変えることで、炎が吹き上がる剣を作り出しているのか。


剣から炎を出し、身体強化も十分に魔力を練り上げたと思ったら、また先程と同じように接近をしてきた。

これなら、本当に後ちょっとで縮地の域まで達することができそうな速度だ。

そして、その速度をのせて炎をまとった一撃は先程とは比べられない威力があった。

それだけじゃ仕留められないと分かったら、これも先程と同じく剣を連続して振るってくる。

先程よりも3倍は早く振っているし、一撃一撃が炎をまとって攻撃してくるので、かなり強い一撃となって迫ってくる。


しかし、それだけに惜しい。

確かに炎をまとった剣は驚いたけど、その他の部分は俺よりも確実に劣っている。

多分、ネイサンの本気はここまでなのだろうな。

ならば、決着を付けてしまうか。


俺は武器強化をした模造刀をミスリル合金の剣に大きく振るって、ネイサンを弾き飛ばした。

ネイサンは大きく下がって、綺麗に着地したが驚いた顔をしている。

そう、弾き飛ばされた時に、ミスリル合金の剣は粉々に壊れてしまったのだ。


さらに、一気に縮地を発動して、ネイサンの後ろに回り首筋に模造刀を当てた。


「どうですか、まだ続けますか?

これ以上、続けると致命的な怪我を与えてしまうかもしれませんが」


そう言って、殺気をネイサンに当てながら、降伏勧告をした。


「まさか、勝てないどころか、ここまで差があるとは・・・

分かりました。立会人、私の負けです、ギブアップします」


こうして、マルコ・グローマンの代理人ネイサン・ドーレスとの決闘は俺の勝ちになった。


はい、アキト君が勝ちました。

まぁ、勝っちゃうよねw


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