ギルドでの初訓練
途中で別の人物の視点が入ります。
違和感がなければ良いですが・・・
Side:アキト
木剣を剣道の正眼に構えてみる。
一応、高校時代の体育の武道の選択で剣道を選んではいたが、その時以来だな。
「とりあえず、型とか気にせずに体力の限界まで振ってみろ」
「はい!」
正眼の構えから、剣道の面を打ち込むように木剣を振る。
真っ直ぐに振ってるつもりだけど、なんだか左右にブレてる気がするな。
まぁ、型とかを気にしないで良いってことなので、こんな感じで振り続けてみよう。
Side:デニス
うん、気合はあるようだが、あれは剣を握り慣れてる動きじゃないな。
多少、お遊びで握ったことはあるのかもしれないが、見てくればっかで軸もブレブレだし、あれじゃ牽制にもならないぞ。
剣の才能はないかもしれないな。
まぁ、とりあえず、今日はぶっ倒れるまで木剣を振らせ続けるか。
冒険者はなんだかんだで体力勝負。
基礎は体力の上に来るから、明日から基礎で良し。
さて、俺は俺で他の連中を教えていかなきゃいけないな。
今回はそこそこ素質が良いのがいるから、残ってくれれば良いな。
「ほらそこ、新入りが来たからって気が散っていると怪我するぞ。集中しろ。」
ふぅ、ひとりひとり面倒をみていると、どうしても時間がかかるな。
Gランクが多い時は、他のスタッフも訓練に回すか。
しかし、他のスタッフも結構忙しいからな。
俺だって、副ギルド長が有能だから、ギルド長なのにこういった現場に出て若い連中を教えられるんだからな。
他の支部のギルド長だと自ら現場で指導なんて出来ないらしい。
そういう点では、俺は恵まれているな。
そういえば、今日は新入りのGランクが来ていたな。
木剣を振らせていたが、もうぶっ倒れているところかな。
おっと、新入りがまだ木剣を振っているのか。中々、根性があるじゃないか。
しかも、ずっと振り続けている割に力強く木剣を振れているじゃないか。
まるで、疲れを知らないかのようだ。
さらに、最初見たときは剣先がブレブレだったのに、今は身体の中心でしっかりと振れている。
確かに最初は才能のかけらもみられなかったのに、この時間でここまでいくとは・・・
案外、化けるかもしれない。
Side:アキト
どれくらい振っていたかな?
最初の頃に比べて、だいぶ身体の中心で剣を振れるようになった気がするな。
そういえば、これだけ剣を振っていれば、剣に関するスキルをGETするのに必要な魔力が減っているかも。
あとで、スキル創造を確認しないと。
スキルがGET出来るかもって思うと、気合が入るぞ!
よし、もっと素振りを頑張ろう!
「おい、アキトだったな。お前、ずっと素振りを続けていたのか?」
気合を入れていたのに、ギルド長のデニスさんが声をかけてきた。
タイミングが悪いなぁ。
「はい。そうですよ。やっとまともな素振りになって来たと思うんですけね。」
「確かに、だいぶブレのない素振りにはなって来たが、それよりも休憩無しで素振りを続けて体力は大丈夫なのか?」
あ、そうだった。
自分には、無限体力があるから全然休憩も取らずに木剣で素振りを出来たんだ。
普通の人間だとこんなにも素振りを続けるなんて無理か・・・
「えっと。子供の頃から山奥の村で野山を駆け回っていましたし、その頃から周りよりも体力があったと思います。」
「ふむ。もしかしたら、体力増強のスキルでもあるのかもしれないな。スキルの有無は教会じゃないと出来ないから、今度、時間が出来たら確認してこい。この街の教会でも確認が出来るぞ。まぁ、金もかかるがな。」
「わかりました。時間とお金に余裕が出来たら行ってみますね。」
どうせ、分かっているから、ホントそのうちよ。そのうち・・・
「よし、今日の訓練は終わりにするから、各自片付けに入れ。アキト、お前はまだ部屋は決まってないんだよな。俺が案内するから、片付け終わったら荷物を持って俺のところへ来い」
あ、もう終わりなのか。
無限体力のおかげで、体力自体はまだまだ余裕だから、物足りないが仕方ない。
そうして、木剣を片付けて、他のGランクの人達との挨拶もそこそこにデニスさんのあとを付いていくのだった。
「ほら、Gランク中はこの個室を使え。本来だったら、Gランクは相部屋に突っ込むんだが、あいにく他のGランクの連中は、登録前からパーティを組んでいるのが多くて、既に相部屋がいっぱいなんだわ」
そう言って、デニスさんと入った部屋は小さいながらも、しっかりとしたベッドに丸テーブルと椅子があって、木をはめ込んだ窓もあります。
さながら、シングルルームのビジネスホテルのような感じですね。
流石に、テレビはありませんが、壁掛けの12進法で表示された時計や灯りまであります。
あの辺も魔法的な何かで動いているんでしょうかね?
「はい。大丈夫です。出来れば、ソロ冒険者を目指したいので、都合が良いです」
「そうか。ただ、一応言っておくぞ。ソロで活躍できる冒険者は本当に一握りだ。それだって場合によっては、臨時のパーティに参加することが多い。だから、無理にパーティを組めとは言わないが、パーティと連携が出来る心構えと準備はしておけよ。」
「ありがとうございます。心にしっかりと留めておきます。」
自分の出会う異世界人は今のところ、本当にいい人ばっかりだな。
この辺も創造神様の加護の影響かな?
「それじゃ、今日はもう自由時間だ。
部屋に時計がある、夕飯は6時~9時まで、朝食は5時~7時まで。ギルド併設の酒場でギルドカードを見せれば貰える。
朝食後にギルドの受付にいけばGランク用の街中の依頼が用意されているから、午前中はその依頼をこなせ。依頼が終了すれば、その場で正規の依頼達成報酬の半分は貰えるから、昼飯くらいは買えるだろう。
それで、午後2時から訓練という流れだ。大丈夫か?」
「はい。大丈夫です。」
「そうか。じゃあ、荷物を整理したら、とっとと飯を食って早く寝るんだな。
体力的に問題がなくても、初めての訓練で精神的な負担もあるだろうから、ゆっくり休め。
どうせ、明日も依頼と訓練で大変だからな。」
そう言うと、デニスさんは手を振りながら去っていきました。
個室のベッドに腰掛け、一息つきます。
そういえば、流石にずっと素振りをしていたので、喉が乾きましたね。
「タブレット」
タブレットを出して、勿論、物品創造!
スポーツドリンクを1つ創造します。
ちなみに、自分は大手ドリンクメーカーのよりも、日本の製薬会社の作った方が好きなので、そっちを手にしています。
「あぁ、美味いな。あれだけ運動すれば身体に染みる~」
よっぽど、喉が乾いていたんですね。
500mlを一本丸々、すぐに飲みきってしまいました。
さて、あれだけ木剣で素振りをしたのだから、剣術のスキルがスキル創造で手に入るかもしれないぞ。
そんな期待をしつつ、タブレットでスキル創造を確認すると、
「うーむ。素振りだけじゃスキルGETまではいかないかぁ」
確かに、剣術のスキルやその他、剣に関係しそうなスキルの必要魔力が軒並み減ってはいるが、どれもまだまだGETまではかなり遠い。
そもそも、戦闘系のスキルは必要魔力が高いから、仕方ないな。
あと、街まで歩いて来たからか、歩行や行軍といった歩く動作のスキルの必要魔力もちょっと減っていた。
こちらの方が、早くGETできそうだが、例えば歩行のスキルは「歩行時の体力減少を減らす」となっており、無限体力持ちの自分には必要性を感じられない。
必要なスキルの確保はまだ先が長いですね。
なんとか、今日までは毎日投稿ができています。
毎回、書き上がったら、投稿予約をしてるので、ストックが途切れたら・・・
毎日投稿が止まっても、気楽に待ってて下さい。
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