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ナスカの英雄 アキトについて

Side:ジョルシュ


「さて、お主らをここに呼んだのは、いつもの情報交換も兼ねておるが、もう一つ確認をしておきたいことがあるからじゃ。

ナスカの英雄、アキトと言ったか、あやつは何者だ?

ブレアフル家因縁のダンジョンをソロで攻略し、ナスカに迫って来たおびただしい数の魔物を従者と従魔を従えて、大半を撃破。しかも、未確認情報だが魔族が原因でそれも1人で倒したという。

そんな人物が、この度、魔術学園に入学すると聞いておる。

こちらとしても、詳細は出来るだけ把握をしておきたい。」


あぁ、ここで来てしまったか。

アキト君のことはきっと何処かで聞かれると思っていた。


「あぁ、それか、アキト殿の話か。

それはじゃな・・・」


父上と僕で、アキト君の話をさせて頂いた。




「ふむ、まさか異世界からの創造神様に送られた人物とは」


国王陛下が驚きを隠せないでいる。


「しかし、それはその少年が自称しているだけだろ?

何か、証拠のような物があるわけではないのだろ?」


トマス様はアキト君が自称しているだけで、あり得ないと思っているのだろう。


「一応、アキト君のスキルでこんな物を作り出すことが出来ます。

全て、アキト君が生まれた地球という世界で作られているのと同じらしいです。

よろしかったら、ご賞味して頂けたらと」


そう言って、僕はアイテムボックスからアキト君から貰った、食べ物やお酒を出していった。


「ほぉ、中々に珍しそうだな。早速頂くとするか」


「陛下、その異世界から来たという人間が作り出した物ですぞ。

安易に口にして、毒でも入っていたらどうするのですか?」


「なに、これを出したのはジョルシュとエクベルトだぞ。

2人に儂を殺す理由はないし、自分達も食した物を出したのだろ?

それならば、何も問題ないだろうが」


「はい、私達が実際に味を見ているものですので、品質も保証します」


陛下はそれを聞くと、嬉しそうにアイテムボックスから一緒に出したグラスに自らの手で日本酒を注いで、口にした。


「ほぉ、これはワインとは違う酒だな。

旨味と甘さを感じて、香りも非常に素晴らしい。

最上級のワインにも劣らない味だぞ。

ほれ、トマスも呑んでみろ。」


そう言って、陛下は別のグラスに日本酒を注いで、トマス様に渡した。


「はぁ、陛下がそうおっしゃるのなら、頂きます」


流石に、陛下が自ら注いでくれた酒を断るわけにもいかず、恐る恐る口にした。


「これは、確かにこんな酒は少なくとも、一度も呑んだことはありません」


トマス様も気に入ったようで、一安心だ。


そんなこんなで、アキト君の用意してくれたお酒や食べ物で、宴会が始まってしまった。


「いやぁ、しかし美味いな。

これはジョルシュの結婚式でも振る舞われたんだろ?

やはり、無理をしてでもジョルシュの結婚式に参加すれば良かったな」


「これから、アキト君は魔術学園に通うのだから、ゲルト兄さんの方が接する機会も多いだろうから、直接頼んでみたら?

アキト君なら、ちゃんと誠意を持って接すれば、応えてくれると思いますよ。

逆に、貴族の権力を傘に来て上からの命令だと嫌がりそうですけどね」


「その辺は、そのアキト殿の世界との文化の違いみたいなものだな」


そんな話をゲルト兄さんとしていると、トマス様から声がかかった。


「しかし、エクベルトにジョルシュよ。このアキト殿の能力は危険だぞ。

この能力があれば王都一の商人になることが出来るだろうし、下手な貴族はアキト殿を抱え込んで、自分の為だけの品を作り出し続けさせようとするぞ。

そんな能力を陛下や私の前でおおっぴらにしてしまって良かったのか?」


「あぁ、そのことか。

これについて、実は事前にアキト殿に相談をさせて頂いている。

そうしたら、私やジョルシュが国王陛下に内緒にしているのは、心情的にも難しいだろうから、2人が話をしても問題ないと思っている人物ならば、公にしても構わないと言われている。

その上で、言葉だけでは信用されないだろうからと、これだけの物を用意して渡してくれたのだ。」


今度は国王陛下食いついて来た。


「なるほどのぉ。しかし、儂らが心変わりをしてアキト殿を手中に収めようとしたり、何処からか情報が漏れてアキト殿に手を出す貴族が現れたら、どうするつもりなのじゃ?」


「それについては、降りかかる火の粉ならば払うだけですので、と言っていましたよ。

実際にアキト殿は自分にある程度、実力を身につけるまでは誰にもこの話をして来なかったらしいので」


「ほぉ、我がエルトリア王国の総力をあげても、アキト殿を捕まえられないか?」


「恐れながら申し上げれば、アキト殿の従魔であるジャンヌ様は過去の伝記に書かれている以上の実力があるのは、直接模擬戦をして頂いた私やジョルシュが保証します。

アキト殿は真剣勝負でそのジャンヌ様を超えております。

さらに他にも、ジャンヌ様の直弟子3名のスケルトンとスライム達。

スライム達は実際にナスカ防衛戦でもその実力を発揮しており、通常のスライムとは思えない実力です。

さらに、アキト殿がコアと呼ばれる意思を持つダンジョンコア。

この能力を使えば、攻略したダンジョンを、そのコアが操れるようになり、魔物を溢れ出させることも可能なのですよ。

下手なことは言いません、アキト殿に敵対するようなことはお止めください。

アキト殿は、こちらから理不尽なことを振らなければ、至って真面目で良い少年ですから」


「そこまで、エクベルトが言うならば、対応はしっかりとしなければならないな。

いっそのこと、爵位と領地を与えて、我が国に居付いて貰うように仕向けるか」


「本人は、そういうしがらみを嫌っているようですよ。

魔術学園を卒業したら、世界を見て回りたいと言っていましたから」


「それは何とも羨ましいことじゃのぉ。

しかし、そもそもそれだけの実力があって、魔術学園で何を身に着けようとしているのか?」


「何でも、属性魔術を学びたいとのこと。

アキト殿が生まれた世界には魔力も魔術も存在せず物語の中にあるだけの話らしく、その物語によく出てくるのが、属性魔術のような物で、属性魔術に憧れがあるらしいのです」


陛下と父上がそんな話をしていた。


「おい、属性魔術ということは、俺が受け持つことも多いだろうな。

評価に色をつければ、この酒もあのつまみも譲って貰えるだろうか?」


「ゲルト兄さん、そんなことしなくても、ちゃんと交渉すれば貰えるから、落ち着いてくれ。

国王陛下と宰相閣下の前で、魔術学園の教授職にあるゲルト兄さんが堂々と不正をするとは言わないでくれ」


「ははは、しかし、まぁこの数々の品を食せば、そうなる気持ちもわからなくもないな。

儂も何かアキト殿が喜ぶような物を考えて、交渉させて貰うか。

もしくは、アキト殿に商会を作って貰って、売ってもらうというのもアリか。」


「それが出来れば良いですなぁ。

あとは、うちの1人娘の旦那が私の目の前で、職場で不正を働くと宣言しているので、問題を起こす前に離縁をさせて、少し歳は離れておるが、アキト殿と婚姻して頂くのも良いかもしれませんな」


「ちょっと、待ってくれ、トマス義父さん。

冗談だから冗談。そんな理由で離婚させないでくれ!」


「あまり、暗躍し過ぎるとアキト殿がこの国に寄り付かなくなってしまうかもしれないので、程々にしてくださいよ」


父上は、そう言って、グラスに注いだブランデーを一気に飲み干した。


アキト君、きっと魔術学園でも色々あるだろうが、頑張ってくれ。




Side:アキト


『ということだぞ、主』


ふむ、まぁ少なくともこの国の王様と宰相は敵対しなさそうだな。

ただ、美人局じゃないけど、美人さんには気をつけよう。


そう、コアに頼んで、虫のような小さな魔物をジョルシュさんとエクベルトさんに付けて、様子を伺っていました。

ごめんね、エクベルトさん。真面目で良い少年じゃなくて、準備さえ整えればこういうこともしちゃう悪い少年です。


まぁ、情報戦は大事なので、必要だと思えば何でもしますよ。

あ、ジョルシュさんのお兄さんのゲルトさん。好きな物が分かったので、付け届けでもしようかな?

お世話になるのだから、こういうのも大事ですよ。


「主よ。休憩はそれくらいにして、続きをおこないましょう」


はぁ、元気な従魔が引っ張っていく。

明日が魔術学園のクラス分け試験ですから、頑張りますか。


はい、アキト君は何でも知っていますw

アキト君は手段がなかっただけで、そういう手段が手に入れば何でもしちゃいますよ。

だって、神様も自由に生きてって言われてますから。


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