ジョルシュ・ブレアフル男爵誕生
翌朝、昨日のうちに国王への謁見の願いをしていたので、早速謁見の為にジョルシュさんとエクベルトさんは王城へ出向くことになった。
自分の魔術学園のクラス分け試験ですが、全員が同じ日にやるのではなく、申請があった順に、指定された日が割り振られているようで、昨日ブレアフル家の方が申請を済ませてくれて、明日クラス分け試験を受けることになった。
同日に試験をおこなわないのは、交通機関が未発達の為に同日におこなうことが難しい為だろう。
それに、特に筆記試験はおこなわれずに、魔術や魔力の使い方を見てクラス分けをするので、早く済ませても、遅く済ませても、特に大きな差にはならないからだろう。
ただ、より上位を目指したい人や、あまりにギリギリの実力しかないと、受付ギリギリまで粘ってから申請するので、後半に集中しやすいらしい。
そんなこんなで、今日は一日、暇になったので、王都のブレアフル邸の庭を借りて、ジャンヌと訓練です。
流石に、辺境伯領の領都にあるブレアフル家の本邸には敵わないが、それでも他の周りの貴族街の家々に比べたら、かなり大きな屋敷であり、広い庭まで付いている。
ただ、王都のしかも貴族街の中で、派手な模擬戦をして迷惑はかけられないので、その辺は自重をしつつ、明日に備えて訓練をしています。
魔術学園を知っている人、皆がSクラス確実と言ってくれますが、本当に大丈夫でしょうか?
まぁ、推薦さえあれば入学は出来るので、仮にSクラスじゃなくて他のクラスになってしまっても、地道にカリキュラムをこなして卒業しても良いでしょうが・・・
出来れば、Sクラスが良いなぁ。
そういえば、ジョルシュさんは今頃、王様と謁見している最中かな。
Side:ジョルシュ
父上と一緒に、王城の中にある謁見の間に立っている。
目の前には、国王様が座る玉座があり、その左右に貴族の当主方が立っている。
一番玉座に近いところに、現在の宰相殿が立っており、左右に立っている貴族も結構なお歴々の方々である。
今回は、臨時で一男爵の爵位授与だけなので、そもそも自らの領地にいらっしゃる貴族の方々は招集をかけられていない。
王都内にいらっしゃる貴族の中でも、無理に参集する必要はないと通達が出ているとのことである。
勿論、宰相殿や幾人かの貴族の方々は仕事としていらっしゃるが、それ以外は自ら進んで参集してくれたということだ。
新米男爵にはありがたい話だが、この集まっている貴族達がほぼ辺境伯である父上と関わりを持つ、いうなれば辺境伯派となるのだろうか。
今まで、貴族とは一定の距離感を保っていたと思っていたが、まさか自分がガッツリ貴族になってしまうとは。
当分は領地にこもって開発だろうが、こういう政治もやっていかないといけないんだよな。
頭が痛いことである。
そんなことを考えて待っていると、ラッパの音がなった。
「国王陛下がお入りになります」
近衛が大きな声で伝えると、謁見の間にいた全員が膝をついて、頭を垂れて、国王陛下をお迎えする。
国王陛下が謁見の間に入られて玉座に座られると
「皆、楽にすると良い」
国王陛下にこう言われて、他の貴族達は立ち上がるが、僕と父上はその場で膝をついたまま、頭を上げる。
「これより、ブレアフル辺境伯、エクベルト・ブレアフルが三男ジョルシュ・ブレアフルへの爵位の授与をおこなう。
貴殿は、ブレアフル辺境伯家因縁のダンジョンの攻略を指揮監督して、見事にその悲願を達成した。
その功績により、ブレアフル辺境伯家の家訓に沿って、エクベルト・ブレアフル辺境伯より、辺境伯家所有の男爵の爵位を貴殿に譲渡したいとの申し出があった。
ここに、ウイリアム・エルトリア国王の名において、譲渡を認め、ジョルシュ・ブレアフルを男爵の爵位に任命し、ナスカ周辺の領主とする」
「謹んでお受け致します」
「では、ジョルシュ・ブレアフルよ、国王陛下のそばへ」
そう言われて、玉座の近くまで近づいて、膝をついた。
「ジョルシュ・ブレアフルよ。ダンジョン攻略おめでとう。
これからは男爵として、エルトリア王国、そしてそなたの父エクベルトを支えてやってくれ」
国王陛下から直接お言葉を頂き、国王陛下の直臣を示すナイフを頂戴して、元の場所に戻った。
「以上をもって、ジョルシュ・ブレアフルへの爵位の授与を終了する」
全員が膝をついて、国王陛下が退場するのをお見送りする。
無事に、授与が終わって安心した。
無事に授与が終わったと思ったら、父上と一緒に王城内のある部屋へ案内された。
その部屋に入ると、国王陛下と宰相殿、それに兄である、次男のゲルトまで同席をしている。
国王陛下の御前なので、膝をつこうとすると、
「よいよい、ここは謁見の間ではなく、プライベートな空間じゃ。
気楽にして良い。ほれ、空いている席に座りなさい」
国王陛下直々にそう言われては仕方ないので、席についた。
というか、父上は早々に席についてしまっていた。
「エクベルトにジョルシュよ。ブレアフル辺境伯領からよくぞ参られたな。
陛下もおっしゃっていたように、ここはプライベートな場だから、気楽にしてくれてよいぞ」
宰相殿もそうおっしゃられているので、本当に良いのだろうが、成り立ての男爵には少々難しいところだろう。
「まぁ、気にするな。俺と陛下とトマスは、まだ俺らが当主や国王になる前からの仲が良かったからな。
非公式ではあるが、俺が王城に来た時はこうやってテーブルを囲んで、情報交換等々しているんだよ」
父上がそう言った。
ちなみに、トマス様とは宰相殿の名前で、トマス・ルノーが本名で侯爵家の当主のはずだ。
「しかし、父上を含めて、お三方がいらっしゃるのは納得しましたが、何故ゲルト兄様まで同席されているんですか?」
「そりゃ、可愛い弟が結婚式にも呼んでくれずに、早々に済ませてしまったので、何とか爵位の授与に潜り込めないかと思ったが、流石に貴族ではない俺には謁見の間は厳しいので、トマス義父に頼み込んで、ここでお前と顔を合わさせて貰ったわけさ」
そういえば、ゲルト兄さんの奥さんはトマス様の長女だったはず。
僕は基本的にナスカから出ないし、ゲルト兄さんは王都で生活をしているから、ゲルト兄さんの結婚式の時に顔を合わせたぐらいだな。
「そんなの今は王都にいるのだから、王都のブレアフル家の屋敷に来てくれたら、いくらでも会えるでしょう。
それに、結婚式を急いだ理由は手紙で伝えておいたでしょ」
「それについてだが、私も陛下も聞き及んでおるが、上手い手を使ったぞ。
ブレアフル家は、長男が王家の娘と、そして次男がうちの娘と結婚をしておるから、かなりの政治的発言力があると思われている。
だから、三男のジョルシュ殿の結婚相手はどうなるかと王都の貴族では噂になっていた。
準貴族が限界だろうと思われていたので、上位貴族が娘をやろうとは思っていなかったが、下位貴族ではジョルシュ殿にうちの娘をと考えている家は、かなりあっただろう。
実際にブレアフル家に話は来なかったか?」
「あぁ、うちの派閥の連中を中心に、縁談の話はいくつも来ておったが、クラウディアちゃんがいるのは知っておったからな、全部蹴っ飛ばしておいたよ」
トマス殿と父上がそんな話をしているが、いや、自分そんな縁談話聞いてないが・・・
「なるほどの。
そして、今回、ジョルシュ殿が男爵になられたので、ブレアフル家と縁を持つことで、上を狙いたい伯爵家あたりの貴族までもが縁談を考えるようになったわけさ。
ただ、その辺の連中の誤算は、ジョルシュ殿が貴族になる前に結婚をしていること。
貴族になる前とはいえ、通常ならば最初に結婚をした女性が第一夫人になるのが当たり前。
しかも平民出身の嫁が第一夫人にいるのに、貴族の娘が第二夫人、第三夫人になるなどプライドが許さないだろう。
まぁ、強引に序列を変えることも出来るだろうが、周りへの心証は良くないから、上を目指すのにはリスクが大きすぎるな。
というわけで、上手い手を打ったなということさ」
「はい、クラウディアに煩わしい思いをさせないで済んだようで良かったです
「というか、まず前提条件として間違っておるな。
我が家が王都での政治に無関心で縁続きになっても手助けなぞ、ほとんどしないぞ。
うちの派閥の連中も俺が何か指示しているわけでもないのに、勝手に派閥を作って辺境伯家を応援してくれている。
多分、ジョルシュへの縁談もいつまでも結婚しないジョルシュを心配してだろうさ」
それに関しては、もう全面的に僕が悪いので何とも言えないです。
クラウディアもそれで待たせましたから。
ジョルシュさん無事に貴族になりました。
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