領都ブレアフルでの訓練
何だかんだで、領都ブレアフルでの生活が始まった。
ジョルシュさんは、急遽決まったクラウディアさんとの結婚式の準備で大慌て。
お相手のクラウディアさんも、すぐに御両親と領都まで来て、一緒になって準備に追われています。
これは、爵位の件が王家から正式に了承が出て、その通達がジョルシュさんに届いたら、王家への忠誠を示すために、一刻も早く王都へ向かわなければならないからです。
既に王都へは早馬を走らせてしまっているので、王家の準備次第だが戦功があったりして検討が必要な授与ではなく、次期は未定ながら授与自体は決まっていた案件なので、それほど時間はかからずに返答は来るだろうとのこと。
それまでに結婚式を済ませようと、皆必死に準備をしています。
さて、辺境伯家ではお客人としての俺は、結婚式に出席する為の服装がないので辺境伯家のメイドさんに寸法を測って貰ったくらいで、他には今のところ何もありません。
ちなみに、ジャンヌも勿論一緒に採寸を受けてドレスを用意して貰うらしい。
他に手伝えることもないので、予定通りジャンヌとの訓練になっている。
ただ、今までの模擬戦での訓練もしつつ、新たに実戦に手を加えた形での訓練もすることになった。
まず、早朝に辺境伯家の中庭で模擬戦をします。
そこには何故か忙しいはずの、ジョルシュさんは勿論エクベルトさんやオットーさんまで混ざって来ることがある。
皆さん、夜遅くまで結婚式や爵位授与の準備に、元々の領都の仕事もあるのに朝から元気である。
こちらも3対のスケルトンも出して、模擬戦をしてちょうど4:4になることもあります。
しかも、中庭は結構広いので、スライム達も出させて貰って、訓練をしています。
正直、今一番伸び盛りなのが、スライム達かもしれません。
スライムそれぞれの特徴が色濃くなってきて、しかもそれがパーティ単位で分かれることもあります。
それぞれのスライムパーティ毎にパーティ戦をしたり、ジョルシュさん達が来ていない時は、スケルトン3人対スライム30匹の変則パーティ戦をしていたりもします。
スケルトン3人の連携はやはり凄まじく、スライム達がやられてしまうのですが、たまに良い感じでスライム達がせめぎ合う時もあります。
スライム達は俺が適宜スキル創造でその特徴に合ったスキルをあげているので、成長度合いが高いのでしょう。
まぁ、特徴に合ったスキルの方が、スキル創造で必要な魔力が特に少ないっていうのもあります。
そうしたら、今度はジャンヌやスケルトン達もスキル創造をしてくれと言って来ます。
自分達も俺の従魔なのだから、スライム達だけズルいじゃないかと。
いやいや、貴方達、今でも十分強いのだから大丈夫じゃないかと説得したが、強さの高みはまだまだ先にあると逆に俺が説得をされてしまった。
仕方がないので、それぞれスキルを増やせないかとスキル創造のリストを見てみたが、この人達、皆それぞれが得意な分野のスキルはほとんどGETしてしまっていて、それ以外のスキルは必要な魔力がかなり高くなっていて、今の俺では最大魔力が足りなくてスキルを与えることが出来ないでいた。
まぁ、生前に既にジャンヌが天下無双と呼ばれて、周りに敵なし状態で、直弟子3人もそれに次ぐ強さだったんだよな。
さらに、スケルトンになってからも、お互いに訓練を重ねていたようだから、長い年月で取れるスキルは、ほぼほぼ自力で取ってしまったのだろう。
それでも、何とか取得できるスキルを探して取得させましたが、本当にこれで良いのでしょうか?
あまり、強さとかに直結しないように思えるスキルですが、案外本人たちは気に入っており、そのスキルを使いこなせるように訓練をしています。
ジャンヌも嬉しそうにしているので、まぁ良いでしょう。
そのスキルが役に立つ日が来るのかは分かりませんが・・・
さて、早朝の訓練が終わって、ブレアフル家で朝食を頂くと、ブレアフル家にいても諸々の準備には役に立たないのもあって、この領都の冒険者ギルドに向かいます。
あ、ジョルシュさんを無事にナスカから領都に護衛したということで、護衛依頼の達成条件を満たして、Cランク冒険者になることが出来ました。
ナスカのギルド長のデニスさんからも推薦の連絡が届いていますし、ナスカから領都間で3グループも盗賊を壊滅したのも考慮されて、特に問題がなければ領都でBランク認定をしても良いので頑張ってくださいと言われています。
焦って冒険者ランクを上げる必要性も感じませんし、領都にいる期間は短そうなので、無理に今Bランクを目指そうとは考えていません。
ギルド内で適当な討伐依頼か採取依頼を受けて、領都近くの森に向かいます。
さて、ここからが新たな訓練になります。
森に入ると、まずスケルトン達3人を召喚して、それぞれが森の中へ散っていきます。
ジャンヌも自分から少し離れた場所をついてくるようになるので、俺1人で森を進んでいきます。
そして、森で依頼の獲物を倒した直後や採取する植物を見つけた瞬間、俺が一番油断したタイミングで、スケルトン達が急に現れて攻撃してきます。
そう、これが新たに加わった訓練です。
俺が油断した時に狙う。
スケルトン1人の時もあれば、3人同時に攻めて来る時もある。
最初のうちは、気を張りすぎて常に警戒をし過ぎていたから、精神的に負担がきつくなって、その気が緩んだ瞬間を狙われていました。
なので、今度は気を張るのは抑えて、普通を心がけていたら、それはそれで何度もボコボコにされていました。
その都度、少し離れた場所にいるジャンヌからああでもないこうでもないと、注意が飛んできます。
気を張るのではなく、自然体で森全体を見つつ聞きつつ、時には匂いも気にして、その中で違和感をあったら、そこで初めて気を張って原因を探って、敵が攻めて来ても大丈夫な態勢を整える。
いや、そんな最近来たばっかりの森で違和感なんか分かるのかって話ですが、慣れてくるとこれが分かるらしい。
ただ、スケルトンは人とは違い、呼吸もしなければ体温もないので、難易度は高めとのこと。
高めだからこそ、主の実力を上げるにはピッタリですなんてジャンヌが言うから、初心者モードから始めませんかとは言えませんでした。
気配感知や魔力感知というスキルもあって、早速取得をしたのですが、まずそもそも魔物とうちのスケルトン達の違いが分からない。
段々と慣れていき、違いが分かる男になっても、今度は近くにいる自分を狙うスケルトンは3人いるので、近くにいる2人のスケルトンが狙ってくると思って準備をしていると、気配遮断と魔力を極限まで抑えた、ナイフのスケルトンのトリスタンが俺の首筋にナイフを当てていることもあった。
スキルを取得して、それに頼りすぎた俺のミスだった。
そんな訓練を繰り返していたある日、コアからこんな提案があった。
『主。それにジャンヌよ。
何だったら、その王都の学園に入る前に王都近くのダンジョンを制圧して、そこから監視用の小さな魔物を発生させて、そいつらを使って監視網を引けば私が全ての情報を主に提供できるから不意打ち対策は出来ると思うぞ。
仮に、王都周辺にダンジョンが無ければ、ナスカから主の移動に合わせて、魔物を連れていけば良い。
実際に、今も私の目や手足になるように数百匹の小型の魔物をナスカから連れて来ているぞ』
なんか、新しい訓練を全てどんでん返しする発言がコアからされた。
流石、優秀執事のコアさん、やっぱ有能だね。ただ、もっと早く言ってくれても良かったんじゃね?
まぁ、結局、俺が魔力的な結界で魔物が入れない場所に行くこともあり得るし、コアの監視網を抜けてくる敵がいないとも限らないので、訓練は継続されることとなった。
あと、ジョンヌは純粋に俺が強くなれるなら、何でもさせたいんだろうな。
こんな訓練を森でしつつ、その日の依頼は何とか完遂して、冒険者ギルドで依頼の終了報告をして、ブレアフル邸に帰る。
ブレアフル邸で夕食を頂くが、その日のことを報告すると、男組3人が羨ましがって、翌朝の訓練は必ずと参加すると決意を固めることが多々あった。
ジョルシュさんやエクベルトさんは、そんなイメージあったけど、長兄のオットーさんも結構訓練好きなのは驚いた。
やっぱり、血は争えないんですね。
なんか、地の文ばっかになっちゃった。まぁ、そんな日もあるさ。
さて、これを書いているのは8/11(火)の夜なのですが、
なんと1日のアクセス数を初めて1000PV突破しました。
まとめて数話見ていたりして、純粋に1000人が見て頂いているわけではないでしょうが、非常に嬉しいです。
これもいつもご覧頂いている読者の皆様方のおかげです。
ありがとうございます。
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