第1異世界人との遭遇と異世界の街へ
聖域にある一本道を歩いていると思ったら、気がついたら草原にある大きな道の、ど真ん中に立っていました。
しかも、道の端には矢印が書かれた看板まで設置されています。
「”この先、ブレアフル辺境伯領 ナスカ”と書いてあるな」
おぉ、異世界の文字であるがちゃんと読めるな。
しっかりと異世界言語取得が機能しているのだろう。
文字が読めるのだから、会話も大丈夫だろうが、早く異世界人と会話してみたいものだ。
勿論、盗賊やら詐欺師とかじゃない方がいいが・・・
では、ナスカという街へ向かっていきましょう。
さて、かれこれ2時間くらい歩いたでしょうか。
まだ、街らしき姿は見えませんが、街道沿いの風景は草原から田園に変わっています。
人の姿はまだ見かけませんが、のんびりとした良い景色です。
そんな風に景色を楽しみながら歩いていましたら、小腹が空いてきましたね。
「タブレット」
物品創造で、あんパンと紙パックの牛乳を出しました。
ちなみに、あんパンの中身はこしあんです。つぶあんも美味しいとは思いますが、なめらかなこしあんのあんぱんにはかないません。
行儀は悪いですが、腰掛けるような場所もありませんし、歩きながら食べましょう。
うん、美味しい。
あんぱん牛乳を楽しみながら、歩いていると田園のあぜ道から、1頭立ての荷馬車に乗った男性がこちらに向かって来るのが見えてきました。
急いで、あんぱんと牛乳をかっこみ、ゴミはアイテムボックスに放り込みます。
まだ、情報が全く無い状況で、怪しいものを食べている、怪しい子供と思われては困ります。
しっかりと飲み込んで、荷馬車が近くに来るのを待ちます。
「お、坊主、こんなところで何してんだ?おめぇ、見かけねぇ顔だな。」
荷馬車が近くによると男性が、そんな声をかけて来ました。
いかにも、農家のおじさんという肌が焼けて身体つきもガッツリしている方です。
「どうも、こんにちは。山奥の村から初めて外に出て、ナスカへ向かっているのですが、この道を進めば良いのでしょうか?」
「おぅ、この道をあと30分も歩けばナスカに到着できるぞ。どうせ、俺も仕事終わりで街まで戻るところだから、荷馬車に乗っていくか?」
「ありがとうございます。でも、せっかく田舎から街へ出られるようになったので、自分の脚でナスカまで行ってみたいと思うので、大丈夫です。」
「そかそか。まぁ、この街道沿いは先日、魔物狩りをおこなったばっかりだから、安全だろうし、ゆっくり噛み締めながら歩いていくのも良いだろうな。でも、街の反対側の森やダンジョンの方は危ないから、気をつけろよ。」
そう言って、荷馬車のおじさんは手を振りながら、先を進んでいきました。
ふぅ、まずは無事に第一異世界人との会話が成立したぞ。
特に問題なく、意思疎通出来たので、会話でも異世界言語取得が上手く働いたのでしょう。
良かった。良かった。
あと、荷馬車への同乗を断ったのは、無限体力のテストも兼ねて歩きたかったからだ。
地球での自分はあまり運動が得意ではなく、2時間も歩いていればもうクタクタだったはず。
でも、今は流石に無限体力。全然、疲れを感じていません。
多分、ナスカまでも大丈夫でしょう。
そんなこんなで30分
見えてきました。あれがナスカなのでしょう。
街道の先には大きな門があり、門の左右には外壁がそびえ立っています。
外壁の端には見張り台のようなものがあり、そこに街の兵士っぽい人が立って監視しているのも見えます。
さて、門の出入り口のところにも兵士のような人が数人立っており、門を通る人達をチェックしています。
通る人達も身分証のようなものを掲示しています。
自分、そんなもの持っていませんが、大丈夫でしょうか?
「はい、次の人どうぞ。市民証かギルドカードの掲示を。」
「すいません。山奥の村から出てきたので何も持っていないのですが。」
「なに?・・・うむ、分かった。ちょっと、こっちへ来い。」
自分を担当していた兵士が、そう言って、門の横にある小屋に入っていった。
自分も、とりあえずあとをついて行くことにした。
小屋の中には、テーブルと椅子、それに剣や槍、兜等が立てかけられていた。
多分、兵士の詰め所のような場所なんだろう。
「ほら、とっととこっちに来て、そこに座れ。」
自分が小屋を見ている間に、兵士さんは既に椅子に座っており、兵士さんとテーブルを挟んだ正面の椅子を指差しています。
自分が座ると、
「さて、じゃあ規則だからな。どうしてこのナスカに来たのか、話をしてくれ。」
「はい。自分は山奥の村に住んでいたのですが、既に両親は亡くなってしまっていたので、村での雑用をして生活をおくっていました。そうしたら、村の借金がどうとかで大人達が自分を奴隷として売り出されることが決まってしまい、奴隷商人が来るまで監禁をされていて、たまたま村に来た2人組の旅人が助け出して下さいました。自分達はこれから危険な場所へ行くので、路銀や衣服などを頂き、この街に繋がる街道まで連れてきてくださいました。」
はい、嘘八百です。まぁ、2人組の旅人は神様達をイメージしています。
実際に、トゥーダローカに転生したときに、新しい身体に合った衣服と最初は必要になるだろうからと路銀も渡されています。
嘘をつく時は事実も織り交ぜると信じられやすいというテクニックですね。
兵士さんは黙って、話を聞いてくれ、ジッと自分の顔を見つめています。
ヤバイ、嘘だってバレたかな。流石に異世界から来たとは思われないだろうが・・・
「うむ、たしかにお前の顔だったら、男娼としても結構な値段で売れるだろう。それに、王国の法では、奴隷にすることが出来るのは、自らや家族の借金、犯罪による刑罰しか認められておらん。そういう意味で、村の借金を肩代わりするのは適応されないし、それを旅人が諌めた結果助け出したのも理解できる。」
ふぅ、どうやら、信じて貰えたようだ。
しかし、やはりこの顔は異世界でも美形なようだな。だが、男娼は絶対に無理だ。
「よし、では街に入るのを認めるが、入市税として大銅貨5枚が必要になるが大丈夫か?」
「はい、どうぞ。」
大銅貨5枚を兵士さんに渡した。
「ふむ、OKだ。次回から市民証かギルドカードを持っていれば入市税は要らないから注意しろよ。市民証は仕事を見つけて住む場所があれば役所で作ってくれる。ギルドカードは冒険者ギルドや商人ギルドに入会すれば作って貰えるはずだ。」
やはり、異世界。冒険者ギルドがあったな。
自分を鍛える為にも冒険者ギルドを利用するしかないだろう。
「ありがとうございました。それでは、冒険者ギルドに行ってみます。」
「まぁ、外から来た若い連中は、ほぼ冒険者ギルドに行くからな。このナスカはダンジョン都市として栄えていても、やはりダンジョンはリスクが大きいから、命を大事にするんだぞ。」
最初はぶっきらぼうなイメージでしたが、ずいぶん心配してくれる良い方ですね。
「はい、気をつけていきます。本当にありがとうございました。」
お礼を言いつつ部屋を出て、門をくぐります。
4話ですよ4話
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