護衛依頼
「アキト、よく来てくれた。さて、まずはダンジョンの報酬に関してだ。
経過観察も無事に終わった。他の冒険者も無事にダンジョンから素材を回収出来ているぞ。
冒険者それぞれに確認をしたが、ダンジョン内の魔物もほとんど変わりなく、上手くやっていけてるそうだ。
受付に伝えておくので、帰りに受付で報酬を受け取ってくれ」
「無事にダンジョンが復活しているようで良かったです。
報酬もちゃんと受け取っておきます」
まぁ、宿代とたまに街で食事をする分くらいのお金さえあれば十分なので、ほとんどギルドカードに貯金しているんだけどな。
「あぁ、それでだな、こっちが本題なのだけど、
今度、アキトにはブレアフル辺境伯領の領都ブレアフルに行って貰いたいと思う」
「領都ブレアフルですか・・・、どうしてですか?」
というか、家名がそのまま領都の名前になっているのですね
「前にも話をしたが、Cランクに上がるには護衛依頼が必要になってくる。
んで、ある人物が領都まで行くので、その護衛依頼をお前に頼もうと思っていてな」
「ある人物ですか?」
「いやぁ、別に勿体ぶるつもりもないんだけど、ジョルシュが今回の件を辺境伯様に報告をしなければいけなくて、その道中の護衛を頼みたいわけさ」
「あぁ、そういえばジョルシュさん忙しそうにしてましたね。
最近はジャンヌと訓練ばかりしていたのを、庁舎の幹部の方に連れていかれたようですよ」
「あぁ、ジャンヌの嬢ちゃんと訓練していて仕事が進んでいないのは確かだろうが、それに加えてあいつ自身が領都に行くまでに仕上げていておかないといけない仕事が溜まっているんだろうな。
だから、日程は余裕を持って10日後に出発って感じだ」
「でも、ジョルシュさんって代官ですよね。
普通は冒険者に護衛依頼なんてしないで、地元の兵士さんが護衛しての移動になるんじゃないですか?」
「まぁ、通常はな。
一つは、俺とジョルシュの共通の考えとして、お前のランクが実力と離れすぎているから、早急にランクを上げておきたいということ。
このギルド内ならば、ランクの制限を外しているから、どんな依頼も受けさせられるが、他のギルドに行くことがあった場合、せっかくの戦力をランクの制限で利用できないのは申し訳無いからな。
もう一つは、今回はお前が攻略したダンジョンの件が絡んでいるんだよ。
あのダンジョンの攻略はジョルシュの一族、つまりブレアフル辺境伯家の悲願ともいうべきものだった。
だから、それを攻略したお前と、悲願とした大元の理由であるジャンヌの嬢ちゃんには、是非一度辺境伯家に顔を出して欲しいというわけさ。
あとは、お前が行くなら、ハッキリ行って他の兵士は不要になるから、ローテーションで休暇をやるそうだ。
今回の件で、兵士たちにも慰労をしてやりたいんだとよ」
「げ、じゃあブレアフル辺境伯家の皆さんにも会うんですよね。
自分、貴族の方との接し方なんてわからないですよ」
「ブレアフル辺境伯家は武門の家柄だが、それほど礼儀作法にはうるさくなかったはず。
俺も何度か会ったことあるが、気さくな方々だったぞ。
お前みたいな実力がある奴なら、その実力を見せれば喜ばれるだろうよ。
それに、貴族と接してないと言っても、ジョルシュも一応そこの息子だからな。
嫡子でもない気軽な三男坊だし既に家を出ているから、貴族の子供で爵位のない準貴族って扱いだ」
「いやいや、ジョルシュさんは自分を道場でボコボコにする鬼ってイメージですよ。
ついでにいうと、その鬼の道場にぶっこんでくれたのが、目の前にいますけどね」
「おかげで、こんなに強くなって俺はうれしいよ。
というわけで、今度の依頼も頼むな。」
「はいはい、わかりましたよ。」
そう言って、ギルド長室を退室した。
「やぁ、アキト君、今日からよろしくお願いしますね」
10日が経って、集合場所となっている道場の前でジョルシュさんは待っていた。
そこには馬が2頭と幌の付いた荷馬車が用意されていた。
これで行くのでしょうか?
確かに、荷馬車にしてはかなり大きいのですが、準貴族なのだから、もっと立派な馬車でも良さそうなのに。
「ジョルシュさん、よろしくお願いします。
領都までは、この馬と荷馬車で行くのですか?」
「いえ、この荷馬車はアキト君のアイテムボックスに収納しておいてください。
まぁ、念の為というか、あった方が良いと思ったので。
アキト君の方は、グラシア殿から例の物は受け取って来ましたか?」
「はい、魔術発動防止の腕輪を30本ですよね。
グラシア婆さんの所で預かって、アイテムボックスに入れてありますよ」
そう、ここに来る前にジョルシュさんからの指示がギルドに来ており、グラシア婆さんの魔道具屋に行って、魔術の発動をさせない魔道具の腕輪を30本預かって来ました。
この魔道具は犯罪者を護送したりする時にハメて使うらしい。
時間が少しあったので、その場で1個試してみましたが、身体強化も武器強化どころか、タブレットを出すことも出来なかったです。
なんか、魔力が思った通りに循環しない感じです。
ちなみにこの魔道具を付けた上で魔術を発生させられるようになると、この魔道具と同じ効果の魔術にかかっても、解除出来るようになるから安全な場所で訓練をしておきなさいと個別で1つくれました。
ただ、訓練しても100万人に1人、身につけば良い方らしく、それなのに、きっちりお代替わりに地球の梅酒を何本か取られてしまいました。
まぁ、犯罪者に付ける代物が簡単に解除できたら困りますか。
「それじゃ、それもそのままアイテムボックスに入れておいてください。
それで、僕達の移動ですが、この2頭の馬に乗っていきましょう。
馬車を引かせるよりも速度が出ますので、こちらが良いでしょう。」
「え?あの自分、乗馬なんか経験ないのですが?」
「あぁ、それでしたら、ジャンヌ様は、乗馬は勿論大丈夫ですよね?」
「えぇ、昔はよく遠乗りをして、遠くのダンジョンまで遠征に行ったものだ」
「というわけで、1頭は僕が、もう1頭にはジャンヌ様が乗って頂き、アキト君が一緒に乗れば良いでしょう。
この馬は速度も中々出ますが、何よりも持久力に定評があるので、2人乗りでも領都までしっかり保つでしょう」
「あの?ジョルシュさん、自分別に走って付いて行っても良いですよ」
いや、ジャンヌの後ろって正直、ちょっと恥ずかしいのだが・・・
「はぁ、アキト君。
確かに君が縮地の連続しようで移動が出来るって、人とは思えない技が使えるのは分かっていますよ。
けれどもね、流石に馬と同じ速度、いやそれ以上で走り続けていたら周りが驚きますし、それをさせている僕の見識も疑われます。
どうしても、必要な時にはお願いするかもしれませんが、今はおとなしく馬に乗ってください。
それに、アキト君なら馬に乗っている間に乗馬のスキルを覚えられるかもしれないでしょうから」
そう言いくるめられてしまった。
仕方がないので、荷馬車をアイテムボックスにしまって、既に馬にまたがっていたジャンヌの後ろに乗ろうとしたら、もし落馬したら危ないからとジャンヌの前に乗ることになってしまった。
鞍の前に自分が座って、後ろにジャンヌが座って手綱を持っています。
あれ、後頭部に柔らかいものが・・・
あの、ジャンヌさん少し間を空けませんか?
え、密着してないと危ない?
はい、わかりました・・・
身体に精神が引っ張られているのか、転生前ならただただ嬉しいことが、どうにもこう嬉しさよりも、気恥ずかしさが強くなってしまいます。
「それでは、準備が出来ましたね。
領都までしっかりと護衛をよろしくお願いしますね」
こうして、ナスカ以外の街へ異世界に来て初めて赴くのであった。
まぁ、アキト君は何だかんだで12歳なので、こんな感じで乗馬になりました。
これが年齢が大きければ、普通に後ろになるんでしょうが・・・
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