属性魔術を学びたい
個人的には第一部後半のスタートな感じで、会話シーン少なめで地の文が多いです。
これからもよろしくお願いします。
「うーむ」
自分、アキトは悩んでいた。
ちなみに今はナスカの街にある宿屋の一部屋だ。
Gランクから飛び級でDランクをさせられたので、Gランク限定で借りられるギルドの個室も追い出されることになった。
一人前の冒険者としては、それなりの対応をされるということだ。
まぁ、自分も1ヶ月もの間、ダンジョン内にこもりきりだったので、特に感慨深さとかはないのですが。
そこで、ギルドから案内されて、この宿屋に来たのだがジャンヌが常に護衛として出ているので、2人部屋を借りることになった。
ジャンヌは従魔であり、スケルトンである自分は寝る必要がないので、主の一人部屋で十分と言っていたが、こちらが気になり過ぎるし、かと言って自分とジャンヌで別々に部屋を借りるというのは護衛の意味をなさないので、絶対にダメであると言われてしまった。
なので、折衷案として2人部屋を借りることになった。
宿屋の店主にはお若いですねとニヤニヤされてしまった。
いや、確かにジャンヌは綺麗だしスタイル抜群なのだが、その本質はスケルトンである。
元々の魂が定着をしている為に普通のスケルトンとは違うのだが、それでも流石に手を出すのははばかられる。
自分が寝る時は、近くで護衛として立っていられると気になるので、もう一つのベッドで横になって目をつぶって貰うことにした。
その寝顔をみていると、本当に人間と同じように見えてしまい、ヤバい時もあったのだが・・・
さて、件のジャンヌであるが今は部屋にはいない。
というのも、ジョルシュさんが是非とも当時天下無双と言われた、先祖の姉であるジャンヌに手ほどきを受けたいと言うので、ジャンヌに道場まで出張をして貰っている。
当初、自分の護衛が出来ないと渋っていたが、このナスカの街中で自分よりも強いのはいないと理解させると、それじゃ自分が街中にいる昼間だけという条件でジョルシュさんの道場へ通っている。
ジャンヌ自身も弟の子孫に手ほどきをして、技を伝えられるのは嬉しいようだ。
ちなみに、3人のスケルトンも今は収納されずに外に出ている。
そういえば、3人のスケルトンの名前もここ最近落ち着いてから初めてしったな。
剣のスケルトンがガウェイン、槍のスケルトンがランスロット、ナイフのスケルトンがトリスタンという名だった。
なんか、皆かっこいい名前だ。
今回の魔物がナスカの街に迫って来た事件で、自らの実力不足を実感した兵士や冒険者の一部から、3人のスケルトンに指導を願えないかと依頼が来た。
直接、スケルトンの戦闘を目撃した人にはかなり刺激があったみたいで、少しでも良いので頼みたいとの声が上がって、それぞれがお金を集めて正式に冒険者ギルドに依頼をかけて来た。
こちらとしても、依頼ならばと承諾して、最初のうちは毎回訓練場所に自分が出向いて、そこでスケルトンを召喚していた。
ついでとばかりに自分も訓練に付き合っていたら、流石に街を救った英雄といえども、最近までGランク冒険者だった12歳の少年にボコボコにされるのは精神的にキツイ模様で自分はハブられてしまった。
結局、行き帰りは街の住民が慌てたりしないように兵士が付き添ってスケルトンを送り迎えしてくれていたのだが、近頃は住民の方が慣れてしまってスケルトン達だけで行き帰りしている始末である。
まぁ、ある種の不労所得なのかもしれないが、少々モヤッとする。
そんなわけで、今日はたまたま、その両方が重なったので、自分ひとりである。
まぁ、スライム達がいるので、スライムに囲まれてスライム天国の中ではあるのだけれども。
自分が1人で依頼を受けようとすると、4人のうちの最低でも誰か1人が必ず付いて行こうとするので、結局重なった日は自分が気を使って、街中で過ごすようにしている。
散々、ダンジョン内で自分をボコボコにしたくせに、過保護である。
さて、話を戻して自分が何を悩んでいるかというと、魔術に関してである。特に属性魔術。
地球人の自分としては魔術と言われて一番思い浮かべるのが、この属性魔術である。
火の球で敵を焼いたり、流水で敵を押し流したり、風の刃で敵を刻んだり、土の壁で攻撃を防いだり。
確かに自分はジャンヌ達のおかげで剣士として近接戦闘はかなりの腕前になったのだろう。
しかし、せっかく異世界まで来たのだから、わかりやすい属性魔術を使ってみたい。
そして、魔族との戦闘でそこそこの数のファイアーアローを切り払っていたので、火の属性魔術のスキルは取得できる状態になっていた。
ただ、これもジャンヌ達との訓練で身にしみたのだが、スキルを取得しただけでは、そのスキルを使い切ることが出来ないということを。
自分のスキル創造というスキルは確かにどんなスキルでも手に入れられる可能性がある素晴らしいスキルだが、このスキルは決して万能ではない。
スキルを使い切るためには自分で、そのスキルを学んで訓練を重ねる必要がある。
そして、出来るならば適切な指導者の元で学んだほうが、より早くより確実に実力を身につける事ができる。
その点において、このナスカの現状はどうだろう。
自分の周りはジョルシュさんを始め、大概の実力者が近接戦闘の使い手で属性魔術は多少使えるにしても実戦向きではない。
冒険者や兵士の中には魔術師と呼ばれる、属性魔術を専門に扱う人達もいるが、この人達も少々力不足だと思われる。
実際にナスカの周辺での戦闘を見かけたことがあるが、あれならば自分の飛剣のが十分に威力があるだろう。
グラシア婆さんも属性魔術を使っていたらしいが、専攻はあくまでも魔道具なので他を当たれと、差し入れを持って訪ねた時に言われてしまった。
いや、他を当たれって他にいないのだが・・・
そういえば、自分がナスカに来る前に死んでしまったギルドの魔術師のお爺さんが、結構な属性魔術の使い手でジョルシュさん達と同じパーティで活躍していたらしい。
娼館で遊んで死亡するという、ある意味で男の夢を叶えて死んでしまったようだ。
うん、まぁ亡くなった人は仕方がない。
はぁ、とりあえず、火の属性魔術のスキルを取得して、自主練習するかね。
でも、絶対に効率は悪そうだよな。
そんなことを考えている間に、今日は一日を過ごしてしまった。
まぁ、最近、忙しかったからこんな日があっても良いと思いましょう。
ただ、これを続けていると、自分が従魔のヒモですよね。気をつけましょう。
翌日、今日はジョルシュさんが庁舎で仕事があるので、ジャンヌはこっちにいます。
まだ、先日の影響が残っていて、庁舎はとても忙しくて代官であるジョルシュさんも仕事が山積みなのに、無理をしてジャンヌと訓練をしていたようで、庁舎の幹部がキレて昨日は途中で連行されて、当分は訓練はなしと幹部の方が決めてしまったようです。
というわけで、今日できる手頃な依頼がないか、冒険者ギルドまでやってきました。
ギルドの中に入ると、結構な数の冒険者がおり、そこそこ賑わっています。
すると、受付の方がこちらに気がついて、声をかけて来ました。
「アキトさん、実はギルド長からアキトさんにお話があるということで、ギルドに来たらギルド長室へ来るように伝えて欲しいと言われているのですが、今お時間大丈夫ですか?」
「えぇ、大丈夫ですよ。今から訪ねてもギルド長は大丈夫ですか?」
「多分、大丈夫かと思います。ご案内しますので、付いて来てください」
なんか、ギルドに来るとギルド長室へ行く頻度が増えていると思います。
一応、いつもと同じ3000文字を超える程度は書いています。
ただ、地の文が多いので、段落数が少ないですよね。
さて、剣術の次は魔術をということでスタートしていきます。
これからもよろしくお願いします。
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