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対魔族戦

「黒幕さん、あんたがダンジョンの魔物を溢れさせたみたいだね」


自分は黒幕の魔族に正面から歩いていった。


「貴様は何者だ。貴様のようなガキがどうしてこんなところに」


「これでも、自分は冒険者の端くれなんでな、あんたのせいでナスカの街が危ない状況になっているんだよ。

おとなしくナスカの街まで来てくれれば、手荒な真似はしないで済むから観念しろよ」


「ふん、辺境の冒険者か、よっぽど人手不足なのだな。

あぁ、そうか今はその辺境の街に魔物が大量に向かっているから、お前のようなガキが私のところに来たというわけか。

そうそう、確かにダンジョンから魔物を溢れ出させたのは、この私だ!

この私の作った魔道具の実験をおこなっていたのさ。」


そう言って、四角い箱を掲げて見せた。


「こいつをダンジョンコアに接続して使用することで、ダンジョンコアの魔物作成能力とそこに貯められた魔力を強制的に使って、魔物を強制的に作成することが出来る魔道具だ。

まだまだ、未完成品で上級種といった、強い魔物を出すことは出来なかったが、基本的な魔物ならば、ダンジョンコアの魔力が尽きるまで発生させられることが出来る画期的な魔道具なんだよ。

どうだい、素晴らしい魔道具だろう」


この魔族、自分の作った魔道具に酔っているな

ならば、もう少し情報を引き出せるか。

自分が子供だから、油断しているのもあるだろうが、こういうタイプは自分のことを語るのが大好きなはずだ。


「あんたら、魔族は別大陸にいるはずなのに、どうしてこっちの大陸のしかもこんな辺境で実験をしていたのさ」


「ふん、あの大陸の魔族共は腑抜けが増えてしまったのだよ。

魔族なのだから、実力が全て。この魔道具が完成した暁には、魔物の大群を軍隊として使用することも出来るだろう。

ある研究所に所属をしていた私が上司に実験をしたいと申請をしたら、やれ安全性はどうなのかとか、実験の際におこる被害を考えろだとか、つまらぬことで、私の偉大な実験を止めようとした。

ならばと、勝手に実験をしようと準備をしていたら、国家を騒がせるテロ行為を準備していたという、いわれのない罪で逮捕したのだよ。

何とか、搬送中に逃げ出して、その際に無事にこの魔道具を持ち出すことが出来たので、ダンジョンへ向かったのだが、あちらのダンジョンは既に警備が厳しくてね、しかたなくあの大陸での実験は諦めて、こちらの大陸に逃げ込んで実験をしたというわけさ。」


うん、魔族の上司さんの方が間違いなく正しいじゃないか。


「しかし、こっちのダンジョンにも警備はいたはずだが、どうやってダンジョンに潜入したんだ?」


「ふん、こちらのダンジョンは人族の兵士が守っていたが、たやすく入れたぞ。

それに、この魔道具はダンジョン内の魔力の流れを読んで、ダンジョンコアまでの座標を導き出すことが出来るので、転移さえ使えればいくつものダンジョンをはしごすることが可能だ」


おいおい、この魔道具があればダンジョン攻略が楽勝じゃないか。

そういう意味では、この魔族はマッドサイエンティストで間違いないけど、ある種の天才でもあるのか。


「そういえば、この近くに、もう一つダンジョンが残っていたはずだが、どうしてそこは魔物を溢れさせなかったんだ?」


「むぅ、それはそのダンジョンだけ魔力の流れが読めずにダンジョンコアまで転移することが出来なかったのだ。

他のダンジョンもまだ残っていたので、後回しにしただけだ。

まぁ、修正する時に、その部分も強化して今度は同じ失敗は起こさないさ」


『主よ。主がスケルトン達と訓練をしていた時に、ダンジョン内で怪しい魔力探知を発見したので、逆に妨害の魔力を流しておいたのだぞ』


おぅ、コアがまるでドヤ顔の如くで割り込んできた。

うん、コアは他のダンジョンコアよりも優秀だったようです。

でも、コアが邪魔をしなければ、自分やスケルトン達がいる場所に、こいつが来たわけで上手くすればその場で捕まえられたのではないだろうか?

コアが拗ねたら不味いので内緒にしておこう。


「さて、冥土の土産に色々教えてあげたが、もう十分かな。

しかし、舐められたものだな。魔族がこちらの大陸を去ってから長いから、もう魔族の恐ろしさを忘れてしまったらしいな。

年若いガキだが可哀想に、苦しまないようにすぐに楽にしてあげよう」


「そんなこと、やってみなければ分からないだろ?」


「分かった瞬間には、もうあの世行きだよ

”炎の矢よ、我が敵を貫け”」


魔族がファイアーアローの魔法を放った。

他の冒険者が使っているところを見たことあるが、そのときのファイアーアローよりも太くて速度も早い。


それでも、自分が殺られるイメージはわかないな。

剣に魔力をまとわせて、ファイアーアローを叩き切ると消えてしまった。


「ほぉ、私のファイアーアローを剣で消滅させるとは、剣の性能が良いのかもしれませんが、少しはやりますね。

しかし、あなたのようなガキでは、ファイアーアロー1本を落とすので精一杯でしょう。

さて、これはどうでしょうか?

”炎の矢よ、我が敵を貫け”

”炎の矢よ、我が敵を貫け”

”炎の矢よ、我が敵を貫け”・・・」


そう言って、ファイアーアローを連発して来ました。

ただ、これってどうなんでしょうかね

1本のファイアーアローに1回ずつ詠唱をしなければならないので、連発といっても1回1回の詠唱の間隔があるので、丁寧にファイアーアロー1本1本を片付けさえすれば良いだけですから。

それこそ、1回の詠唱で10本20本のファイアーアローを放つことが出来れば、自分も対処に困ると・・・あ、多分それでも何とかなるな。

例えば、槍のスケルトンと訓練をしていた時に、槍のスケルトンは一撃の突きを放つ時に9本の魔力で作った仮の槍を作り出して10連突とか放って、しかもこの魔族が1回詠唱する時間で10回は突きを放つので、実質100連突。

しかも、それが始まるといつ終わるともしれない、突きのラッシュになったしなぁ。

あ、よく、自分生きてダンジョンから出られたもんだ。

悲しくないのに、涙が出そうだ。


そんなことを考えながら、魔族の放つファイアーアローを丁寧に捌いていくと、急に終わった。

あれ?まだ、80本くらいしかファイアーアローを放ってないけど、どうしたんだろう。

何か、他の魔術を使うのかもしれない。気合を入れ直そう。


「おい、ガキ、貴様、本当に、人族の、ガキ、なの、か」

息を切らして、言葉も途切れ途切れにそんなことを聞いてきた。


「一応、そういう風には聞いているけど、それがどうしたんだよ」


「くそ、何処の世界にも化け物はいるんだな。

だからこそ、私はダンジョンコアから魔物を出すことで、化け物を超える力を得ようと思ったのに。

こんな辺境で化け物クラスに会うとは・・・」


なんか、ブツブツ言ってるよ。

もしかして、魔族って言われてるのに、もうおしまいなのかな?


「ふぅ、ならばこそ、私のとっておきの技で貴様を葬ってやろう

まずは、”炎の壁よ、我が身を守れ”」


すると、目の前に大きなファイアーウォールが現れて、魔族の姿は見えなくなってしまった。

やっぱり、魔族だな。まだ何か奥の手を隠していたんだろう。

ファイアーウォールの先で、何か別の魔術が放たれても大丈夫なように構えて準備をする。



まだだろうか、少し時間がかかりすぎている。

いや、もしかしたら、それくらい魔力を込めているのかもしれない。

あ、自分が対処できないレベルだったら、先に攻撃をして止めてしまった方が良かったかも。

魔族ということで、相手の出方を見ようと慎重になりすぎていた。


すると、

「ぎゃぁあああ」

魔族の叫び声が聞こえたと思ったら、ファイアーウォールが晴れてしまった。


そこには、右腕を落とされて泣き叫んでいる魔族と、剣を持つジャンヌの姿があった。

ジャンヌには魔族が急に逃げ出されないように、気配を消して反対側に回って貰っていたのだが、いったい何があったのだろう。


「主よ。1対1の戦いの最中に割り込んでしまい、申し訳ない。

ただ、この魔族ファイアーウォールの裏で転移の魔法で逃げようとしていたので、それを止めておいた」


あ、キッチリ自分がお願いしたことを実行してくれたジャンヌであった。

しかし、この魔族、マジで逃げようとしていたのかよ。


連休が終わったと思ったら、ストックが消えていた・・・

あれ、おかしいなぁ~


この話で30話になります。いやぁ、30日ってほぼ1ヶ月ですよ。

1ヶ月間、毎日投稿できるとは思っていませんでした。

マジで読んで頂いている皆様のおかげです。

ありがとうございます。


その上で、

下の評価やブックマークに入れて頂ければ、とても嬉しいです。

星5つを頂ければ小躍りして喜びます。

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