ダンジョンコア
『該当者よ。彼らの願いを叶えてくれてありがとう』
最初のスケルトンとの戦闘が始まってから、一度も聞こえなかった声が聞こえてきた。
赤い宝石が光を点滅させながら、声を発してきた。
「この願いっていうのが、自分をここに転移した理由なのですか?」
『それもある。そして、もう一つ私の願いを叶えて貰うために来てもらった』
「願いってなんですか?」
赤い宝石に何を願うことがあるんだ。
『私の願いは該当者に私を使役してもらい、外の世界を見ること』
「ちょっと待って、自分は、魔物使役は出来るが宝石を使役するスキルなんか持ってないですよ」
てか、そもそも意思のある宝石なんか初めてだし、その宝石を使役ってそんなスキルあるか?
『そうか、まずそこから説明をしなければならないな。
私はダンジョンコアであり、ダンジョン自体が魔物であると私は考えている。』
この赤い宝石がダンジョンコアなのか?
今まで考えないわけではなかったが、やはりここがダンジョンの最奥なのか。
というか、ダンジョンコアって意思を持っているものなのか?
この自称ダンジョンコアの話を聞いていると謎ばっかりが湧いてくる。
『少し話が長くなってしまうが聞いて欲しい。
私が意思を持ったと実感したの頃は、ダンジョンとしての本能のようなもので階層を増やして魔物やトラップ、そして何故作り出しているのか不明な宝箱を準備するだけだった。
そのうち、私のダンジョン内に侵入者が入ってくるようになった。
侵入者に対して、私は自分の身を守るために侵入者を殺すと同時に、初めて外からの情報に私は侵入者を監視することにした。
侵入者の大半が冒険者と呼ばれる存在で、ここの魔物の素材や宝箱を狙って来ているらしい。
ここで冒険者が死ぬことで私の力が増していくことを理解した時、この素材や宝箱は冒険者に対する餌のようなもので、ダンジョンにおびき寄せてるのだと知った。
冒険者は時に自らの命を差し出して仲間の為に死んでいくものもいれば、仲間を騙して自らが宝を独り占めする者もいる。
色々な冒険者を見ていく中で、冒険者を通じてじゃなくて、私自身も直接外を知りたいと思うようになった。
そんな中で、ある冒険者達がこの場所まで近づいていることが分かった。
当時、この場所には私が作り出すことが出来た最強のドラゴンを、私を守る為に置いていた。
そのドラゴンと冒険者達はこの場所で死闘をして、相打ちでどちらも死んでしまった。
私はより冒険者を知る為に、またドラゴンの代わりに私を守る為にその冒険者達をアンデットにした。
通常はアンデットにすると魂が抜けてしまうので、知恵も意思もなくなってしまうのだが、私のダンジョンコアの能力で魂を維持したままアンデットにすることが出来た。
それが今まで該当者が戦っていたスケルトン達である。
私はスケルトン達の知識から私を外に連れ出す可能性が高いのは魔物使役という能力の持ち主であると知った。
そして、スケルトン達は今まで学んだ近接戦闘術の全てを後世に残せなかったことを悔やんでいた。
結果として、私達が望んだ人物は魔物使役を使えて、近接戦闘の才能を持った若い冒険者だった。
その条件の中で、初めて該当したのが、該当者である。』
はぁ、なんというか。
ダンジョンコアも色々考えているんだな。
「しかし、別に才能のある冒険者だったら、若くなくても良いんじゃないですか?」
『私が計算した結果、どんなに才能がある冒険者でもスケルトン達の技術を全て学ぶまで、数十年の時間がかかると思っていた。
この短期間でここまで成長するとは思ってなかったし、最後はスケルトンを倒すと思っていた。予想外だった。』
自分はかなり予想外の存在だったらしいです。
まぁ、異世界からの転生者なんか予想するほうが無理であろう。
「そういえば、自分では感覚がわからなくなっていたのですが、自分がダンジョンに入ってどれくらい時間が経ったのですか?」
『だいたい、1ヶ月程度だ。
本来は食べ物やポーションの類いも私の能力で用意するつもりだったが、それすら不要だったな』
本当は至れり尽くせりだったんだな。
ダンジョンコアもしっかり考えていたわけだ。
『どうだろうか。
疑問が晴れたのならば、私を使役してくれないだろうか?』
まぁ、一度使役してしまえば裏切ることはないということだし、ダンジョンコアの言いたいことも分かった。
自分もこのスケルトン達との訓練で、尋常じゃない強さを手に入れることが出来た。
ジョルシュさんに心配をかけてしまったことを以外は、概ねプラスだったな。
「分かった。じゃあ使役するよ。
”我が従魔となれ、ダンジョンコア”」
赤い宝石ことダンジョンコアがピカッと光った。
『ありがとう、我が主よ。
主にはこれを渡しておくので身につけておいて欲しい。』
自分の名称も該当者から主に変わったな。
そうすると、目の前にダンジョンコアにそっくりな赤い宝石がはめ込まれた腕輪が現れた。
『これは、私自身の複製であるダンジョンコアを入れた腕輪である。
私と同一の存在で、常に知識も意思も共有している。
私をこのダンジョンから外してしまえば、このダンジョンも終わってしまう。
主がこの場所を利用することもあるかもしれないので残しておきたいと思う。
また、仮にこのダンジョンが攻略されて私が破壊されても、その複製があれば私は生き続けられる。
どうか、その腕輪で外の世界を見せて欲しい』
そう言われたら、断るわけにはいかない。
このダンジョンコアは外の世界を見たくて、自分をここまで連れて来たのだし。
そう思って、ダンジョンコアの出した腕輪を左腕にはめてみた。
ブカブカかなって思ったら、左腕にピッタリのサイズに変形した。
おぉ、流石異世界の装飾品、魔道具っていうか、ダンジョンコアそのものか。
そんな自分とダンジョンコアのやり取りを見ていた4体のスケルトン達が羨ましそうにしていた。
片膝をついたままで、顔だけを上げてこちらを見ている。
「もしかして、君たちも自分に使役されたいの?」
すると、4体とも頷いた。
「でも、目的を達成したんだから、このまま成仏するって選択肢もあるんじゃないの?」
すると、4体とも首を横に振った。
「じゃあ、自分に使役されるってことで良いんだね?」
すると、4体のスケルトンは何度も頷いた。
まぁ、この4体のスケルトンが仲間になってくれれば、戦力アップは間違いないし、従魔なら普段は収納しておいて、いざって時に出てきて貰えば良いから便利だよな。
それに、スライム達がまだまだ訓練をしたいみたいだったから丁度良いのもある。
「それじゃ、”我が従魔となれ、スケルトン達”」
4体のスケルトンがピカッと光った。
無事にスケルトン達も使役することに成功した。
結局、このダンジョンでスライム30体、スケルトン4体、ダンジョンコア1体?の大所帯になってしまったな。
まぁ、いっか!
さて、そろそろ、このダンジョンを脱出しなければいけないな。
ジョルシュさんも心配していることだろう。
もしかしたら、探索隊とか組織して、ダンジョン内を探し回っているかも知れない。
「ダンジョンコア。ダンジョン内の状況って把握できている?」
『このダンジョンに関してのことだったら、全て把握をしている』
「そうしたら、自分を探している一団がいるかも知れないから、見つけ出せないかな?」
『冒険者達の中で、どれが主を探しているかまでは一つずつ確認しないと難しいので、少し待って欲しい。
ん?主よ。このダンジョン内に冒険者の姿が全くいないな』
あれま。
まぁ、もしかしたらジョルシュさんなら、一人でダンジョンから帰って来るのも訓練とか思ってるかもな。
でも、今ダンジョン内に冒険者がいないということは、1階層まで転移してダンジョンを脱出してしまっても問題ないわけだ。
あ、でも自分の転移ってダンジョン内で使えなかったけど、どうなるんだろう。
「ここに来た時に、ダンジョンから転移しようと思ったら出来なかったんだけど、それって何とかなる?」
『このダンジョンは私の能力で転移無効の結界を張っている。
その腕輪をつけた主ならば結界を無視して転移は出来る。
でも、もしこのダンジョン内に限っていえば、私の能力で何処でも転移できるので任せて欲しい』
なるほど、じゃあとっとと帰る準備をして地上に帰りましょう。
1ヶ月ぶりの地上だ。
結局、土日も一日一話を書ききるだけで精一杯でした。
あれれ~休みのはずなのになぁ。
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