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スライム天国

「これは、ジョルシュ様。お疲れさまです。そちらの少年と一緒にダンジョンですか?」

ダンジョンへ入ろうとすると、兵士に声をかけられた。


「えぇ。今、冒険者ギルドから預かって、道場で訓練をしているアキト君です」


「どうも、よろしくおねがいします」


「はい、こちらこそ。今日は一緒にダンジョンで訓練ってことですかね?」


「そうですね。あ、身分証を出しましょうから?」


「いえいえ、ジョルシュ様はもちろん、他の方もジョルシュ様と一緒の場合は不要です」


「ありがとうございます。では、失礼しますね。アキト君行きますよ」


「お気をつけて!」


何あれ、ジョルシュさんってダンジョン顔パスで入れるのか

そういえば、ナスカの街の出入りでも顔パスで身分証とか出してなかったな。

ジョルシュさんって、単なる道場主じゃないのかもしれないな。




さて、ダンジョンの中に入ってみました。

ダンジョンの中は灯りもないのに明るい。

洞窟の壁自体の一部がほんのりと明るく光っていた。


「ダンジョンの中って明るいんですね」


「ダンジョン特有の光源らしくて、削ったら灯りは消えてしまいます。

削って再度光らせて魔道具にしようとした人もいたらしいですが、再現できなかったそうです。

あと、ダンジョンが攻略されて、ダンジョンコアが抜かれると徐々に灯りが消えていってしまいます。

もし、ダンジョンで灯りが消えていったら、急いで地上に戻るのが鉄則です。

トラップは止まりますが、発生した魔物は消えてくれないので、真っ暗の中で魔物と対峙しなければいけなくなりますからね」


ジョルシュさんにダンジョンのことを教わりながら、ダンジョンの中を探索し始めた。

朝の早い時間帯に来たためか、他に人は見かけない。


「ダンジョンの中って、もっと冒険者がいっぱいいると思ってましたけど、朝早いからなのかあまりいませんね」


「朝早いのはもちろん、他にも複数のダンジョンもあるからでしょう。

あと、お目当ての魔物を狙って、もっと深くにいるのかもしれませんね。

ここの1階はスライムしか出ませんから」


「スライムですか・・・」


「えぇ、アキト君でしたら、特に苦戦をしないと思いますよ。

ですから、1階は全てアキト君におまかせしようと思っています。」


とうとう、スライムを倒さなければいけなくなってしまった。

日々、スライムに癒やされて来た、自分にスライムを倒すことが出来るのだろうか?


2階への階段を目指して歩いていると、とうとうスライムが現れた。


「スライムが現れましたね。アキト君にお任せします」

そう言って、ジョルシュさんは後ろに下がってしまった。


スライムがぷるぷると震えている。

あぁ、やっぱり野生のスライムでも可愛いな。

少しずつ、こっちに近づいてくる。

自分も剣を構えるが、全くもってやる気がおきない。

どうして、君はぷるぷるしているのかい?


そんな風に思っていたら、スライムがその場でぴょんぴょんって跳ねた後、突進を仕掛けて来た。

仕方ない、せめて苦しまないように一撃で仕留めてあげよう。

そう思って、剣を振りおろそうとすると、


スリスリ、スリスリ


スライムが自分の足元にスリスリして来た。

こ、これは、スライムが仲良くしたい時に表す行動だ。

ニックさんのところで、スライムを扱い慣れている自分には分かる。


「お前、もしかして自分の仲間になってくれるのか?」

ぷるぷる、ぴょんぴょん

うん、間違いない。こいつは仲間になりたそうにしている。


「よし、“我が従魔となれ、スライム”」

すると、足元にいたスライムはピカっと光った。

無事に魔物使役に成功した。


「いやぁ、ニックの元で魔物使役の訓練をしているとは思っていましたけど、ダンジョンの初戦闘でまさか魔物を使役してしまうとは。

しかも、戦闘らしい戦闘もなかったですよね。

普通は魔物に対して、自分の方が強いのだぞって行動で示さないと魔物は使役されないのに」


ジョルシュさんが戦闘もなく、魔物を使役したことに驚いている。

自分でも確かに驚いている。自分もニックさんに同じことを聞いていた。


「まぁ、その子が特殊なスライムだったのかもしれないね。

それじゃ、さっさと先に進みましょう」


ジョルシュさんが、先を歩き初めた。

自分もあとをついていく。その後ろをスライムがぷよぷよしながらついて来る。


スライムやっぱ可愛いな。

しかも、自分の従魔になったスライムだから、余計に愛おしい。

よし、Gランクを卒業したら、ここに引きこもりまくって、ニックさんみたいに大量のスライムを集めよう。

冒険者なのだから、強い魔物を集める方が良いのかもしれないが、強さはスキルでなんとでもなる。

可愛いスライムが大量にいる方が良いに決まっている。

可愛いは正義。癒やしは大事である。


そんな決意をしてダンジョン内を歩いていると、またスライムが現れた。

うん、野生のスライムもやっぱり可愛い。今度は2匹である。


一応、剣を構えて2匹のスライムに相対したが、このスライム達も仲間にしたいな。


すると、自分の足元にいた使役しているスライムがぷるぷると震えたと思ったら、野生の2匹のスライムの元に移動していった。

止めようかと思ったが、使役したスライムがぷるぷる・ぴょんぴょんすると、野生のスライム達もぷるぷる・ぴょんぴょんとしていた。

まるで、スライム同士が会話をしているようだった。

そうして、無事に会話が終わったのか、3匹のスライム達が自分の方に来た。


そうしたら、野生のスライム2匹も一緒になって、自分の足元でスリスリを初めた。

まさか、この2匹も仲間になりたがっているのか?


うん、それならば

「“我が従魔となれ、スライム達”」

足元にいたスライム2匹はピカっと光った。

おぉ、今回も無事に成功した。


3匹のスライムがぴょんぴょんと跳ねている。

いやぁ、3匹も揃うと可愛さ3倍ですな。


「まさか、今回も使役してしまうなんて・・・」

ジョルシュさんも驚いているか、呆れているのか呟いている。


良いじゃないですか、スライム。

もしかしたら、今回のダンジョン探索でスライム10匹は揃えられるかもしれない。

そうしたら、可愛さも10倍ですね。




無事に、1階をクリアして2階へ降りる階段の前に着いた


「アキト君、君がアイテムボックスを使えるのだろうと予測をしています。

多分、君のことだから、魔物召喚も既に使えるのでしょう。

全てのスライムを収納しなさい」


ここまでの道のりで、遭遇した魔物は全てスライムだった。

そして、その全てのスライムを魔物使役することが出来た。

その数、なんと30匹。

今、自分の足元には30匹のスライムがぷるぷるしている。

可愛さ30倍である。


なぜ、こんなことになったのか、よく考えると一つのスキルに思い当たった。

魔物友好【スライム】

ニックさんにスライムを借りて、魔物使役を覚えようとしていた時に、1匹自分と仲良くしてくれないスライムがいたのである。

その日はあらゆる手段を使って、そのスライムと仲良くなろうとしたが失敗に終わった。

既にジョルシュさんとの訓練で精神的にやられていた自分は凄いショックを受けた。

その時に取得したのが魔物友好【スライム】。

いや、仲良くなれないからってスキルを使うってどうなの?とは思ったけど、その時はもうショックでスキルをGETしてしまっていた。

もちろん、翌日にはそのスライムと仲良くなれたし、他のスライム達ともより親密になって、自分のスライム依存は一層深くなった。


話を戻す。


ジョルシュさんはそんなスライム天国を壊そうとしている。

真の敵は、身内にいたのか・・・


「いや、そんな睨まないでくださいよ。

2階からはスライム以外の魔物が出現します。その全てがスライムよりも強いです。

そんな時に、あなたはその30匹のスライムを全て守りきれるのですか?」


確かに、自分も強くなったつもりではいるが、30匹全てを守りきる自信はない。

でも、1匹くらいなら残しても・・・


「不意打ちで、その1匹がやられてしまっても良いのかな?」


鬼がおる。正論で言ってることは正しいが、天国を破壊する鬼や!


仕方ないので、30匹全てのスライムを収納する。

「“収納、スライム達”」


足元にいたスライム達は、綺麗に収納されてしまった。

自分の天国が・・・


「やはり、魔物召喚も使えましたね。つまり、アイテムボックスも使えると。

皮袋の中身を全てアイテムボックスに移して、アイテムボックスが付与された皮袋は返してください。

ダンジョンで無くされると困るのでね」


やっぱり、鬼や!


なんとか、毎日更新が続いています。

ただ、自分が好きなYouTuberが毎日更新を止めるって言ってるから、自分も止めても良いかなってちょっと思いましたが・・・


いや、可能な限りは続けますよ

可能な限りは・・・


下の評価やブックマークに入れて頂ければ、とても嬉しいです。

星5つを頂ければ小躍りして喜びます。

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