ダンジョンとは
Side:ジョルシュ&デニス
「さて、アキト君も無事に魔物討伐をデビューしましたよ」
「アキトから聞いた感じでは、だいぶ無理矢理にやらされた感じだったがな」
「無理矢理でもなんでも、出来る子なのですから。
できる子にできる課題を与えるのに何も問題ないでしょう」
「まぁ、預けた俺も同罪か」
「そういうことです。
ただ、彼の成長が著しく早いのも間違いありません。
それで、どうしますか?
もうGランク冒険者の枠は完全に超えてしまっていますし、魔物討伐も経験済み。
一応の流れだと、ダンジョンの上層階を経験させたら、Gランクは卒業。晴れてFランクとして一人立ですよ」
「ギルドの目安をお前が言うのかよ。
もちろん分かっちゃいるが、あまりに早すぎないかって俺は思っちまうんだよな」
「元々、鍛錬していた人が飛び級でGランク卒業っていうのはあったはずですよね」
「アキトは間違いなく素人スタートだったぞ。それと比べられない」
「まぁ、僕としては彼との模擬戦は非常に楽しいので、いつまでもGランクでも良いのですが・・・」
「そうやって、自分のところの配下にしちまうのか?」
「それもまた一興ですが、彼はこの辺境で収まる器じゃありませんよ。」
「お前さんがそこまで言うとはな」
「さて、こちらとしては、タイミングを見て、ダンジョンも経験をさせますよ。
そちらもギルド長として、決断をお願いします」
「あぁ、分かったよ。
てか、お前がダンジョンに連れていくってことは、もしかしてあのダンジョンか?」
「もちろん、我が一族の宿縁深いダンジョンですよ」
「もしかして、アキトと一緒に攻略を目指すつもりじゃないだろうな」
「流石に今のアキト君では攻略までは無理ですよ。
ただ、彼が成長したら、攻略をしてくれるかもって期待を込めて、上層階を行ってみます」
「ダンジョン行きは了解したが、本当に無理だけはするなよ。
何かあればギルドを頼ってくれ」
「ええ、それはもちろん」
Side:アキト
今日も下水道清掃が終わって、道場でボコボコにされました。
身体強化もかなり馴染んで身体全体にまとわせられるようになったし、剛力や俊足っていう身体強化を部分的に発展させたスキルも手に入れられたのに、未だに追いつく可能性すら見えて来ない。
ちなみに、魔物使役と魔物召喚のスキルもGETしています。
だけど、スライムとの癒やしの時間がなくなると困るので、内緒にしています。
「今日もお疲れさまでした。
さて、明日はダンジョンに向かいたいと思いますので、そのつもりでお願いします」
「え、ダンジョンですか?」
「えぇ、まぁダンジョンと言っても上層階初めの部分だけですけどね。
潜っても5階層までなので、日帰りのつもりですが、流石に午後だけでは時間が足りないので、朝の5時には道場にきてください」
「あの?午前中はGランクの依頼があるのですが・・・」
「あぁ、それはこちらで話をつけておくので、大丈夫ですよ」
「まぁ、そういうことなら。承知しました」
まぁ、最初の魔物退治の時みたいに当日急にじゃなくて、しっかりと事前に教えてくれるだけ、マシですね。
しかし、異世界と言ったらダンジョン!
これはちょっと楽しみですね。
翌朝、朝食の時間には早いので前日に特別に作って貰ったサンドイッチを腹に入れて、道場に来ました。
しっかりとジョルシュさんが待っていました。
「それじゃ、ダンジョンまで走っていきますよ」
「はい。わかりました」
ジョルシュさんと街を抜け、森を走っていきます。
「そう言えば、ダンジョンってどんな感じなんですか?」
「そうですね。では、走りながらですが僕の知っている範囲で説明しましょう」
ジョルシュさんが説明してくれたダンジョンをまとめると、こんな感じになる。
ダンジョンとは、
主に洞窟の中に発生するが、まれに廃城等の人がいなくなった建物にも発生することがある。
攻略されるまで魔物を吐き出しつづけるが、同時に宝箱の中に希少なアイテムなんかも用意されることがある。
倒した魔物や逆に挑んだ者が死んだ場合、ダンジョン内に放置すると吸収されてしまう。装備品やアイテムも一緒にである。
攻略するには、ダンジョンの最奥にあるダンジョンコアを外すか破壊する必要がある。
ただし、ダンジョン内の魔物の素材やアイテムで街を運営しているところもあるので、そういうダンジョンは攻略不可とされている。万が一、攻略してしまうと犯罪者にされてしまうらしい。
発生してからどんどん成長するらしく、時間が経ったダンジョンほど深くなり魔物やトラップの数も強さも増えて攻略難易度が上がる。ただ、その分、上層階は固定されるので訓練等に使われるらしい。
「へぇ~。それで、今回のダンジョンはどういう風なんですか?」
「これから行くダンジョンは、発見されてから300年以上経っています。
上層階はトラップもなく、魔物も決まったのしか出ないので街の兵士や冒険者の訓練でも使われていますよ。
ただ、未攻略のダンジョンで、ナスカの周りにはいくつもダンジョンがあるので、攻略不可には指定されていません。
確認をされている最奥が69階層。実は200年前に僕の先祖が到達したらしいです。
当時、僕の直接の先祖の姉が道場主をしていたのですが、天下無双の負け知らずだったとのこと。
その人と弟の僕の先祖、それに直弟子の中で実力のあった3名でこれから向かうダンジョンに攻略を向かったのですが、69階層で次の70階層からレベルが違うということで、僕の先祖だけが脱出のアイテムを使ってダンジョンを脱出して、他の4人で70階層から先に向かったらしいのですが、その4人は結局帰っては来ませんでした。
その後、僕の一族ではそのダンジョン攻略を宿縁として、先祖代々挑戦してきたわけです」
「ということは、ジョルシュさんも?」
「えぇ、昔、パーティを組んで挑戦しましたが、僕の実力では50階層が限界でした。
パーティの皆も今はそれぞれ別々の生活があり、僕は道場で剣を振る毎日ですよ。
いつか、アキト君が攻略してくれたらって思います」
そういう、ジョルシュさんの顔は少し寂しそうな雰囲気を漂わせていました。
しかし、ジョルシュさんが攻略できないものを、自分が攻略出来る日が来るのかどうか。
そんなお話をしていたら、ダンジョンに到着しました。
ダンジョンの入口付近には、街の門と同じような兵士が立っており、その側には小さな家も建っています。
「彼らはダンジョンに一般人が入らないようにしているのと、ダンジョン内で異変が発生したらすぐに連絡できるように、ナスカの街から派遣をされているのですよ。
あの家の中には、ナスカの庁舎との連絡が出来る魔道具があります」
「そうなんですね」
「さて、アキト君にはこれを渡しておきます」
そう言って、ジョルシュさんが皮袋を渡されます。
あ、この皮袋はアイテムボックスが付与されているやつだ。
「この袋はアイテムボックスが付与されています。
中身は、水や食料等々、おおよそダンジョン探索に必要な物が入っています。
本来は自分で用意するところから初めた方が良いのですが、今回は特別です。
中身は使い切っても構いませんが、袋だけは貴重品なのでしっかり返してくださいね」
だったら、袋の中身は自前のアイテムボックスに移しますがって言いたくなるな。
まぁ、バレるまで内緒にしておこう。
「それじゃ、ダンジョンへ行きましょう」
こうして、自分の初ダンジョンが始まった。
日曜日にストックが出来なかった・・・
多分、今週どっかで更新が止まるかも・・・
とりあえず、出来る範囲で頑張ります
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