商会長決定
お待たせしました
翌日の放課後、Sクラスの女子組に相談をしてみた。
ちなみに、ジェフリーは俺の用意をした酒類を王城へ持っていくので、今はいなかった。
「うーむ。難しいのだ。
レオグランド連合国に帰ればツテを探していけば、人材もいるかもしれないけど、王都にはあまりツテがないのだ。
知っているのは、レオグランド連合国から同じように魔術学園に通っているメンバーだけなのだ」
「申し訳ありません。私もそういうツテはございませんわ。
エルフの商人はいますが、アキトさんに推薦できるほど付き合いがございませんわ」
ダキニとユーリアには、良い案は思い浮かばないようだ。
まぁ、魔術学園にいる俺達に商売に関する知恵は難しいのかもしれない。
「あの、アキトさん。それって、結構儲かるんですよね?」
シーラが興味深そうに聞いてきた。
「あぁ、商品の仕入れは俺の魔力で用意するから仕入れ値はかからない。
人件費や家賃とか、諸々経費はかかるはずだけど、それを考えても既に王族等の繋がりはあるから、お客になりそうだしね。
結構な儲けになると思うよ」
「それって、商人の知識が無くても大丈夫ですか?」
「あった方が良いのは勿論だけど、それよりも俺は自分が信じられるかどうかが一番重視したいんだよね。
結局、俺の特殊なスキルで商品を用意するから、それをあまり必要以上に知られたくないからさ」
そう、別にSクラスのメンバーやケイト達みたいな仲の良いナスカの冒険者仲間に知られる分には良いし、そういう友人達に隠しているのはめんどくさい。
ただ、俺を利用して来ようとする悪意のある連中にわざわざおおっぴらに知らせるつもりもない。
そうだな、正直、この商会で一番大事なのは俺が信頼できる人に商会を任せられるかだな。
知識は後でも身に着けられるし、何なら俺も地球では大学を卒業して、商社で会社員をしていたんだから、基礎的なことは教えることも出来る。
この異世界での独特な商風習等は個別に覚えていけばよいか。
「あの、私は既にアキトさんのことを色々教えて貰っていますし、もし良ければ私にその商会を任せて頂けないでしょうか?
商売のことは何も知らないけど、しっかり勉強しますので、是非お願いします」
「シーラがやってくれるなら、信頼も出来るからこっちとしても嬉しいけど、今冒険者としても、魔術学園の生徒としても頑張っているのに、良いのかな?」
「冒険者は私自身がその方法が一番稼げそうだからやっていたのです。
商会でより稼げるなら、孤児院にもより多く寄付が出来るならば、そちらを優先したいです。
それに、商会で孤児院を卒業する子達を雇うことも出来るようにしたいのです。
孤児院の卒業生はかなり苦労をしている子が多いので、商会ならばその手助けが出来るとはずなのです」
そっか、シーラは孤児院への寄付の為に、冒険者をしていたから、より儲かる方法があるならば、そちらを優先するわけか。
それに、商会がより発展をしていけば孤児院の卒業生を受け入れることも出来るだろう。
「分かった。じゃあ、シーラに商会を任せるよ。
ただ、せっかく魔術学園に入ったのだから、そこはしっかりと勉強しきって卒業をしようよ。
上手く両立出来る方法は俺も考えていくからさ」
「わかりました。魔術学園も頑張りますし、皆とのダンジョンの訓練も続けます。
色々とお手数かけるとは思いますが、よろしくお願いします」
よし、これでオーナーが俺で、商会長はシーラって決まったな。
その後、ダンジョンでの訓練をして、そこに参加したケイト達にも相談をしてみたが、特に良い案も出なかった。
ただ、商会が出来たらナスカにも店を出してくれとの要望は受けてしまった。
ナスカや領都ブレアフルにもお世話になった人が多いので、その人達向けに店が出来ると良いかもしれない。
寮に戻ってゆっくりしていると、ジェフリーが帰ってきて俺の部屋を訪ねて来た。
「おぅ、ジェフリーお帰りなさい。
ダンジョンで訓練してきた俺よりも遅いって何かあったのか?」
「はぁ、良いね。俺もダンジョンでの訓練の方が良かったよ。
国王陛下に物を届けるって、僕自身が直接手渡しをしないといけないからさ。
直接、王城まで行ってお渡しをしたけど、国王陛下と一緒に宰相も時間があったようで、せっかくだからって、アキトの用意してくれた酒で軽く一杯なんて付き合わされたよ。
あぁ、そこで国王陛下からアキトに今回のお酒も含めて諸々のお礼もしたいから、是非一度王城まで来ないかお誘いを受けたよ」
そう言って、ジェフリーは俺に一枚の封書を渡してきた。
「これって、もしかして正式な招待状?」
「いや、一応は私的な懇談という形にしておいたぞ。
国王陛下や宰相はナスカの件と今回の件をセットにして、正式な形で王城へ呼び出して謁見の間で爵位を与えて王国に紐付けにしたそうだったけどな」
「げぇ、そんなことになったら、王城から転移でとっとと旅にでちゃうわ」
「そう言うだろうと思ったから、僕からも忠言をさせて頂いて私的な懇談って形にしたんだよ。
まぁ、それよりも前にブレアフル辺境伯からアキトの扱いには注意を受けていたらしいから、半分冗談のつもりだったけどな」
「何だよ。もう半分は本気だったのか?」
「本気っていうか願望かな。
アキトがエルトリア王国にいてくれれば、それだけ貴重な品が手に入ることにもなるし、戦力としても既に国内トップクラスの実力だろ?
従魔の実力も考えたら、それこそこの国の全兵力ともやりあえるだろうさ。
それほどの人物ならば、国で抱えたいと思うのは当然だろうさ」
うん、まぁスライム達の成長も著しいし、ジャンヌ達も属性魔術との併用した訓練をし出して更に実力をあげている気がする。
やりあえるどころか、圧勝してしまうかもしれないな。
まぁ、王族のジェフリーにそこまで言わないけどな。
「戦力のあてにされても困るけど、商品の方は何とかしようとしているさ」
「そういえば、今日は女子組にも相談をしたんだろ?
何か名案でも出てきたか?」
「とりあえず、商会長にはシーラがなってくれることになったよ」
「へぇ、シーラがなってくれるんだ。
でも、シーラって冒険者はやっているけど、別に商売には明るくないよな」
「確かにそっち方面の知識は足りないけど、足りない知識や技術は学べば良いさ。
俺はそれよりも自分が信頼出来る人に商会を任せたいから、そういう意味ではシーラは既に俺についてのあれこれを知っているし、今までの付き合いもあるから適任ではあるんだよね。
それに、シーラ自身も孤児院への寄付をもっと多く出来たり、孤児院を卒業した子供達にも仕事を提供できたりするかもしれないからって、本人から立候補したくらいだしな」
シーラが商会長をやってくれる話をしたら、ジェフリーが少し落ち込んだ様子をした。
「ジェフリーどうかしたか?」
「いや、ちょっとな。
王都の孤児院の状況はシーラがそんなに必死に寄付しないといけないレベルなのかって思ってさ。
それに王都でさえ、孤児院の卒業生は苦労しているのに、この国の他の地域の孤児院ではもっと大変なのではないかって思って。
決して、国王陛下はそういう所にお金を回さない方ではないが、潤沢にする余裕もないだろう。
俺は王族の1人なのに、何も出来ないのが少し歯がゆくてね」
「ジェフリーは真面目だな。
まぁ、国のトップがそれだけ考えてくれるのは国民にとってはありがたいだろうから、ジェフリーが携われる様になるまでにしっかり学んで行けば良いさ。
そういえば、ジェフリーが初めて寮に来て飲んだときにも、なんか似た感じの凹みしていたよな」
「あぁ、そうかもしれない。
王城で飲まされて少し酔っているのと、アキトにだから愚痴も吐けるんだろうな」
すいません。ポキっと気持ちが折れてしまいました。
小説を書くというか、毎日3000字を無理くり書き出す作業になって苦しくなってしまいました。
ただ、書きたい物語もまだまだあるので、もうちょっと頑張りたいと思います。
流石に毎日投稿はもう厳しいので、不定期投稿にはなりますが気長に応援をして頂ければと思います。