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ダンジョンで麒麟と出会う

さて、事前にコアによるトラップのチェックと地図の作成も済んでいるので、コアの指示に沿ってダンジョン内を進んでいく。


ダンジョン内はコアのチェック通りにトラップが見つかっているし、多分迷わず進めているのだろう。

トラップは属性魔術でわざと発動させたりして、無効化しつつ進んだ。


魔物に関して、海中に出来たダンジョンなのに、現れるのはオーガやオークが強い部類でたまに現れて、ゴブリンやコボルトが多く現れている感じだ。

まるで、ナスカで魔物が溢れ出して来た時に似ている。


「案外、ダンジョンといっても手応えのない魔物しかいないんだな」


「ここの魔物は弱いのだ!獣化をする必要もないのだ。これだったら、模擬戦をしていた方が楽しいのだ」


「確かに、ダンジョンとしては魔物が弱い気がします。王都の周りの方がまだ強い魔物がいます」


「このくらいだったら、リリスを連れて来て訓練に使っても良かったレベルですね」


4人もこんな雑談をしながら、実際に皆楽勝で敵を倒している。

特に怪我とかもないようだが、流石にリリスちゃんに魔物を退治させるのは、まだ早いのではないのだろうか。

エルフの教育方針を知らないが、小さな頃から魔物退治をさせるのがスタンダードなのか?


『ナスカの場合は、魔族の魔道具で強制的にダンジョンコアから魔物を吐き出していたために、あまり強くない魔物が出現をしていた。

今回のダンジョンは、そもそも大した魔物が発生していないし、階層も少ないので、出来たての若いダンジョンの可能性が高いかもしれない』


コアの予測では、このダンジョンはまだ出来たてで若いのではないかということだ。


この様子だと、今日中に攻略が出来てしまうのじゃないだろうか。

勿論、コアが調査をしてくれていたから、これだけ早く攻略を出来ているのだが。

そんな感じで、どんどん階層を進んでいく。




さて、この先にダンジョンの最奥があるようだ。

ここまでは、コアの調査通りだったが、この最奥だけはコアの調査も出来ない場所である。

流石にここから先は注意をして進んでいく。


ゆっくりと進んでいくと広い空間に出た。

そこには、とても大きな生き物が横たわっていた。

顔は龍のようで、鹿のような体型で、蹄は馬で牛の様な尻尾がある。

これって、まさに麒麟じゃないか。異世界で麒麟に出会うとは・・・


『お主達、この場所にどうして来たのだ』


俺の脳内にそんな声が聞こえて来た。

いつも、コアからのやり取りと同じなので慣れているが、他の皆も驚いた顔をしているので、皆にも聞こえているのだろう。


「はじめまして。

実はこのダンジョンを攻略に来たのですが、そこに貴方がいたのです」


『それは、本当か?人に迷惑をかけようのない海中のダンジョンをわざわざ攻略に来たと。

本当は我の命を狙って来たのではないか?』


すると、この麒麟のような生き物から、大量の魔力が殺気混じりで俺達を襲ってきた。

この魔力量はやばすぎる。総量は俺の何倍もあるのだろう。

これだけ魔力量に差があれば、コアでもここを探索することが出来なかったのも分かる。


というか、俺はギリギリ耐えることが出来ているが、他の皆が急に殺気込みの魔力を浴びて恐慌状態に陥って震えて身動きが取れない状態になっている。

流石にこのままじゃ皆がキツイので、俺の魔力を広げて全員を覆うようにした。

俺でもこの魔力量を跳ね返すのはキツイが、何とか皆に向かう魔力を和らげることは可能だ。

それで、皆も耐えられるようになったようだ


『ほぉ、我の魔力に耐えるだけではなく、仲間も耐えられるようにするとは中々やるのぉ』


「本当にこのダンジョンを攻略しに来ただけなので、話を聞いてくれませんか?」


『良いだろう。

これだけの魔力量を持っているならば、あの卑怯者共の仲間ということもあるまい。

話くらいは聞いてやろう。

我が名はキリン。素晴らしき治世をおこなう王の元に馳せ参じる神獣だ』


卑怯者っていったい誰のことを指しているのだろうな。

しかも、マジで名前もキリンなんだ。

確か、麒麟の伝説も仁のある政治をおこなう王に現れるって言われていたな。


「自分はアキトと申します。

実は、このダンジョンから溢れ出る魔物が、遠洋を泳いでいる大型の魔物を呼び寄せてしまっていて、この近くで生活をしている人々が漁に出ることが出来ないので、このダンジョンを攻略しに来たのです」


『なるほどのぉ。そういうことだったのだな。

それは申し訳ないことをしたのぉ。

実はその魔物を溢れ出させていたのは、我だったのだよ』


「その理由を聞いても良いですか」


『あぁ、実は我はあるところで深傷を負ってしまってのぉ。

そいつらから身を隠す為に、このダンジョンまで逃げ込んで来たのだ。

ただ、とっさに逃げ込んだこのダンジョンも、まだ若いダンジョンでのぉ。

もっと、階層の深く強い魔物が現れるダンジョンならば、多少は安心をして回復に務められるのだが、若いダンジョンじゃそれも難しい。

それで、我の力でダンジョンコアに魔物を吐き出させることは出来るから、遠洋の魔物が喜びそうな魔物をわざと溢れ出させて、このダンジョンそのものを守らせようとしたのだ。

そういえば、お前達はあの遠洋の大型魔物を倒して来たのか?』


「いえ、自分が転移の持ち主で、ここのコアの能力と合わせることで、目印を用意すれば自分が行ったことのない場所でも転移をすることが出来るのです」


そうして、コアをはめている腕輪を見せながら説明した。


『ほぉ、人の身で転移を使えるのも希少なはず。

その上、自らの従魔である意思を持つダンジョンコアとの合わせ技を使うとは。

お前、中々やるのぉ』


「それで、どうでしょうか。

ここに遠洋の大型魔物を呼ぶ為に、魔物を溢れ出させるのは止めて貰えませんか?」


『ふむ、しかしいざという時の為に、我も守りを準備しておきたいのだ。

なにか、遠洋の魔物以外に良い方法はないものかのぉ』


これは、なにか代替案があれば、止めて貰えるかも知れない。

別にダンジョン攻略をしなくても、通常通りに漁が出来る海に戻ってくれれば良いだけだ。


『それでしたら、主に、キリン殿よ。我に良い案があるぞ』


コアが俺だけでなく、キリンの脳内にも声を届かせて提案をしだした。


『ここのダンジョンコアの代わりに私の複製をこのダンジョンにはめ込めば、私の意思でダンジョンをより深く複雑にすることが出来る。

勿論、それをおこなうには、多量の魔力が必要となるが、そこはキリン殿の魔力を頂ければ、問題なくおこなうことができるだろう』


「確かに、それならば不安も解消できるかも知れないな。

どうだろうか。うちのコアの案を受け入れてくれるか?」


『我もそれながら問題ない。

遠洋の魔物に守らせていても、お前達のようにダンジョンに侵入を許してしまったからな。

ここのダンジョン自体をより良くしてくれる方が助かるのぉ。

早速、頼んでも良いか。』


キリンは身体を少し動かすと、その奥の壁にはダンジョンコアが埋め込まれていた。

俺は、手早く元々あったダンジョンコアを外して、コアの複製をはめ込んだ。


『では、早速ダンジョンの改造をおこなうので、キリン殿の魔力を頂くがよろしいかな?』


『あぁ、我も神獣だ。魔力量にはいささか自信があるので、どんどん持っていってくれ』


すると、コアがダンジョンの改造を始めた。

まずはこのフロア自体をどんどん奥の階層へと運んでいくようだが、特にこのフロアそのものが動いている風には感じない。

そういえば、ダンジョンの中がどういう風に成長、改造していくのかを俺も知らないので、後でコアに教えてもらおうかな。


ダンジョンには麒麟がいました。

はい、作者は四神とか大好きですw

あ、別に大河を意識したとかではないですよw

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