別離の朝に【一人で詩の連作企画③】
いつだって追いかけるんだ
いつまでも、忘れないんだ
誓ったわけでもないはずなのに
僕らの心は溶け合うように
↓ わすれない
あなたは私に多くを遺した
私はあなたに何を遺せた?
引導を渡された現在でも
私はあなたを忘れられないでいる
↓ いま
思い出はキレイだよ
そんな風に君は言うけど
それならこんなにもキレイな今は
思い出になったらどれだけ輝くんだろう
↓ おもいで
それは遠き地の故郷のような
どんな果てにも在る道標のような
いつも強く心を叩く思い出のような
そんな、かけがえのないひとだった
↓ はて
ゆるぎなきその答えを見付けるには
あとどれくらい生きればいい?
もうこの身体はガラクタのようだから
倒れたが最後、そこが僕にとっての最果て
↓ さいご
夜に辿り、夜に堕ちる
其処は確かにエデンだった
月の下で私を抱く
君という名の最後の砦
↓ つき
まるで海と月
惹かれ合うように踊る僕達
そしてそのまま闇の中で
溶け合うように消えて逝くんだ
↓ うみ
混ざり合わない空と海
それなら雨で繋ぎましょう
君の流した涙の分だけ
僕らは確かに近付ける
↓ あめ
終わらせなければいけなかった
わかっているよ、わかっていたよ
逃げ続けた先に待つのは
嵐と闇と試練の雨
↓ あらし
廻れ廻れ 時の歯車
ぼくらの季節は色褪せない
唸れ唸れ 悵恨の嵐
ぼくらは既に止まれない
最後までお読み頂きありがとうございました。
vol.03のこちらは、タイトルに非常に悩みました。毎回最初の作品にだけタイトルをつけるのですが、思いは繋がっていても距離が離れてしまうふたりをイメージしていたので、このようなタイトルになりました。個人的には「さいご」~「あめ」の3編がお気に入りです。
ひとつでもあなたの心に響く作品があれば光栄です。