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004 パラサイトドラゴン

 


 第二防衛軍内の小隊は1から14の数字まで存在し、戦果によって若くなっていく。

 そう、俺、フォルシオン、シルトの第二小隊よりも上の第一小隊が存在するのだが、そこの小隊長から予備機を譲り受けた。


「いくらリベリオンに空きがないからと言ってこれは流石に」

「譲ってくれるって言うんだから貰っとけって。整備はされてるし、お前さんに合わせた調整するからよ」


 シキガミはそう言ってくれるが、目の前にある機体は[MMAS-1c ルシフェル改]であり、リベリオンに慣れてしまった今となっては乗る気が起きない。好んで乗る奴は第一小隊長くらいなものだ。

 武装に関しても、機体からエネルギーを供給するタイプではなく、カードリッジ式のEライフルと2振りのダガーにシールドのみだが、この改のEライフルがロングバレルに改良されてあるのが救いだ。

 後継機であるリベリオンの生産が追い付かない為に急遽元々あったルシフェルのラインで再設定されたのがルシフェル改だ。

 しかし、それでも乗る気になれない理由がある。


「シキガミ、この色は変えられないのか?」

「変えられるが時間掛かるし俺だって暇じゃないんだから我慢してくれよ」

「…マジかよ」


 そう、メインの機体色がピンクなのだ。

 ルシフェルの通常色は白、リベリオンは黒で隊長機だけ一部の塗装変更が許されているが、全体を塗り替えられるのは第一小隊長くらいだ…でも、ピンクはないだろう。


「予備機までご丁寧にパーソナルカラーにするとは、アイツ」

「そんで、これを借りて何処まで行くんだ?」

「翌朝、Nポイントに向かわなきゃならんくなってな」

「おいおい、山の反対側じゃねーか!なんでまた?」

「先の戦闘で第七防衛軍の半数がやられ、立て直すまでの間出張してくれだとさ。先にコイツの持ち主も向かったがな」

「あぁ、だから普段持っていかない装備を持ってったのか」


 俺達に与えられた次の任務はポイントNにある第七防衛軍の応援である。

 途中、W地点の拠点で補給を受けて更に飛び続けなければならない程遠いのに慣れない機体で行くなんて今から気が滅入っている。


「なるようになるだろ!ヴァレルよ!」

「他人事だと思いやがって。調整頼んだぞ、シキガミ」

「任せときな!」


 早朝、俺達3人はW地点を目指して飛行していた。

 経由地であるポイントWは海の上に存在する基地であり、大陸と離れているので国の存在も無くドラゴンの驚異も殆どなく、ポイントN、ポイントSどちらにも駆け付ける事が出来るので重宝される。

 だが、海上基地なだけに隊員はそれほど多くはなく、今回の第七防衛軍で出た欠員にその殆どが回されたが、それでも足りない数しかいない。所謂増援要員だ。

 とまぁ、説明はさておき、さっきからずっと笑いっぱなしの奴がいる。


「おい、いつまで笑ってんだ!シルト」

『プフッ!…だっ、だって、クククッ、ピンク、プッ!隊長がピンクッッッッ!』

「お前、着いたら覚えとけよ。フォルからも言ってやってくれ」

『…ごめっんッッッ、話かけな、いでッッッン』

「…」


 コイツ等の飯は魔力吸収剤入りの劇マズ

 レーションに決定だな。

 

 発進してから暫くして経由地点である海上基地がレーダーに映る…が、他の何かにも反応していた。


「なんか映ってるな」

『最大望遠の画像よ、確認出来るかしら?』

「これは」『パラサイトドラゴンがなんでこんなところに』

『格納庫はもう使い物にならないわね』


 こんなところにドラゴンが出現すること自体珍しいのによりにもよってパラサイトドラゴンとは。

 俺達は近付くに連れて基地の現状が垣間見れた。

 眼下には無惨にも破壊された複数のハンガー、目前にはパラサイトドラゴンに加えてソレを取り囲むように飛んでいる5機のリベリオン。


「二人とも、分かっているな」

『『もちろん』』

「1機でも落としたら自分が乗っ取られるぞ」

『ならここは私の番ね。隊長、フォル、着いてきて』

「任せたぞ」


 先行したシルトに反応したリベリオンは、全機ロングソードで斬りかかってくる。

 これがパラサイトドラゴン特有の能力であり、ADCに搭載された魔術エンジンに干渉して操作系統を奪うと言うもので非常に厄介でな力はあるが、最大5機しか操れず、ライフルなどなの火器が使用出来ず、更にはパラサイトドラゴン自体は対して強くないといった弱点もある。

 なので、斬りかかってくるリベリオンをいなしながら撃墜させず、パラサイトドラゴンを倒せば終わるのだ。


『2機は抑えたよ!』

『こっちも2機よ!』


 シールドでロングソードを受けるシルト、2振りのブレードでつばぜり合いをするフォルシオン。

 残った1機はぴったりとパラサイトドラゴンの盾役として くっついているが、このライフルならドラゴンだけを狙い打てると踏んだ俺は、照準を頭部に合わせてトリガーを引いた。


「ガァァァァァッ!!」


 叫びながら粒子と化すパラサイトドラゴン。その瞬間、奪われていたリベリオンが次々と海へと墜ちて行く。

 どうやら全機搭乗していなかったようで、ハンガーに格納されていた機体が奪われた直後に俺達が到着したって感じのようだ。


『流石隊長、百発百中だわ』

『カッコイイ!プッ』

「誉め言葉として取っておくよ…お疲れ、降りて状況を確認するぞ」

『アラァー!ヴァレルちゃん来てくれたのぉー!?もう少し早く来てくれたら私も活躍出来たのにぃ!残念ねぇー!』


 俺達の機内に背筋の凍るような口調で通信が入ってきた。


『『姐さん!!』』

「アンジェロ…」

『ハーイ!フォル、シル、元気してたー!?』

「降りてからにしてくれ…」



[MMAS-1c ルシフェル改]

 後継機であるリベリオンの戦闘データを元に改良が施されたルシフェルの最終量産型。

 元から機体重量が軽い上に、アクチュエータの設定変更でより効率良くエネルギーを変換させられるようになり、乗り手によってはリベリオンを上回る性能を引き出せるが、それならリベリオンを乗った方が更なる戦果を期待できると思われているが。



[UD11B パラサイトドラゴン]

 ADCに搭載される魔術エンジンの術式に干渉をもたらし操作系統を奪う能力を持つ。

 これまで確認されたこの種は皆、5機までしか操れず、操作も単純なものとなっており、パラサイトドラゴン自体20メートル程で大した強さもない。

 だが、一個小隊でぶつかると壊滅させられてしまうので厄介な相手となる事から驚異度Bに位置する。







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