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ご都合がよろしいようで。  作者: 雁野夕
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4. 私がやりました

 今日も一人で登校した。

 登校班の集合時間には間に合ってるはずなんだけど、僕が行った時にはもう見送りのご近所さん達しかいない。

 散歩中の犬とすれ違う。いつも僕にほえてくるのを飼い主がにこにこ見ているのだけど、今日はどうしたのか、急に動かなくなってしまったみたいで、飼い主が必死にリードを引っ張っていた。しばらく過ぎてからふり返ってみてもまだ地面にしがみついていた。

 校門前には校長先生。今年この学校に来たばかりだ。


「おはようございまーす」

「おは……っ!?お、おはようございます!」


 変な間があった。具合でも悪いのかな?祖父と同じぐらいの歳に見えるし、心配だ。今月の学校目標が「元気にあいさつしよう」だからなのか、腰までしっかり曲げてあいさつを返してくれた。あれみんなにやるのかな。大変だな。

 泥だらけの上ばきにはき替えて4階の教室へ。扉が少しだけ開いていた。


「おはよう」

「……あ?お前」


 教室に入って真っ先に声をかけてきたのは、クラスで一番仲が良いシンくんだ。


「え?」


 返事が聞こえなかったのか、シンくんは何やらあわてた様子で僕の脇をすり抜けろう下に出ていった。すぐ戻ってきたと思ったら、下を向いて、何かつぶやく。


「どうしたの?」

「キモいよ。触んな」


 何十回と聞いた言葉なんだけど、訳が分からないくらいうれしくなって、声を出して笑ってしまった。周りの友達がこれでもかというほど見開いた目をこちらに向けていた。


 チャイムが鳴る。担任の天田(アマダ)先生が入ってきて、授業が始まる。


「あれ。誰か、黒板消し知らない?」


 何人かが同じ方向を見たけど、先生にはわからなかったみたいだ。答えが返ってこないのでちょっと不機嫌になりながら、教室の後ろの黒板に小さい黒板消しを取りに行った。ホームルームが長くなりそうだ。

全年齢対象のつもりなのですが予定は未定です。

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