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ご都合がよろしいようで。  作者: 雁野夕
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2. いつもの朝

 長い長い、夢を見ていたらしい。

 体感時間が長すぎて、とっさに目覚ましに使っている電波時計の日付を確かめたけど、間違いなく一晩しか経っていなかったし、何だったらアラームもまだなのでいつもより短い。

 なのに夢の中で僕は、小学六年生から、中学も高校も行かずに大人になって、もっと年上の大人たちと仕事をしていた。

 最後の仕事は、多分終わらなかった。そこで目が覚めたからか、ちょっと心残りがある。

 思い出?にひたっていたらアラームの設定時間だ。うるさくなる前にスイッチを切って、リビングへ朝ご飯を食べに行った。


「おはよう、母さん」

「あら、寝ぼすけさんが珍しい。おはよう、千景(チカゲ)


 それだけのやりとりで、なぜだか胸がいっぱいになった。目まで熱くなってきて、自分でも驚いた。


「?地震かしら」


 母は僕の様子がおかしいことに気づかない。ちょうどかたかた揺れだした部屋にたいして慌てもせずにテレビの音量を上げたりしている。それを見て僕もだんだん落ち着いてきた。一回深呼吸。


「……止んだわね。震度3だって」


 震源地は不明らしい。急に寒くなったからね、と誰へともなしに話す声を聴きながら、トーストをかじってみそ汁をすすった。毎朝変わらない味なのに、ひどく懐かしい気がしてのどの奥が苦くなる。あんな夢を見たせいだろう。全く、人騒がせな。

主人公その1です。

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